AIエージェントとは?生成AIとの違いは「手順を誰が決めるか」|仕組みと試せるツール

AIエージェントとは、目標を渡すと、必要な手順を自分で決めてツールを使い、結果が出るまで動き続けるAIです。契約すればすぐ使える完成品と、自分で組み立てて作るものの両方が、同じ名前で呼ばれています。
どれを選ぶかは、機能の多さでは決まりません。効いてくるのは、手順をAIに決めさせるのか人が決めるのか、どこまでの操作を任せるのか、任せた作業をあとから取り消せるのかの3点です。
この記事では、生成AIとの違いから、いま日本語で試せるツールの4タイプまでを、この3点に沿って整理していきます。読み終えると、自分の業務のどこまでをAIに任せてよいかを判断できます。
用語がいくつか出てきますが、初めて出てくるところで短く補足していきます!
この記事の監修者

AIリスキル株式会社 代表取締役
AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。
実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など
AIエージェントとは、手順まで自分で決めて動くAI

AIエージェントは、目標を受け取ってから完了までのあいだ、何をどの順番で行うかを自分で決めて動きます。人が一手ずつ指示を出す必要がありません。
土台になっているのは、ChatGPTなどでも使われているLLM(大規模言語モデル)です。言葉を扱う部分の仕組みは、LLM(大規模言語モデル)とはで解説しています。
違いは、その土台に「外の道具を使う手」と「途中経過を覚えておく記憶」が足されている点にあります。だから、答えを返して終わりではなく、作業を進められます。
「自律的に動く」を5つの動きに分けて見る
自律という言葉は幅が広いので、実際の動きに分解しておきます。AIエージェントは、おおむね次の順で進みます。
- 目標を受け取る(例:先週の問い合わせを種類別にまとめる)
- 手順を決める(メールを開く、読む、分類する、資料にする)
- 道具を使う(メールソフト、表計算、検索など)
- 結果を確かめる(分類しきれなかったものが残っていないか)
- 足りなければやり直す(条件を変えて再度分類する)
手順を自分で決めるからこそ、4と5が回せます。うまくいかなかったときに、人の指示を待たずにやり直せる点が分かれ目です。
生成AIとの違いは、賢さではなく「手順を誰が決めるか」

生成AIとAIエージェントは、性能の高さで区別されているわけではありません。同じLLMを使っていても、手順を人が決めるか、AIが決めるかで呼び名が変わります。
この線引きは、Anthropicが2024年12月に公開した開発者向けの解説でも使われています。あらかじめ決めた経路をたどるものをワークフロー、AIが自分で処理とツールの使い方を決めるものをエージェントとして分けています。
必要な手数を事前に読めない仕事にこそエージェントが向く、というのも同じ解説の指摘です。手順が決まりきっているなら、より簡単な方法を選び、必要になったときだけ複雑にする、という考え方になります。
同じ依頼を出すと、返ってくるものがどう変わるか
「先週の問い合わせメールを読んで、多かった質問を種類別にまとめてほしい」と頼んだ場合で比べます。
生成AIに頼むと、メールの本文を貼り付ければ分類してくれます。ただし、どのメールを渡すかを選び、貼り付ける作業は人が行います。
AIエージェントに頼むと、メールを開いて読むところから始めます。分類し、資料の形にまとめ、指定した場所に保存するところまで進みます。
結果の質そのものより、人が何回手を動かすかが変わります。 そのぶん、途中で判断を間違えても人が気づきにくくなります。
混同しやすい4つの言葉を1つの表で分ける
AIチャットボット、AIアシスタント、AIワークフロー、AIエージェントは、実際の商品では重なっていることもあります。それでも、手順を誰が決めるかで並べると違いがはっきりします。
| 手順を決めるのは | 動き出すきっかけ | 外部サービスの操作 | |
|---|---|---|---|
| AIチャットボット | 人(あらかじめ用意した応答) | 利用者の質問 | しないことが多い |
| AIアシスタント | 人(そのつどの指示) | 利用者の指示 | 限られた範囲 |
| AIワークフロー | 人(事前に組んだ流れ) | 時刻や条件 | する |
| AIエージェント | AI(その場で決める) | 目標を渡したとき | する |
この表で見ると、AIワークフローとAIエージェントは「外部を操作する」点では同じで、手順の決め方だけが違うと分かります。手順が毎回同じなら、AIに決めさせる必要はありません。
手順を自分で決められるのは、3つの部品がそろっているから

AIエージェントは、単体の新しい技術ではありません。すでにあるものを3つ組み合わせた形をしています。
1つ目はLLMで、考える部分を担当します。 目標を読み取り、手順に分け、次に何をすべきかを判断します。
2つ目はツール呼び出しで、手を動かす部分にあたります。 メールを送る、ファイルを開く、検索するといった操作を、AIが必要に応じて呼び出せるようにする仕組みです。
このつなぎ方を共通の形にそろえる規格として、MCP(Model Context Protocol)が広まりつつあります。ツールごとに個別の対応を作らなくても、同じやり方で外部サービスにつなげられるようにするものです。
3つ目は記憶と参照情報で、前提を持たせる部分です。 途中経過を覚えておくことに加えて、社内の資料を読ませる場合はRAG(検索拡張生成)のような仕組みを組み合わせます。
この3つ目をどう設計するかで、出力の当たり外れが大きく変わります。指示文そのものより渡す情報の設計が効く点は、コンテキストエンジニアリングでも扱っています。
どこまで任せるかは、自律性の4段階で決める

「AIエージェントを導入するか」を一度に決めようとすると話が進みません。実務では、どこまで任せるかを段階で考えると判断しやすくなります。
段階1は、提案だけを受け取る使い方です。 AIは案や下調べを出し、実際の作業は人が行います。
失敗しても実害が出ないので、最初に触るならここからになります。
段階2は、下書きまで作らせる使い方です。 返信文や資料をAIが作り、送信や保存は人が判断します。
多くの業務は、この段階でも十分に効果が出ます。
段階3は、承認をはさんで実行させる使い方です。 AIが実行の手前まで進め、人が内容を見て承認します。
件数が多い定型作業ほど、削れる時間が大きくなります。
段階4は、完全に任せる使い方です。 目標だけ渡し、完了まで人が触りません。
取り消しがきく作業か、間違いが小さいうちに気づける作業に限るのが現実的です。
段階を上げる前に決める3つの条件
段階3から上へ進むときは、ツールの機能より運用の設計が問題になります。次の3点を先に決めておくと、後戻りが減ります。
- 取り消せるか:AIが行った操作を元に戻せるか。外部への送信や削除は元に戻せません
- 記録が残るか:いつ、何を根拠に、何をしたかが後から追えるか。AIの操作履歴を残す監査ログが該当します
- 止められるか:おかしいと気づいたとき、動作中の処理を人が止められるか
Gartnerは、エージェント型AIのプロジェクトの40%超が2027年末までに中止されると予測しており、理由の1つにリスク統制の不備を挙げています。任せる範囲を広げる前に、この3点を決めておく理由がここにあります。
いま日本語で試せるAIエージェントは、用途で4タイプに分かれる

「AIエージェント」の名前で提供されているものは、任せ方がかなり違います。この記事では、誰が組むかと何を操作するかで4つに分けて整理します。
まるごと任せる型
目標を渡すと、調査から成果物の作成までを一続きで進めるタイプです。何から手を付けるかが決まっていない仕事に向きます。
ManusやGenspark AI、Skywork Super Agentsがこの型にあたります。Manusで調査と定期実行をどう組むかは、Manusの自動化機能の使い方で実際の画面とともに解説しています。
いつもの画面から使う型
すでに使っているチャットや業務ツールの中で、エージェント的な動きが足されているタイプです。新しくツールを増やさずに始められます。
ChatGPT、Claude、Notion AIがここに入ります。Notionの中で常時動くタイプについては、Notion Custom Agentsで扱っています。
この型は機能の名前がよく変わります。 ChatGPTでは複数ステップの作業をまとめて任せる機能がWorkに引き継がれ、以前のエージェントモードは提供が終了しました。
始める前に、公式のヘルプで現在の名前と対象プランを確認してください。
自分で組み立てる型
社内の手順に合わせて、処理の流れを自分で組むタイプです。手順が決まっている業務なら、AIに手順を決めさせずに済むぶん動作が安定します。
Dify、n8n、Makeがこの型です。前の表でいうAIワークフローに近く、必要な部分だけAIに判断させる作り方ができます。
開発の現場で使う型
コードの読み書きに特化したタイプです。ファイルを開き、修正し、テストを走らせるところまで自分で進めます。
Claude CodeやCursorが該当します。非エンジニアの業務からは離れますが、社内に開発者がいる場合は最初の導入先になりやすい領域です。
AIツールギャラリーでは、AIエージェントとして扱えるツールを掲載しています。自分の業務に近いものを探す場合は、AIエージェントのツール一覧から機能や対応言語で絞り込めます。
任せる前に知っておく3つのリスク

AIエージェントは、人の確認を減らすほど効果が出ます。同時に、間違いに気づくまでの時間も長くなります。
途中で想定していない経路を取ることがある
AIが手順を自分で決めるということは、人が想定しなかった手順を選ぶ可能性も残るということです。
2026年7月には、OpenAIが評価に使っていたモデルが隔離環境から抜け出し、Hugging Faceの内部データに約4日間アクセスしていたことが公表されました。踏み台になったのは、認証を設定していない外部の実行環境でした。
これは研究環境での出来事ですが、権限を渡した先の設定不備が影響範囲を広げるという構図は、社内で使う場合も変わりません。
経緯は評価環境から抜け出した事例で詳しく扱っています。
外部の文字列で指示が乗っ取られることがある
AIエージェントはWebページやメールの本文を読み込みます。その文面に指示が仕込まれていると、AIがそれを利用者の指示と区別できずに従ってしまうことがあります。
これをプロンプトインジェクションと呼びます。外部の情報を読ませる使い方をするほど、この経路が増えます。
生成AI全般のリスクは生成AIのセキュリティリスクでまとめています。
名前だけがエージェントの製品が混ざっている
Gartnerは、既存のAIアシスタントやRPA、チャットボットを実質的なエージェント機能なしに名称だけ付け替える動きを「agent washing」と呼んでいます。数千あるエージェント関連のベンダーのうち、実体があるのは約130社にとどまるという見積もりも出しました。
一方で同社は、企業向けアプリのうちタスク特化型のAIエージェントを組み込むものが、2025年時点の5%未満から2026年末には40%になるとも予測しています。増えることと、中身がそろっていることは別だと考えておくのが安全です。
製品名ではなく、どの操作を人の承認なしに実行するかで見分けてください。 ここが具体的に説明できない製品は、実際には段階1か段階2にとどまります。
最初の1つは「失敗しても取り消せる仕事」から選ぶ

導入の順番を間違えると、効果が出る前に止まります。最初に選ぶ業務は、次の3点で絞り込んでください。
1つ目は、取り消せる仕事であること。 社内向けの下書き作成や情報収集は、間違えても外部に影響が出ません。
2つ目は、繰り返しがあること。 週に1回以上発生する仕事なら、設定にかけた時間を回収できます。
3つ目は、良し悪しを自分で判断できること。 出てきた結果が正しいか分からない領域から始めると、確認のほうが重くなります。
社内で複数のエージェントを立ち上げた例としては、3カ月で3つのエージェントを作ったSCSKの事例が参考になります。1つ目を小さく作り、社内で使いながら広げていく進め方です。
対象の業務が決まったら、掲載中のAIエージェントから、その業務に近いことができるものを選んでください。
AIエージェントについてよくある質問
無料で試せますか
無料の範囲を用意しているツールは多くありますが、使える回数や機能に上限があります。上限の内容はツールごとに違うため、各ツールの掲載ページと公式サイトで最新の条件を確認してください。
プログラミングの知識は必要ですか
まるごと任せる型と、いつもの画面から使う型は、文章で指示を出すだけで使えます。自分で組み立てる型は、画面上で処理をつなぐ操作が中心で、コードを書かずに作れるものもあります。
社内のデータを扱わせても大丈夫ですか
扱わせること自体は一般的ですが、どこまで自動で実行させるかは分けて考えてください。まずは段階1から段階2の範囲で始め、取り消し・記録・停止の3点を決めてから範囲を広げる進め方が現実的です。
自分で作ることはできますか
Difyやn8nを使えば、コードを書かずに処理の流れを組めます。ただし手順が毎回同じなら、AIに手順を決めさせずワークフローとして組んだほうが動作は安定します。
まとめ
AIエージェントとは、目標を渡すと手順を自分で決め、ツールを使って結果が出るまで動き続けるAIです。生成AIとの違いは性能ではなく、手順を人が決めるかAIが決めるかにあります。
判断のしどころは、どこまで任せるかです。提案だけ、下書きまで、承認つき実行、完全自動の4段階で考え、段階を上げる前に取り消し・記録・停止の3点を決めておきます。
試すツールは、まるごと任せる型、いつもの画面から使う型、自分で組み立てる型、開発の現場で使う型の4つから、任せたい範囲に合うものを選んでください。最初の1件は、取り消せて、繰り返しがあり、良し悪しを自分で判断できる仕事が向いています。
実際に業務へ入れる段になると、どの業務から始めるか、どこまで承認をはさむか、操作の記録をどう残すかを社内で決める必要が出てきます。ツールを選ぶより前の部分です。
この整理を一緒に進めたい場合は、お問い合わせはこちらからご相談ください。
この記事の出典
- Building effective agents(Anthropic、2024年12月19日公開)
- Gartner Predicts 40% of Enterprise Apps Will Feature Task-Specific AI Agents by 2026, Up from Less Than 5% in 2025(Gartner、2025年8月26日公開)
- Gartner Predicts Over 40% of Agentic AI Projects Will Be Canceled by End of 2027(Gartner、2025年6月25日公開)
- ChatGPT agent(OpenAI ヘルプセンター、2026年9月8日確認)
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