【令和8年8月3日改正対応】AI研修の企画書を判定軸に沿って組み直す手順|研修名・時間数・受講者の決め方

令和8年8月3日の改正後にAI研修を検討する際は、研修内容と受講者の職務が資料上どう対応するかを確認します。この記事では、研修名、カリキュラム表、受講者名簿を照合する手順を扱います。助成金の支給可否は、企業や研修ごとの申請内容をもとに労働局が判断します。
扱うのは、研修名の粒度、カリキュラムからの汎用パートの切り出し、実訓練時間と回数の決め方、受講者の選び方、そして計画届の期限から企画着手日を逆算する方法の5つです。制度の全体像や改正で何が変わったかそのものは既存の記事へ渡し、ここでは企画書を確認するときの手順に絞ります。
この記事の監修者

AIリスキル株式会社 代表取締役
AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。
実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など
ここでは、企画書を直すために必要な部分だけを取り出します。なお、この記事は中小企業が事業展開等リスキリング支援コースを使う前提で書いています。
令和8年8月3日以降に提出する計画届に基づくDX・GX訓練では、職業・職務に直接必要な内容かが確認されます。計画届とは、研修を始める前に労働局へ出す実施計画書のことです。この変更を企画書の側から見ると、確認すべき軸は2つに整理できます。
第一の軸は、研修内容が具体的な業務動作まで落ちているかです。厚生労働省の改正リーフレットには、対象外の例として「生成AIを利用するための汎用的なプロンプトの作り方を学ぶ研修」や「DXの概念、デジタル技術の概要、データ活用の考え方を学ぶ研修」が挙げられています。
一方、対象の例として挙げられているのは「生成AIを活用して商品提案書の構成案作成、文章生成、修正方法を学ぶ営業担当者向けの研修」です。扱うテーマは同じ生成AIでも、提案書を作るという業務動作まで内容が落ちているかどうかで分かれています。
第二の軸は、受講者がその業務の担当者かどうかです。リーフレットには、自社のエネルギー使用量データの収集方法やCO2排出量の算定手順を学ぶ研修について、算定業務を担当する社員が受講する場合と、人事や営業の社員が受講する場合の例も示されています。
研修の中身と受講者の職務は、あわせて確認します。
もう1つ、時間数の数え方を先に押さえておきます。このコースでは、実訓練時間が10時間以上であることが要件の一つです。実訓練時間は、対象外となる時間を除いて確認します。
この2つの軸と時間の数え方を、研修名、カリキュラム表、受講者名簿という企画書の実物へ反映していきます。
改正で対象外になる研修と残る研修の具体例については、令和8年8月3日改正で対象外になる研修・残る研修の見分け方にまとめてあります。
研修名と対象者を職務の言葉で書き直す

最初に手を付けるのは研修名です。企画書の1行目であり、受講者と扱う業務を照合する手がかりになります。
「全社員向け生成AI活用研修」という名前には、対象者の業務が入っていません。生成AI活用という言い方も、どの業務のどの作業に使うのかを示していません。改正リーフレットが対象外の例として挙げている類型と重なる書き方かは、研修内容と受講者の職務を合わせて確認します。
書き直しの基準は1つです。名前だけを読んだ人が、誰が受けるどんな業務の研修か言えるかどうかを確かめてください。「経理部門向け・請求書処理と月次資料作成の実務研修」のように、対象者の職務と、研修で扱う業務プロセスの両方が名前に入っている状態が目安になります。
自社の研修名を書き直すときは、次の2つを埋める形で考えると進めやすくなります。
- 誰が受けるか: 経理・財務、営業、人事・総務、情報システム・企画のように、部門または職務で指定します
- 何の業務を扱うか: 請求書処理、月次資料作成、提案書の構成案作成、問い合わせ一次対応のように、その部門が日常的に行っている作業名で指定します
名前は、この後に直すカリキュラム表と受講者名簿が何を指すかを決める見出しです。研修名を先に決めておくと、カリキュラムのどの行が名前から外れているか、名簿の誰が名前と合っていないかを判断しやすくなります。
カリキュラム表から汎用パートを切り出す

研修名が決まったら、次はカリキュラム表の行を1つずつ見ていきます。各行が研修名に書いた業務とどう関係するかを確認します。
多くのAI研修のカリキュラムには、導入部分に「生成AIとは何か」「AIの仕組みと最近の動向」「プロンプトの基本」といった講義が置かれています。
特定の業務への適用を伴わない内容は、改正リーフレットが対象外の例として挙げる類型に近い書き方です。実訓練時間を確認する際は、各行の内容を区別しておきます。
作業としては、カリキュラム表の各行に対して「この行は、研修名に書いた業務のどの作業を扱っているか」を書き添えてみてください。書き添えられない行が、切り出し候補です。
実訓練時間と回数をどう決めるか

カリキュラム表の行を確認したら、その時間を何時間で組み、何回に分けるかを決めます。企画書に入れる数字を確認します。
10時間ちょうどで組まない
実訓練時間を10時間ちょうどで設計すると、余裕がまったくない状態になります。汎用パートの切り出しを自社で済ませていても、労働局の判断と自社の見立てが完全に一致するとは限らず、1コマでも汎用的と判断されればその時点で10時間を下回るためです。
控除される可能性を見込んで、10時間より上で組んでおくことをおすすめします。たとえば15時間で組んでおけば、仮に3時間分が対象外と判断されても残りは12時間で、10時間を上回ります。
8割出席要件から回数を逆算する
通学型の研修では、実訓練時間の8割以上を受講することが対象労働者の要件になります。欠席の影響は、実訓練時間と回数に応じて確認します。
ここで効いてくるのが、総時間を何回に分けるかです。1回あたりの時間が長く回数が少ないほど、1回の欠席が出席率に与える影響が大きくなります。同じ「3時間の回」でも、総時間によって1回の欠席が要件割れになるかどうかが変わります。
- 3時間×4回=12時間の場合: 1回欠席すると出席は9時間で、出席率は75%です。8割にあたる9.6時間に届かず、その受講者は要件を満たしません
- 3時間×5回=15時間の場合: 1回欠席しても出席は12時間で、出席率は80%です。8割にあたる12時間にちょうど届き、要件を満たします
社員が受ける研修では、総時間と1回あたりの時間から、欠席した場合の出席率を計算しておきます。
組み方の一例としては、3時間×5回=15時間という置き方があります。これが唯一の正解というわけではありません。自社の総時間と1回あたりの時間で、上と同じ計算をしてみてください。
実施形態で助成の構造が変わる
時間数と回数が決まったら、通学型で行うかeラーニングで行うかも企画書に書く必要があります。ここは金額の構造が変わる部分です。
令和8年8月3日以降に提出した計画届に基づくeラーニング(他の実施方法との組合せを含む)は、1労働者につき1年度1回までです。年度は支給申請日を基準に4月1日から翌年3月31日までです。
eラーニングには受講中の賃金助成がつかず、経費助成の上限も中小企業で15万円になります。複数の研修を同じ社員に受けさせる計画がある場合は、対象となる計画届と年度を確認します。
時間数が決まると研修の見積額もおおよそ固まります。費用の相場と助成金を適用したあとの負担感については、AI研修の費用相場と実質負担で扱っています。
受講者名簿を職務で絞る

研修名とカリキュラム、時間数が決まったら、最後に残るのが受講者名簿です。ここは、受講者の職務と研修内容を確認する作業です。
前に触れたCO2排出量算定の例が示しているのは、研修内容と受講者の職務をあわせて確認する必要があるという点です。名簿は、確認対象の一つになります。
名簿を広げる前に、研修名に書いた業務と受講者の現在の担当業務を照合します。
名簿を作るときは、申込の段階で所属部門と現在の担当業務を書いてもらう運用にしておくと判断しやすくなります。研修名に書いた業務を担当している人を、カリキュラム表とあわせて確認します。
社内募集の案内文にも、研修名と同じ「どの業務の担当者向けか」を書いておくと、想定外の応募が減ります
計画届の期限から企画着手日を逆算する

企画書の中身が固まったら、最後に日付を入れます。この章は、読者がその日のうちに決められる項目です。
原則として、計画届は研修開始日の6か月前から1か月前までの間に、管轄の労働局へ提出します。eラーニングや定額制サービスの場合は、受講可能期間の初日の1か月前までです。研修が終わったあとの支給申請は、研修終了日の翌日から2か月以内に行います。
提出期限だけを見ると1か月前でよさそうに見えますが、その前に研修会社の選定、見積もりの取得、受講者の所属部門との日程調整が入ります。
ここまでを含めると、研修開始の2〜3か月前には企画を固めておくのが現実的です。改正への対応で企画を引き直す場合は、書き直したカリキュラムを研修会社と擦り合わせる時間も必要になります。
引き直した企画書を確認する

ここまでの作業を、企画書の項目ごとに確認できる形にまとめます。自社の企画書を開いて、上から順に見ていってください。
- 研修名: 名前だけで、対象者の職務と扱う業務プロセスが分かる粒度になっているか
- カリキュラム表: 各行に、研修名に書いた業務のどの作業を扱うかを書き添えられるか。書き添えられない行を切り出し候補として確認したか
- 実訓練時間: 対象外となる時間を区別し、10時間以上かを確認したか
- 回数: 1回欠席した場合の出席時間を計算し、実訓練時間の8割に届くか
- 実施形態: eラーニングを使う場合、対象となる計画届と支給申請日基準の年度で受講回数を確認したか
- 受講者名簿: 全員の現在の担当業務が、研修名に書いた業務と対応しているか
- 日程: 研修開始日から逆算し、計画届の提出日と企画を固める日を暦に入れたか
この確認を通ったあとで、対象要件をひととおり満たしていそうかを手早く見たい場合は、質問に答えるだけで確認できる人材開発支援助成金かんたん診断を用意しています。
繰り返しになりますが、この確認は企画書を判定軸に沿って確認するためのものです。実際に支給されるかどうかは、企業や研修ごとの申請内容をもとに労働局が判断します。
研修内容と受講者の業務を整理したい方は、生成AI研修の進め方をご覧ください。
よくある質問

汎用パートを外すと、研修が薄くなりませんか
汎用的な内容を申請対象の研修に含めるかは、カリキュラムの各行と対象条件を確認してください。別枠や同日実施の条件は、公式資料又は管轄の労働局に確認してください。
同じ研修に複数の部署から参加させたい場合はどうなりますか
対象労働者の現在の担当業務と研修内容を、一人ずつ照合してください。
8月2日以前に研修会社と契約済みの場合はどうなりますか
経過措置には、事業内外、定額制、契約期間などによる条件があります。確認書類は計画届提出時に必要となるため、個別の該当性は公式パンフレット又は管轄の労働局で確認してください。
まとめ

研修名、カリキュラム表、受講者名簿、時間数と回数を順に照合すると、企画書のどこを確認するかを整理できます。研修名で対象者と業務を確認し、カリキュラム表の各行に業務との関係を書き添え、受講者の現在の担当業務を照合し、時間数と回数を確認します。
企画書を整えることは、判定軸を確認するための作業です。実際に支給されるかどうかは、企業や研修ごとの申請内容をもとに労働局が判断します。
この記事の出典
- 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)改正 令和8年8月3日からの変更点について(厚生労働省、令和8年8月)
- 人材開発支援助成金 事業展開等リスキリング支援コース 詳細版パンフレット(令和8年8月3日版)(厚生労働省)
- 人材開発支援助成金(制度案内ページ)(厚生労働省)
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