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【令和8年度版】人材開発支援助成金 完全ガイド:6コースの違いと中小企業がまず見る順番

AIツールギャラリー編集部更新: 2026年8月11日

研修費用の最大75%が助成される人材開発支援助成金の完全ガイドです。6コースの違いと中小企業がまず見る順番、いくら戻るかのモデルケース、計画届の時間割、対象外になりやすい落とし穴、申請前チェックリストまで、令和8年度の最新情報で解説します。

【令和8年度版】人材開発支援助成金 完全ガイド:6コースの違いと中小企業がまず見る順番

「社員の研修に、国の助成金が使えるらしい」。研修会社の案内や同業の経営者の話でそう聞くと、次に気になるのは「うちの会社でも使えるのか」と「いくら戻るのか」だと思います。答えからお伝えします。従業員を雇用保険に入れている会社なら使える可能性が高く、中小企業なら研修費用の最大75%に加えて、受講中の賃金の一部まで助成されます。

ひとつだけ、金額より先に知っておいてほしいことがあります。この助成金は研修が終わってからでは申請できず、研修開始の1か月前までに「計画届」という書類を労働局へ出す必要があります。「どの研修にするか決めてから助成金を調べる」という順番だと間に合わないことがあるため、いま制度側から調べ始めているあなたの順番が正解です。

この記事では、人材開発支援助成金の全体像と6コースの違い、中小企業がまず見るべき順番、いくら戻るのかのモデルケース、申請の時間割、そして対象外になりやすい落とし穴までを一通り解説します。読み終えたときに「自社なら、どのコースで、いつまでに、何をすればいいか」を言える状態を目指します。

人材開発支援助成金とは

人材開発支援助成金の6コースをまとめた一覧図

人材開発支援助成金は、事業主が社員に職務に関連した研修を計画的に受けさせたときに、研修経費や研修期間中の賃金の一部が助成される制度です。財源は雇用保険料のため、対象は雇用保険の適用事業所に限られます。受講する社員も、その会社の雇用保険被保険者であることが条件です。

対象になるのは、通常の業務と切り離して行う研修(OFF-JTと呼ばれます)で、実訓練時間が10時間以上あるものが基本です。現場でのOJTや業務中の指導は、この助成金では対象になりません。

令和8年度時点のコースは次の6つです(このほかに障害者職業能力開発コースがありましたが、令和6年4月に別制度へ移管されました)。

  • 人材育成支援コース: 職務に関連した知識・技能を習得させる研修の基本コース。OJT付き訓練や非正規社員の正社員化を目指す訓練も含む
  • 事業展開等リスキリング支援コース: 新規事業・DX化・GX化に伴い新たなスキルを習得させる研修。助成率が最も高い
  • 人への投資促進コース: デジタル人材・高度人材の育成、定額制(サブスク型)研修、社員の自発的な学びの支援など
  • 教育訓練休暇等付与コース: 有給の教育訓練休暇制度を導入し、社員が休暇を取って学んだ場合の助成
  • 建設労働者認定訓練コース: 建設関連の認定職業訓練への助成(建設業向け)
  • 建設労働者技能実習コース: 建設労働者の技能実習への助成(建設業向け)

6つのコースと中小企業がまず見る順番

コースが6つあると、どれから検討すべきか迷います。ここは順番で考えるのが早道です。建設系の2コースは建設業限定なので、多くの会社にとって実質の選択肢は4つ。その中にも、見るべき順番があります。

最初に見るのは事業展開等リスキリング支援コース

AI研修やDX研修を検討しているなら、最初に確認すべきはこのコースです。理由は2つあります。第一に、中小企業で経費助成75%という、コースの中で最も高い助成率が設定されていること。第二に、「新しい事業への挑戦」や「社内のDX化」という、いままさに多くの会社が取り組んでいるテーマがそのまま対象類型になっていることです。

ただしこのコースは令和8年度末(2027年3月31日)までの期間限定です。詳しくは後の章で扱います。

当てはまらなければ人材育成支援コース

事業展開やDX化という文脈がなく、現在の職務のスキルを深める研修であれば、基本コースである人材育成支援コースを検討します。対象範囲が広く、OJT付きの訓練や非正規社員のキャリアアップ支援もこちらの領域です。

サブスク型研修や自発的な学びは人への投資促進コース

定額制のオンライン研修サービスを全社で契約したい場合や、社員が自分で選んだ講座の受講料を会社が支援する形を作りたい場合は、人への投資促進コースが受け皿になります。教育訓練休暇等付与コースは、研修そのものより「学ぶための休暇制度」を整備したい会社向けです。

本命の事業展開等リスキリング支援コースを深掘り

事業展開等リスキリング支援コースの助成率と上限額をまとめた表

ここからは、AI研修と最も相性の良い事業展開等リスキリング支援コースに絞って解説します。

対象になる3つの類型

このコースの対象になるのは、次のいずれかに当てはまる研修です。

  • 事業展開型: 新たな製品・サービスへの進出や業種転換にあたり、新分野で必要になるスキルを習得させる研修。事業展開は研修開始日から3年以内に実施予定のもの(または6か月前までに実施したもの)に限ります
  • DX・GX型: 社内のDX化やGX化(脱炭素化)を進めるにあたり、それに関連する業務を担当させるための研修
  • 人事計画型: 人事・人材育成計画に基づき、3年以内に就く予定の別の職務に必要なスキルを習得させる研修

生成AIを業務に組み込む研修は、多くの場合DX・GX型か事業展開型のどちらかで設計できます。ただし令和8年8月3日の改正で、汎用的な内容のDX・GX研修は対象外になりました。どんな研修が残るのかの線引きは、別記事「人材開発支援助成金の改正で対象外になる研修・残る研修の見分け方」で具体例つきで解説しています。

助成率と上限額

中小企業の場合、経費助成は対象経費の75%、賃金助成は受講者1人1時間あたり1,000円です(大企業は60%と500円)。経費助成には1人1訓練あたりの上限があり、訓練時間に応じて中小企業で30万円(10時間以上100時間未満)、40万円(100時間以上200時間未満)、50万円(200時間以上)と段階的に上がります。

注意したいのはeラーニングと通信制です。この場合は賃金助成がつかず、経費助成の上限も中小企業で15万円、大企業で10万円に下がります。定額制サービスは1人1か月あたり2万円が上限です。また、1事業所が1年度に受け取れる総額は1億円までと定められています。

令和8年4月には、研修とあわせて業務用の設備・機器を新規導入した中小企業向けに、導入費用の50%を加算する設備投資加算も新設されました。賃金の引き上げ要件などの前提条件があるため、活用する場合はパンフレットの該当章の確認が必要です。

期間限定の制度である点に注意

このコースは令和4年12月に「令和8年度末までの期間限定」として創設された制度です。つまり使えるのは2027年3月31日まで。延長されるかどうかは、2026年8月時点で発表されていません。検討しているなら、残り期間から逆算して動く必要があります。

いくら戻るのか モデルケースで計算

研修費用の助成額をモデルケースで計算した図

金額のイメージを、中小企業の具体例で確認します。

ケース1: 営業部門5名に、通学型の生成AI実務研修(20時間、受講料1人8万円)。受講料の合計は40万円です。経費助成は75%で30万円(1人あたり6万円で、上限30万円の範囲内)。賃金助成は1,000円×20時間×5名で10万円。合計40万円が支給される計算で、受講料負担が実質的に大きく軽くなります。

ケース2: 同じ内容をeラーニング(標準学習時間15時間、受講料1人6万円)で実施。受講料合計30万円の75%は22万5,000円で、1人あたり4万5,000円は上限15万円の範囲内。ただし賃金助成はつきません。通学型とeラーニングで支給構造が大きく違う点は、実施形態を決める前に知っておきたいところです。

1つ注意があります。助成金は後払いです。研修経費はいったん全額を会社が支払い、研修終了後に申請して、審査を経てから支給されます。「助成金があるから手元資金がなくても大丈夫」という組み立てはできません。

申請の時間割 計画届は研修開始の1か月前まで

人材開発支援助成金の申請の流れを4ステップで示したタイムライン

冒頭で触れたとおり、この助成金は時間との勝負です。手続きは大きく4ステップで進みます。

  1. 事前準備: 職業能力開発推進者の選任と、事業内職業能力開発計画の策定・周知。初めて使う会社はここから始まります
  2. 計画届の提出: 職業訓練実施計画届を、研修開始日の6か月前から1か月前までの間に管轄の労働局へ提出します。eラーニングや定額制サービスは、受講可能期間の初日の1か月前までです
  3. 研修の実施: 計画どおりに実施し、経費は支給申請までに全額支払います。通学型では実訓練時間の8割以上の出席が受講者ごとの要件になります
  4. 支給申請: 研修終了日の翌日から2か月以内に申請します。期限を過ぎると受給できません

研修会社の選定や見積もり取得、社内の対象者調整まで含めると、研修開始の2〜3か月前には動き始めるのが現実的です。「来月から研修を始めたい」というタイミングで制度を知った場合、その回は諦めて次の研修から使う判断になることが多いはずです。

対象外になりやすい落とし穴

要件を満たしているつもりでも、細部で対象外になるケースがあります。実務でつまずきやすいポイントを押さえておきます。

  • 実訓練時間の10時間割れ: 10時間の判定は、対象外の内容(汎用的なリテラシー講義など)を除いた時間で行われます。カリキュラムに汎用パートが混ざっていると、差し引きで10時間を割って全体が不支給になることがあります
  • 汎用的な内容の研修: 令和8年8月3日以降に計画届を出す研修では、DXの概念やデータ活用の考え方、汎用的なプロンプトの作り方といった内容は対象外です
  • 受講率・修了要件の未達: 通学型は実訓練時間の8割以上の受講、eラーニングは期間内の修了が受講者ごとに必要です。欠席が多い受講者の分は支給されません
  • 受講料の価格設定: 令和8年5月から、受講料の価格の妥当性を示す疎明書の提出が必要になりました。助成金があることを前提に相場より著しく高い受講料を設定する研修は、差額が支給対象外になります

そして最も危険なのが、「助成金で研修が実質無料になります」という営業トークで、受講料の一部を後から返金するスキームです。返金を受けると「経費を事業主が全額負担した」という要件を満たさなくなり、不支給になるだけでなく、悪質な場合は事業主名の公表や刑事告訴の対象になると厚生労働省のパンフレットに明記されています。研修会社選びの段階で、こうした勧誘をする会社を避けることが自社を守ることにつながります。

申請前チェックリスト

ここまでの内容を、申請前に確認すべき項目として整理します。研修企画を固める前に、一つずつ確認してみてください。

  • 雇用保険の適用事業所である
  • 受講者は自社の雇用保険被保険者である
  • 研修は通常業務と切り離したOFF-JTである
  • 実訓練時間が10時間以上ある(汎用パートを除いて)
  • 事業展開・DX/GX・人事計画のいずれかの類型に当てはまる
  • 研修内容が受講者の職務に直接つながっている
  • 研修開始まで1か月以上の余裕がある
  • 経費を全額支払える資金繰りになっている(助成金は後払い)

自社のケースで対象になりそうかを手早く確認したい場合は、質問に答えるだけで判定できる「人材開発支援助成金かんたん診断」も用意しています。2〜3分で確認できます。

【無料ダウンロード】人材開発支援助成金まるわかりガイド: この記事の内容を、社内共有用の資料1冊にまとめました。コース比較表・金額計算例・申請スケジュール表を収録しています。こちらからダウンロードできます

まとめ: 制度は先に知っていた会社だけが使える

人材開発支援助成金は、金額面では中小企業の研修投資を大きく後押ししてくれる制度です。一方で、計画届の提出期限という時間の壁があり、「研修を決めてから助成金を調べる」順番では間に合いません。「助成金の時間割を知ったうえで研修を計画する」という順番に変えることが、この制度を使いこなす唯一の方法です。

特にAI研修での活用を考えているなら、助成率最高の事業展開等リスキリング支援コースが令和8年度末までの期間限定であること、そして8月の改正で「職務に直結する研修」しか対象にならなくなったことの2点は、企画の前提として押さえておいてください。

AIリスキル株式会社では、助成金の要件を踏まえた職務直結型の生成AI研修の設計と導入支援を月5万円から承っています。「どのコースが使えるか判断したい」「対象になる形で研修を組みたい」といったご相談は、お気軽にどうぞ。

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よくある質問

個人事業主でも人材開発支援助成金を使えますか

従業員を雇用保険に加入させている適用事業所であれば、個人事業主でも対象になりえます。ただし受講者は雇用保険被保険者に限られるため、事業主本人や役員の受講は対象外です。

パート・アルバイトの研修も対象になりますか

その方が雇用保険被保険者であれば対象になりえます。週の所定労働時間などの加入要件を満たしていない方は対象外です。非正規社員の正社員化を目指す訓練には、人材育成支援コースに専用の枠組みがあります。

「助成金で研修が実質無料」という案内は本当ですか

注意が必要です。助成金は後払いで、経費はいったん全額事業主が負担する必要があります。また受講料の一部を返金する仕組みは要件違反となり、不支給や事業主名の公表につながるおそれがあると厚生労働省が注意喚起しています。「実質無料」を強調する研修会社との契約は慎重に判断してください。

この記事の出典

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