人材開発支援助成金の計画届の書き方|AI研修の記入例と電子申請の手順

事業展開等リスキリング支援コースの計画届は、様式第1-1号を含む5点をそろえて、訓練開始日の6か月前から1か月前までに、事業所を管轄する労働局へ提出します。
期限と書類がそろっても、それだけでは受理されません。効いてくるのは、どの書類を自社で作りどれを研修会社へ頼むか、様式の欄とカリキュラムをどうそろえるか、どの方法で出すかの3点です。
様式番号は2026年8月3日の改正で入れ替わりました。パンフレットにも「計画届提出日時点の様式を使用してください」とあるため、記入例は旧番号のものと混ざらないように見てください。
この記事では、令和8年8月3日版の様式に沿って、欄ごとの書き方まで確認していきます。読み終えると、いつまでに何をそろえて出すかを判断できます。
3点のうち提出方法だけは後から変えられません。紙で出すと変更届も支給申請も紙のままになるので、そこは先に決めておいてください!
この記事の監修者

AIリスキル株式会社 代表取締役
AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。
実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など
計画届は訓練を始める前に出す届出
人材開発支援助成金の手続きは、①計画届の提出、②訓練の実施、③支給申請、④支給・不支給の決定という4つの段階に分かれます。計画届はこのうち最初の段階にあたり、これから行う訓練の内容を訓練の開始前に届け出る書類です。提出先は、事業所の所在地を管轄する労働局です。都道府県によっては、ハローワークでも受け付けている場合があります。
注意したいのは、計画届を出したことをもって助成金の支給が確定するわけではない点です。令和7年度以降、審査は訓練終了後の支給申請の段階で一括して行われます。支給申請は、訓練終了日の翌日から2か月以内に様式第4-2号で提出します。
計画届として提出する書類は、次のとおりです(2026年8月時点の様式番号)。
| 区分 | 書類 | 様式 |
|---|---|---|
| 必須 | 職業訓練実施計画届 | 様式第1-1号 |
| 必須 | 事業展開等実施計画 | 様式第1-3号 |
| 必須 | 対象労働者一覧 | 様式第3-1号(定額制サービスの場合は様式第3-2号) |
| 必須 | 事前確認書 | 様式第11号 |
| 必須 | 訓練カリキュラム、受講案内など | 様式の指定なし |
| 該当時 | OFF-JT講師要件確認書(事業内訓練の場合) | 様式第10号 |
| 該当時 | 教育訓練機関との契約書、または受講案内および申込書の写しなど(事業外訓練の場合) | 様式の指定なし |
| 該当時 | 訓練費用の負担軽減に関する説明資料 | 様式の指定なし |
| 該当時 | 定額制サービスに関する事業所確認票 | 様式第14-1号 |
| 該当時 | 本社一括申請に関する事業所確認票 | 様式第14-2号 |
| 該当時 | 設備投資加算に関する書類 | 様式第21号ほか |
| 該当時 | 企業内の人事および人材育成に関する計画 | 参考様式第3号 |
| 該当時 | 訓練受講承諾書 | 様式第19号 |
| 該当時 | 委任状(申請者が代理人の場合。原本) | 様式の指定なし |
助成率や上限額、コースの選び方といった制度全体の話は、人材開発支援助成金の制度全体を解説した完全ガイドにまとめています。この記事は、使うコースが事業展開等リスキリング支援コースに決まったあとの書類作成を扱います。
計画届を出す前に社内で済ませておくこと
様式に記入する前に、社内で済ませておく手続きが2つあります。どちらも計画届を提出する日までに終わっている必要があり、後回しにすると提出日そのものを動かすことになります。
1つ目は、職業能力開発推進者の選任です。従業員の職業能力の開発について社内で中心になる担当者を決めます。2つ目は、事業内職業能力開発計画の策定と、その内容の労働者への周知です。どの職務にどういう能力が必要で、そのためにどういう教育訓練を行うかを、会社としてまとめた計画にあたります。
このうち事業内職業能力開発計画と職業訓練実施計画届は、労働組合など労働者を代表する立場の意見を聴いて作成し、内容を労働者へ周知していることが支給の要件です。意見を聴いた記録と、社内へ周知した方法は、後から説明できる形で残しておいてください。なお、選任や策定の後に内容を変更した場合でも、変更についての届出は求められていません。
提出期限を先に確定する
計画届は、訓練開始日の6か月前から1か月前までの間に提出します。早すぎても受け付けられず、1か月前を過ぎても受け付けられません。まずこの日付を確定させると、研修会社への依頼や社内の決裁の段取りが決まります。
「1か月前」は前月の同じ日を指します。前月に同じ日がない場合は、その月の末日が期限です。パンフレットに載っている例で見ると、次のようになります。
| 訓練開始日 | 計画届の提出期限 |
|---|---|
| 7月31日 | 6月30日 |
| 9月30日 | 8月30日 |
| 3月31日 | 2月28日(うるう年は2月29日) |
提出期限が土曜日、日曜日、休日にあたる場合は、その次の開庁日が期限になります。
提出期限は「前月の同じ日」が基本です。前月に同じ日がないときは月末へ前倒しになるので、月末開始の研修はとくに注意してください!
期限には例外もあります。新たに雇い入れた労働者だけを対象とし、雇入れ日から訓練開始日までが1か月以内である訓練は、訓練開始日の前日までの提出で認められます。天災など、やむを得ない理由がある場合も同じく前日までですが、その理由を記した書面を添えます。定額制のeラーニングサービスを使う場合は、訓練開始日ではなく契約期間の初日から起算して1か月前までが期限です。
もう1つ、期限とあわせて決めておきたいのが計画届を何通に分けるかです。作成単位は原則として訓練ごとで、日時が異なる訓練は日時が同じ訓練ごとに分けます。定額制サービスは契約ごと、雇用保険の適用事業所を複数持つ事業主は原則として事業所ごとです。ただし、受講する訓練コースが同一で、同じ時期に実施する場合に限り、本社が支社の分をまとめて申請できます。この場合、助成金はすべて本社へ支給されます。
訓練開始日そのものをいつに置くかを含めて日程を組み立てたい場合は、訓練開始日から逆算した申請カレンダーで月単位の段取りを確認できます。
職業訓練実施計画届(様式第1-1号)の書き方
様式第1-1号は計画届の中心になる書類で、18の欄で構成されています。全体像は次のとおりです。
| 欄 | 項目 | 書く内容 |
|---|---|---|
| 1 | 雇用保険適用事業所の名称 | 訓練を行う事業所の名称 |
| 2 | 事業所番号 | 雇用保険の適用事業所番号 |
| 3 | 所在地 | 事業所の住所 |
| 4 | 担当者 | 労働局からの連絡先になる担当者 |
| 5 | 助成区分 | 訓練を行う理由の区分と、定額制サービスかどうか |
| 6 | 訓練コースの名称 | 受講する研修の名称 |
| 7 | 受講予定者数 | 対象労働者一覧に載せる人数 |
| 8 | 訓練の実施期間 | 訓練の開始日と終了日 |
| 9 | 定額制サービスの契約期間 | 定額制サービスを使う場合の契約期間 |
| 10 | 資格試験 | 訓練に関連する資格試験の有無 |
| 11 | 訓練の実施場所 | 会場の名称と住所 |
| 12 | 訓練の実施方法 | 通学制、同時双方向型の通信訓練、eラーニング、通信制のいずれか |
| 13 | 訓練の時間数 | 総訓練時間数と実訓練時間数 |
| 14 | OFF-JT訓練種別 | 事業内訓練(部内講師・部外講師)か事業外訓練か |
| 15 | OFF-JT講師の氏名等 | 講師の情報と、申請事業主と密接な関係にあるかどうか |
| 16 | 教育訓練機関の名称等 | 研修会社の情報、契約に至った経緯、費用負担軽減の提案の有無 |
| 17 | デジタル人材の育成を目的に行う訓練の区分 | 区分1つと、男女別の受講予定者数 |
| 18 | キャリア形成・リスキリング支援センターへの送付希望 | 支援センターへ情報を送ってよいかどうか |
様式第1-1号には第3面と第4面に記載方法と注意事項が載っています。提出の際は第3面と第4面も印刷して添えてください。欄ごとの公式な記載例は、パンフレット(詳細版)の50ページから51ページにあります。実物を横に置きながら書くほうが早く進みます。
5欄の助成区分は「企業内のDX化に伴い実施する訓練」を選ぶことが多い
5欄では、訓練を行う理由の区分を①事業展開に伴い実施する訓練、②企業内のDX化に伴い実施する訓練、③企業内のグリーン・カーボンニュートラル化に伴い実施する訓練、④企業内の人事および人材育成に関する計画に基づき実施する訓練の4つから1つ選びます。あわせて、a定額制サービスによる訓練以外、b定額制サービスによる訓練のどちらかにチェックします。
社内の業務にAIを取り入れるための研修であれば、通常は②と、通学制や講師派遣で行うならaの組み合わせになります。新しい事業を立ち上げるためにAI人材を育てる場合は①です。ここで選んだ区分は、次に書く様式第1-3号の記入欄と結びつきます。ただし番号の並びは2つの様式で同じではないため、番号ではなく選択肢の文言で対応させてください(対応は次章の表のとおりです)。
13欄は総訓練時間数と実訓練時間数を分けて数える
13欄には2つの時間数を書きます。総訓練時間数は、昼食など食事を伴う休憩時間を除いた訓練の時間です。実訓練時間数は、総訓練時間数から移動時間や助成の対象にならないカリキュラムの時間を除いた時間数を指します。
助成の要件で見られるのは実訓練時間数のほうです。事業展開等リスキリング支援コースでは、通常の業務から離れて行う研修(OFF-JT)で実訓練時間数10時間以上が必要です。eラーニングと通信制の場合は、標準学習時間10時間以上、または標準学習期間1か月以上に読み替えます。対象にならない内容が混ざると、その時間は実訓練時間数から差し引かれます。何を差し引くかは、改正後のカリキュラムの章で扱います。
15欄と16欄では講師・研修会社との関係を申告する
15欄では、部外の講師が申請事業主と密接な関係にある者などにあたるかどうかを答えます。「はい」に該当する場合、その講師への謝金・手当・旅費は助成の対象外です。施設や設備の借上げ、教科書や教材の購入・作成を密接な関係にある者と契約する場合も同じ扱いになります。
16欄は、研修会社に依頼する事業外訓練で記入する範囲が広い欄です。教育訓練機関の名称に加えて、契約に至った経緯(営業を受けた、自ら検索して見つけた、その他)を申告します。
あわせて、訓練費用の負担軽減に関する提案や金銭の提供を受けたかどうかも申告します。負担軽減に関する説明資料(受講案内を除く)を渡されている場合は、その資料も提出します。
訓練費用に返金があるなど、訓練経費を全額負担していない場合は経費助成の対象外です。
さらに16欄の⑤では、教育訓練機関が申請事業主と密接な関係にある場合に「はい」を選びます。この場合、その機関へ支払う訓練経費は助成の対象になりません。
研修会社を選ぶときのやりとりは、どちらから声をかけたのか、値引きや割戻しの提案があったかを含めて記録に残しておくと、この欄の記入で迷いません。費用の全体感と助成後の実質負担から先に押さえたい場合は、AI研修の費用相場と実質負担の試算を参照してください。
17欄は、デジタル人材の育成を目的に行う訓練の場合に記入します。①ビジネスアーキテクト関係、②データサイエンティスト関係、③ソフトウェアエンジニア関係、④サイバーセキュリティ関係、⑤デザイナー関係、⑥その他のデジタル人材関係から主な区分を1つ選び、男女別の受講予定者数を書きます。
事業展開等実施計画(様式第1-3号)の書き方
様式第1-3号は、事業展開等リスキリング支援コースだけで必要になる書類です。他のコースの解説記事にはこの様式が出てこないため、様式一覧を見て初めて存在に気づくことがあります。
この様式では、まず1で①事業展開、②企業内のDX化またはグリーン・カーボンニュートラル化、③企業内の人事および人材育成に関する計画の3つから1つを選びます。選んだ番号に対応する欄だけを記入する形式なので、番号の選択を間違えると書き直しになります。
ここで注意したいのが、様式第1-1号の5欄と様式第1-3号の1は、番号が一対一で対応していないことです。様式第1-1号はDX化とグリーン・カーボンニュートラル化を別の番号に分けていますが、様式第1-3号はこの2つを1つにまとめています。番号をそのまま写すと別の類型を選ぶことになるため、次の対応で選んでください。
| 様式第1-1号 5欄(3) | 様式第1-3号 1 |
|---|---|
| ①事業展開に伴い実施する訓練 | ①事業展開 |
| ②企業内のDX化に伴い実施する訓練 | ②企業内のDX化またはグリーン・カーボンニュートラル化 |
| ③企業内のグリーン・カーボンニュートラル化に伴い実施する訓練 | ②(同上) |
| ④企業内の人事及び人材育成に関する計画に基づき実施する訓練 | ③企業内の人事および人材育成に関する計画 |
末尾には、代表者の役職名・氏名・日付を入れる申請事業主の証明欄があります。
②を選んだ場合に書くのは、訓練を行う端緒となるDX化またはグリーン・カーボンニュートラル化の内容です。パンフレットの記載例は、建設業でDX化により測量の受注が広がったことを受けて、ドローンやBIMを使った測量作業に慣れた従業員を育てるため、ドローン操縦技術やBIMの講習を受講させたい、という粒度で書かれています。
AI研修に当てはめるなら、どの業務を、どう変えるために、誰に何を身につけさせるのかがつながる形で書きます。
たとえば「見積書の作成と問い合わせの一次対応を生成AIで処理する体制へ切り替えるため、営業事務の担当者に、自社の見積データを扱うプロンプトの設計と、出力内容を確認する手順を習得させたい」といった書き方です。
業務名と対象者と習得内容の3つが入っていれば、様式第1-1号の6欄(訓練コースの名称)やカリキュラムとの対応も説明しやすくなります。
様式第1-1号の5欄、様式第1-3号の1、カリキュラムの内容。この3か所が同じ話になっているかを、提出前に読み合わせてみてください!
①を選ぶ場合は、事業展開の実施(予定)時期と内容を書きます。対象になるのは、訓練開始日(定額制サービスの場合は契約期間の初日)から起算して3年以内に実施予定の事業展開か、6か月前までに実施したものです。
③を選ぶ場合は、様式に並ぶ誓約事項へのチェックが必要で、中小企業は認定経営革新等支援機関(国が認定した中小企業支援の専門機関)の確認を受けます。訓練受講承諾書(様式第19号)の取得と、訓練終了後の実施状況報告書(様式第23号)の提出も加わります。定額制サービスによる訓練は③の対象外です。工程が増えるため、①か②で説明できる訓練であれば、そちらを選ぶほうが手続きは短く済みます。
そのほかにそろえる書類
様式第1-1号と様式第1-3号のほかに、3種類の必須書類があります。このうち2つは自社で作り、1つは研修会社から取り寄せます。
対象労働者一覧(様式第3-1号)には、研修を受ける従業員を記載します。定額制サービスの場合は様式第3-2号を使います。助成の対象になるのは、計画届の時点でこの一覧に名前がある雇用保険の被保険者(雇用保険に入っている従業員)だけです。後から受講者を足す場合は変更届が必要になるため、部署内で受講者を確定させてから提出してください。
事前確認書(様式第11号)は、支給要件を満たしているかを申請前に自社で確認する書類です。ここに並ぶ項目は、そのまま提出前の点検表として使えます。
訓練カリキュラムと受講案内は、研修会社から受け取るものです。実施方法によって、書かれている必要がある項目が変わります。
| 実施方法 | カリキュラム・受講案内に必要な内容 |
|---|---|
| 通学制、同時双方向型の通信訓練 | 実施目的、実施日時、訓練日ごとの実施内容と実施場所(事業内訓練は講師名を含む)、実訓練時間数、受講料(料金体系) |
| eラーニング | 実施目的、実施内容、契約期間(訓練を受講できる期間)、標準学習時間または標準学習期間、学習管理システムなどで進捗を管理できる機能があること、受講料 |
研修会社への見積依頼と同時に、時間割つきのカリキュラムと受講案内もお願いしておくと、提出直前に待つ時間が減ります!
該当する場合に加わる書類もあります。自社の社員や外部講師を招いて社内で研修を行う事業内訓練では、OFF-JT講師要件確認書(様式第10号)が必要です。
この書類は指定の様式で提出するもので、任意の様式では受け付けられません。労働局のページで枝番の付いた様式が案内されている場合があるため、提出日時点の様式を厚生労働省の様式ダウンロードページで確認してください。
研修会社の講座を受講する事業外訓練では、教育訓練機関との契約書、または受講案内および申込書の写しなどを添えます。
写しを提出するときの扱いにも決まりがあります。原本から転記したものや、別途作り直したものは写しとして認められません。複写機でそのまま複写したものなどを用意してください。また、申請者が代理人の場合は委任状の原本が必要です。
改正後のカリキュラムでつまずきやすい点
計画届の書類の中で、労働局の判断が分かれやすいのがカリキュラムです。対象になる内容とならない内容の線引きは、改正で対象外になる研修と残る研修の見分け方で詳しく整理しています。ここでは、計画届の書き方に影響する部分だけを扱います。
2026年8月3日以降に提出する計画届では、職務に間接的にのみ必要となる知識や技能と、職業人として共通して必要となるものは、DX化やGX化に関する訓練であっても助成の対象になりません。
対象にならない内容がカリキュラムの一部に混ざっている場合、その時間は助成の対象から外れるだけでなく、実訓練時間数の算定からも除かれます。除いたあとの実訓練時間数が10時間を下回ると、コースの要件そのものを満たさなくなります。
そのため、カリキュラムは時間割の単位で内訳が分かる形にしておくのが安全です。1日を「生成AI概論」の一言でまとめず、何時から何時までに何を扱うかが分かれば、対象外の時間が混ざっているかどうかを自社でも確認できます。
対象にならない例として、パンフレットには次のようなものが挙げられています。デジタル機器で文章や数値を入力したり、書式やレイアウトを変えたりする程度の初歩的な操作だけを扱う訓練。すでにあるアプリやシステムを購入して、その操作方法を覚えるだけの場合。コンサルタントによる指導です。
判断が分かれやすいのが、自社のデータを題材にした演習です。自社の業務上の情報を題材にすること自体は、業務改善の指導や成果物を作ることにつながらなければ問題にならないとされています(事業外訓練に限ります)。
パンフレットの例では、自社の財務諸表を使って財務分析の手法を学ぶ訓練は対象、その分析結果をもとに経営改善計画を作る場合は対象外と示されています。
自社データを使った演習をカリキュラムに入れるなら、手法の習得が目的だと読めるように書きます。成果物を仕上げること自体が目的に読める書き方は避けてください。
受講回数の上限も、計画を立てる段階で見ておきます。訓練の受講は1人の労働者につき1年度3回までです。このうち、2026年8月3日以降に提出した計画届に基づくeラーニングによる訓練は、1人につき1年度1回までに制限されています。
個別の研修が対象になるかどうかは、提出した内容をもとに労働局が判断します。カリキュラムを作った段階で自社の点検に使えるよう、確認項目を改正対応チェックリストにまとめています。
すでに研修会社と契約を結んでいる場合は、経過措置の確認をおすすめします。計画届の提出日が2026年8月3日以降であっても、事業外訓練で教育訓練機関との契約の締結または申込が2026年8月2日以前に行われている場合は、改正前(2026年5月14日改正)の支給要領で審査されます。
事業内訓練でも、対象経費にかかる契約・申込・発注のいずれかが2026年8月2日以前であれば同じ扱いです。
この場合は契約書や申込書の写しなど、契約日または申込日が分かる書類を計画届に添えます。eラーニングの受講回数を年度1回までとする制限も、この経過措置に当たる場合は算入されません。
窓口・郵送・電子申請のどれで出すか
計画届の提出方法は、窓口への直接提出、郵送、電子申請システム(雇用関係助成金ポータル)の3つです。郵送の場合、提出日として扱われるのは労働局に到達した日で、消印の日付ではありません。簡易書留など、配達の記録が残る方法が案内されています。期限まで日がない状況では、到達までの日数を見込んで送るか、窓口へ持ち込む判断になります。
最初に決めておきたいのは電子申請を使うかどうかです。計画届を電子申請システムで提出していない場合、その計画届に関する変更届と支給申請を電子申請システムで行うことはできません。最初の1回で、その後の手続きの方法まで決まります。
計画届を紙で出すと、あとの変更届と支給申請も紙のままになります。ここは戻れない分かれ道なので、先に決めておいてください!
電子申請を使うにはGビズIDの取得が必要です。ポータルでは、申請画面に直接入力する様式と、ダウンロードして記入したうえで添付する様式の両方を使います。GビズIDを持っていない場合は、提出期限から逆算して早めに取得を進めてください。
3つのうちどれを選ぶかは、次の3点で判断できます。
- 訓練の日程や受講者に変更が出る見込みがあるか。変更届を何度か出す可能性があるなら電子申請が向きます
- 今年度に複数回の申請を予定しているか。回数が増えるほど、電子申請の準備が生きます
- GビズIDをすでに持っているか。持っていない場合は、取得にかかる期間を提出期限と見比べます
受付の窓口は都道府県によって運用が異なる場合があります。ハローワークで受け付けているか、事前の相談が必要かは、管轄の労働局に確認してください。
提出した後に日程や受講者が変わったとき
提出したあとに研修の日程がずれたり、受講者が入れ替わったりすることはよくあります。その場合は職業訓練実施計画変更届(様式第2-1号)を出します。期限は変更の理由ごとに違います。
| 変更の内容 | 提出期限 |
|---|---|
| 対象労働者の追加 | 訓練開始日の前日まで |
| 事前の届出が必要な変更事由(訓練の実施方法、実施日時や訓練日ごとの実施内容、実施場所、講師名、実訓練時間数など) | 当初の訓練実施日か変更後の訓練実施日のうち、早いほうの前日まで |
| 病気、けが、天災など、やむを得ない理由による変更 | 変更後の訓練実施日の翌日から7日以内 |
| 導入する事業展開促進機器等の種類や数量の変更・追加(設備投資加算を使う場合) | 変更・追加した機器等の導入予定日の前日まで |
期限までに変更届を出さないまま変更後の訓練を行った場合、その部分は助成の対象になりません。日程の調整が入りそうな段階で、期限を先に確認しておいてください。
変更届では対応できない場合もあります。訓練開始日を1か月以上後ろへずらす変更は、変更届ではなく計画届を改めて提出します。前へずらす場合は、当初の計画届の提出日が、変更後の訓練開始日の1か月前までになっている必要があります。
電子申請を使う場合の制約もあります。計画届が受付されていない状態では、変更届を提出できません。計画届が受理される前に、事前の届出が必要な変更事由が生じたときは、変更届の提出期限までに管轄の労働局長へ申し出ます。
よくある質問
様式番号がサイトによって違うのはなぜですか
様式は改定で番号が入れ替わることがあり、労働局のページや解説記事に旧番号が残っている場合があるためです。たとえば事業展開等実施計画を様式第2号、対象労働者一覧を様式第4-1号、変更届を様式第3号として案内しているページがあります。パンフレットには「計画届提出日時点の様式を使用してください」と書かれています。提出のたびに、厚生労働省の様式ダウンロードページから最新のものを取得してください。
支給申請はいつまでに出しますか
訓練終了日の翌日から2か月以内です。様式第4-2号で提出します。審査はこの支給申請の後に一括して行われるため、計画届が受理されていても、支給申請の内容によっては不支給になる場合があります。
人材育成支援コースなど他のコースでも同じ書き方ですか
共通する様式もありますが、必須の書類が異なります。事業展開等実施計画(様式第1-3号)は事業展開等リスキリング支援コースで必要になるもので、他のコースでは提出しません。助成率や上限額も違います。どのコースや制度で申請するかを決める段階であれば、AI研修に使える助成金・補助金まとめで候補を比べられます。
自社で書けますか、社会保険労務士に頼むべきですか
自社の申請を自社の担当者が行うことは制限されていません。報酬を得て、他社の申請書などの作成や提出手続きの代行を業として行えるのが社会保険労務士です。社内で書き切るか、有償で外部へ任せるかは、社内の工数と提出期限までの日数で判断してください。
計画届を出せば助成金は受けられますか
計画届の提出は、助成金の支給を確定させるものではありません。令和7年度以降、審査は支給申請の後に一括して行われます。計画届はあくまで、訓練を始める前に必要な届出という位置づけです。
対象になりそうな制度から確認したい場合は、登録なしで使える助成金かんたん診断(2分)で候補を絞ってから書類の準備に入る方法もあります。
まとめ
事業展開等リスキリング支援コースの計画届は、次の順番で進めると手戻りが起きにくくなります(2026年8月時点)。
- 訓練開始日から提出期限を確定する。6か月前から1か月前までが提出期間で、「1か月前」は前月の同じ日、前月に同じ日がなければ月末、土日祝なら翌開庁日です
- 社内の前提を確認する。職業能力開発推進者の選任と、事業内職業能力開発計画の策定・周知を提出日までに終えます
- 必須5点を作る。様式第1-1号、様式第1-3号、対象労働者一覧(様式第3-1号)、事前確認書(様式第11号)、訓練カリキュラム・受講案内です。様式第1-1号の5欄、様式第1-3号の1、カリキュラムの内容がつながっているかを読み合わせます
- カリキュラムを時間割の単位で整える。対象外の内容の時間は実訓練時間数から除かれ、除いたあとに10時間以上が必要です
- 提出方法を決める。電子申請を選ばなければ、その後の変更届と支給申請も電子申請できません
様式は改定で番号が変わるため、提出日時点のものを厚生労働省の様式ダウンロードページで確認してください。助成金の支給可否は、企業や研修ごとの申請内容をもとに労働局が判断します。申請要件や手続きの最終確認、申請代行は、管轄の労働局または社会保険労務士へご相談ください。
書き方が固まっても、カリキュラムの内容が職務に直結していると説明できなければ書類は通りません。どの部署のどの業務に、どこまでのAI活用を身につけてもらうか。ここが決まっていないと、様式の欄も埋まりません。
AIリスキル株式会社では、この助成金の要件をふまえた職務直結型の生成AI研修の設計・導入支援を月5万円から承っています。研修テーマが決まっていない段階からご相談いただけます。
この記事の出典
- 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)パンフレット(詳細版)(厚生労働省、令和8年8月3日版、確認日: 2026年8月17日)
- 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)(厚生労働省、様式ダウンロードページ、確認日: 2026年8月17日)
- 人材開発支援助成金(厚生労働省、確認日: 2026年8月17日)
- 雇用関係助成金ポータル(厚生労働省、確認日: 2026年8月17日)
- 社会保険労務士法(e-Gov法令検索、確認日: 2026年8月17日)
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