「助成金で研修が実質無料」は本当か|危険な勧誘の見抜き方チェックリスト

「助成金を使えば実質無料になります」。研修の営業でよく使われる言い方ですが、要件を満たす形もあれば、経費助成が受けられなくなる形もあります。分かれ目は、研修費用を最終的に誰の資金で負担する形になっているかです。
見分けるのは提案の言葉づかいではなく、お金の流れです。確かめるのは、受講料の内訳、申請しない場合の受講料との差、受講後に戻るお金の有無、研修以外の費用が混ざっていないかの4点です。
この4点は、計画届の様式にも申告欄が設けられています。負担軽減の提案や金銭の提供を受けたかどうかは、労働局へ自己申告する仕組みです。
この記事では、受けている提案がどちらの形に当たるかを確認していきます。読み終えると、契約前に研修会社へ何を確認すべきかを判断できます。
記事の最後には、その研修が改正後も助成金の対象になるかを自分で確認できるチェックリストもご用意しています!
この記事の監修者

AIリスキル株式会社 代表取締役
AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。
実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など
助成金は先に全額を払い、後から一部が戻る制度
人材開発支援助成金には、研修にかかった費用に対する経費助成と、訓練を受けた時間の賃金に対する賃金助成があります。この記事で中心に扱うのは経費助成です。
経費助成の支給要件は、訓練等に要した経費を支給申請までに申請事業主がすべて負担することです。この一文が、以降の判定の物差しになります。
順序は決まっています。事業主が研修会社へ受講料を払い、訓練を実施し、支給申請を出して、審査を経て費用の一部が戻ります。
つまり最初に費用を負担するのは事業主で、助成金が入るのはそのあとです。「最初から無料」という形は、この制度の形と噛み合いません。
この判定は、研修会社への支払いが済んでいるかどうかに関係なく行われます。いったん全額を払っていても、あとから研修会社側の資金が戻ってくれば、全額を負担したことにはならないためです。
なお、厚生労働省の資料では、研修を提供する会社を「教育訓練機関」と呼びます。この記事では読みやすさのために「研修会社」と書き、資料の内容をそのまま引くときだけ教育訓練機関という言い方を使います。社外の研修会社へ委託して行う訓練は「事業外訓練」です。
助成率や上限額、コースの選び方といった制度全体の話は、人材開発支援助成金の制度全体を解説した完全ガイドにまとめています。
「実質無料」には要件を満たす形と満たさない形がある
同じ「実質無料」でも、資金の流れによって扱いが分かれます。手元の提案書を当てはめられるように、3つに分けて見ていきます。
助成金が入った結果として自己負担が下がる形
事業主が受講料の全額を研修会社へ払い、訓練後の支給申請を経て助成金が入ります。その結果、手元に残る負担が当初の支払額より小さくなります。
これは制度が想定している状態です。「実質負担が下がる」という説明そのものが、直ちに問題になるわけではありません。
いくら戻るのかを先に見ておきたい場合は、助成金でいくら戻るかをケース別に試算した記事で確認できます。
研修会社側から金銭が戻る形
研修会社やその関連先から、実施済みの訓練経費の全部または一部について、負担額の実質的な減額となる金銭の支払いを受けた場合は、経費の全額が支給対象になりません。返金もこれに含まれます。
受け取る予定がある場合も同じ扱いです。支払いが完了しているかどうかは問われません。
ここでいう「教育訓練機関等」の範囲は広く取られています。訓練を提供する機関のほか、資本等の関連がある者、代表者が同一人物である者、業務上の関係がある者、その他訓練経費の支払いに関連して金銭等を提供する者を含み、法人か個人かを問いません。
別の会社を経由しても、扱いは変わらないということです。
「入金」も現金に限りません。クーポン券などの金銭的価値のあるもの、貸付、他の支払いの相殺や免除、製品やサービスの提供その他の経済的な便宜も含まれます。
提案書を読むときは、お金の矢印を紙に書き出してみてください。研修会社から自社へ戻る矢印が1本でもあれば、そこが確認するところです!
助成金の有無だけで受講料に差がついている形
同じ訓練内容なのに、助成金を申請するかどうかだけで受講料に差を設けていて、合理的な理由がない場合は、その差額が支給対象になりません。
パンフレットは2つの例を挙げています。申請する事業主には30万円、申請しない事業主には10万円という設定なら、差額の20万円が対象外です。
通常は30万円で、不支給になったときに20万円を返金するという契約も同じです。この場合も差額の20万円が対象外になります。
前の章の返金やキャッシュバックとの違いは、お金が動くかどうかです。契約した金額をそのまま払い、そのあとに研修会社から自社へお金や物が戻ってくるなら、経費全体が対象外になります。一方、最初から他社より高い金額を設定しているだけで戻りがないなら、上乗せされた差額の分だけが対象外です。提案書を見るときは、「戻りがあるか」と「同じ内容を他社にいくらで売っているか」を分けて確かめてください。
値引き自体が一律に対象外になるという意味ではありません。対象外になるのは、助成金の有無だけで生じた差額の部分です。
もう一点、経費助成が対象外になっても、賃金助成は他の要件を満たしていれば助成対象になります。助成金が全部消える、という話ではありません。
厚生労働省が注意を呼びかけている4つの営業
厚生労働省は詳細版パンフレットで、助成金を活用して訓練を実質無料で受けさせることができるなどとうたい、本来受けることができない助成金や訓練の提案・勧誘を行う教育訓練機関やコンサルティング会社などが存在しているという情報が寄せられている、と記載しています。
名指しされているのは特定の会社ではなく、勧誘の言い方の類型です。受け取った提案書と照らし合わせられる形で4つ挙げられています。
| 営業でよく使われる言い方 | パンフレットの回答 |
|---|---|
| 実質無料の上、支払った額以上に利益をあげられる | 助成金は支払った訓練経費の一部を助成するものであるため、利益が発生することは仕組み上あり得ない |
| アンケートの対価として協力金を支払い、実質無料にできる | 実質的な負担額の減額とみなし、経費助成は対象外 |
| 紹介先への営業協力の対価(営業協力金)を訓練経費の支払いに充てられる | 実質的な負担額の減額とみなし、経費助成は対象外 |
| AI研修とAIツール導入をセットにすれば、ツール導入費用も研修費用として申請できる | AI研修の費用は対象経費だが、AIツールの導入費用は対象経費ではない |
AI研修を検討している場合、直接関わってくるのは4つ目です。研修とツールの導入支援を一体で提案されること自体は珍しくありませんが、費用の扱いは分かれます。
見積が研修費とツールのライセンス料や導入支援費を1本にまとめている場合、そのまま申請すると対象経費ではない費用を含んだ申請になります。契約前に内訳を分けてもらうほうが、あとの手続きが簡単です。
パンフレットは、不審に思った場合は労働局へ情報提供をするよう案内しています。判断がつかない段階でも相談先があるということです。
計画届では契約の経緯と金銭の受け取りを事業主自身が申告する
事業外訓練で助成金を使う場合、訓練を始める前に職業訓練実施計画届(様式第1-1号)を労働局へ提出します。その第2面に、研修会社の名称などを記入する欄があります。
この欄には、契約を結ぶことになった経緯を申告する項目が含まれています。設問は「訓練を選択したきっかけ」で、選択肢は次の3つです。
- 訓練実施に関する営業を受けた
- 訓練を実施しようと考え、自ら検索してニーズに合う訓練を見つけた
- その他
営業を受けたことを選ぶ選択肢は、最初から用意されています。営業を受けたこと自体が問題になるわけではないので、実際のとおりに選べば足ります。
続いて、負担軽減に係る提案や金銭の提供等について、該当するものをすべて選ぶ欄があります。用意されているのは次の3つです。
- 広告宣伝業務や「研修の実施に際して費用負担がかからない」等の負担軽減に係る提案を受けた場合
- 訓練費用の負担軽減に係る説明資料(受講案内を除く)を提供された場合。この場合は、その資料も提出します
- 名目を問わず金銭の提供を受けたことはなく、今後受ける予定もない場合
2つ目に該当すると、研修会社から受け取った説明資料そのものを労働局へ出すことになります。営業の場で見せられた資料が、そのまま審査の対象に入るということです。
同じ欄には、教育訓練機関等から訓練費用に係る返金がある場合等、訓練経費を申請事業主が全額負担していない場合は経費助成の対象外です、という注記が置かれています。
労働局は、返金等が行われていないことを、この計画届と、研修会社から提供された負担軽減に係る説明資料等で確認します。形式的な欄ではなく、審査の根拠になる欄です。
研修会社が自社と密接な関係にある場合は、同じ欄でその旨を申告します。資本のつながりがある、代表者が同じ人物である、といった関係が当てはまります。この場合、その研修会社へ支払う訓練経費は助成対象外になります。
この欄に記入して国へ出すのは、研修会社ではなく申請する事業主です。だからこそ、契約前に確かめておくと後から慌てずにすみます!
この欄の名前は「教育訓練機関の名称等(事業外訓練の場合)」で、令和8年8月3日版のパンフレットの記載例では16欄にあたります。様式の改定で欄番号が入れ替わるため、旧版の告知や解説記事には別の番号が残っています。様式は提出日時点のものを厚生労働省のページから取得し、番号ではなく「教育訓練機関の名称等」という欄名で探してください。
契約前に研修会社へ確認すること
ここまでの内容は、そのまま研修会社への質問に置き換えられます。5つに絞って、そのまま送れる形で並べます。
一度提出した書類は、事業主の都合による差し替えや訂正ができません。確認は契約前に済ませておくほうが、手戻りが小さくなります。
受講料の内訳を分けて出してもらえますか
聞き方の例は、「見積の受講料に、AIツールのライセンス費用や導入支援の費用は含まれていますか。含まれている場合は、内訳を分けて出していただけますか」です。
AIツールの導入費用は対象経費ではないため、研修費と混ざったままでは申請に使いにくくなります。分けられないという回答なら、その見積のままでは経費助成の対象額を説明できません。
助成金を申請しない場合の受講料はいくらですか
聞き方の例は、「同じ内容を、助成金を申請しない会社が申し込んだ場合の受講料はいくらになりますか」です。
助成金の有無だけで金額に差がある場合、その差額は対象外になる可能性があります。差がある場合は、提供内容の違いなど、金額差の理由を説明してもらってください。
受講後に、当社へ支払われるものはありますか
聞き方の例は、「受講後に、アンケート謝礼、営業協力費、協賛金、紹介料など、名目を問わず当社へ支払われるものはありますか。クーポンや無償のサービス提供も含めて教えてください」です。
名目も、現金かどうかも問われません。1つでも該当するものがあるなら、その部分を外した形にできるかを続けて相談します。
費用の負担軽減について、説明資料を受け取っていませんか
これは相手への質問というより、自社の手元の確認です。「費用の負担が軽くなるという説明のために作られた資料は、これまでいただいたものの中にありますか」と確認します。
受け取っている場合は、計画届と一緒に労働局へ提出することになります。受講案内は除かれますが、それ以外の説明資料は捨てずにそろえておいてください。
この研修が助成の対象になると考える根拠は何ですか
聞き方の例は、「この研修が改正後の要件でも助成の対象になると考えている根拠を教えてください」です。
対象になるかどうかを判断するのは労働局です。研修会社の「対象です」という説明は、支給を保証するものではありません。根拠として何を見ているのかを聞くと、相手の理解度も分かります。
対象になる研修と対象外になる研修の切り分けは、改正で対象外になる研修と残る研修の見分け方で整理しています。
自社の研修計画を一通り点検しておきたい場合は、改正対応チェックリストを使って項目ごとに確認できます。
申請手続きを研修会社が代行すると言われたとき
申請の手間を理由に、手続きは研修会社がやりますと提案されることがあります。ここにも確認しておく点があります。
社会保険労務士法第27条により、社会保険労務士または社会保険労務士法人でない者が、申請事業主の求めに応じて報酬を得て支給申請手続き業務を行うことは禁止されています。申請書の作成、提出代行、申請後の審査への対応などが該当します。
パンフレットは、無償で申請手続きを行っているとうたっている場合についても触れています。受講料の支払いを受けていることから、受講料の中に支給申請手続きの対価が含まれていると評価される場合には、社会保険労務士法第27条の問題が生じると記載されています。
無償と言われたから問題ない、とは限らないということです。
自社の申請を自社で行う場合は別の話になります。この条文が対象にしているのは、事業主の求めに応じて報酬を得て手続きを行う第三者だからです。なお、弁護士は社会保険労務士法第27条の適用を受けずに代理できます。
社会保険労務士や代理人が不正受給に関与していた場合、その者は事業主と連帯して請求金を支払う義務を負い、金額にかかわらず公表の対象になります。手続きを任せた側の責任が消えるわけではありません。
要件を満たさなかった場合と、不正受給と判断された場合に起きること
この2つはよく混ざって語られますが、別の話です。分けて見ておくと、必要以上に重く受け取らずにすみます。
支給要件を満たさない場合
返金などがあって訓練経費を全額負担していないときは、経費助成の対象外になります。差額だけが対象外になる値引きの場合は、その差額分が対象から外れます。
賃金助成は、他の要件を満たしていれば助成対象として残ります。この段階では、受け取れる助成の範囲が変わるという話にとどまります。
不正受給と判断される場合
不正受給とは、偽りその他不正の行為により、本来受けることのできない助成金の支給を受け、または受けようとすることです。
刑法上の犯罪を構成しない場合でも、故意に支給申請書へ虚偽の記載を行い、または偽りの証明を行うことが該当します。
一方で、事実に反する記載であっても、故意によらないものと認められる場合は、不正の行為に該当しません。要件を満たさない申請がすべて不正受給になるわけではないということです。
ただし、責任の範囲は事業主だけで区切られていません。事業主等の代表者のほか、役員、従業員、代理人その他申請書類の作成に関わった者が不正の行為をした場合は、その事業主等が不正の行為をしたものとみなされます。
書類を作ったのが自社の担当者でなくても、事業主の申請として扱われるということです。
不正受給と判断された場合に起きること
まず、金銭の請求があります。返還を求めた額に加えて、不正受給の日の翌日から納付の日まで年3分の延滞金と、返還を求めた額の2割に相当する額が請求されます。この3つの合計が「不正受給に係る請求金」です。
次に、支給の停止があります。不支給とした日または支給を取り消した日から起算して5年間、雇用関係助成金が支給されません。請求金が全額納付されていない場合は、納付の日まで延長されます。
不正の行為に関与した役員等が他の事業主等の役員等になっている場合、その事業主等にも同じ期間が適用されます。関連して、不正受給を行った事業主の代表者や役員等、不正受給に関与した教育訓練機関の代表者や役員等、社会保険労務士が関与する法人でないことも支給要件に入っています。ただし、不支給とした日または支給を取り消した日から5年を経過している場合は、この要件から外れます。
公表については、2つの取り扱いがあります。混同しやすいところなので、分けて押さえてください。
1つは雇用関係助成金に共通するルールです。不正受給を理由とした支給決定の取消額と、不正受給を理由とした不支給決定に係る支給申請額の合計が100万円以上で、なおかつ返還を命じた日から起算して1か月以内に請求金が全額納付されないときが対象になります。
金額の判定に使うのは取消額と申請額の合計で、納付の判定に使うのは請求金です。基準が別なので、混ぜないように見てください。
このほか、管轄労働局長が特に重大または悪質と認めたとき、社会保険労務士や代理人、訓練を行う者が関与したときも対象です。
もう1つは、このコース固有の取り扱いです。令和8年8月3日以降に行う支給申請では、支給決定の前であっても、自主申告をしていない場合は原則として公表の対象になります。
合計額が100万円未満の場合と、事業主が不正受給に関与していないことが明らかな場合は、公表しないことができるとされています。必ず除かれると決まっているわけではありません。
自主申告とは、支給申請の後、実地調査や労働局への呼び出しによる調査、文書による照会等が行われるよりも前に、不正受給に該当することを申告することです。
ただし、特に重大または悪質な場合は非公表の対象から外れます。自主申告をしても調査に協力しない場合は、特に重大または悪質なものとして扱われます。
刑事の扱いも記載されています。パンフレットは、悪質な場合は捜査機関に刑事告訴を行うとしています。
研修会社側にも影響があります。訓練を行う者が不正受給に関与していた場合、事業主と連帯して請求金を支払う義務を負い、名称等が公表の対象になります。その訓練実施者が行う訓練は、不支給決定日または取消日から5年間、助成金の支給対象になりません。
これは事業主が責任を免れるという話ではありません。研修会社も無関係ではいられない、という意味です。
確認した結果をどう扱うか
確認の結果は、3つの進み方に整理できます。どれに当てはまるかで、次にやることが変わります。
そのまま進める
受講料の内訳が明確で、名目を問わず戻ってくるお金がないと確認できた場合は、通常どおり進めます。
支給申請では、全額を負担したことを示す書類が必要です。事業外訓練の場合は、請求書および領収書または振込通知書の写しなどで、支払いを受けた者、支払った者、支払年月日、支払名目、支払金額が分かるものを提出します。
請求書と領収書の写しの組み合わせで出す場合は、振込通知書や総勘定元帳、現金出納帳の写しなども加わります。研修会社から説明を受けた資料一式の写しも必要になるため、契約時の資料は残しておいてください。
見積を組み直せるか相談する
戻ってくるお金や、助成金の有無だけで生じた値引きの構造がある場合は、その部分を外した形に組み直せるかを相談します。
組み直せない場合の選択肢は2つです。経費助成を使わない前提で費用を判断するか、別の研修会社を検討するかになります。
管轄の労働局へ相談する
判断がつかない場合や、相手が説明を避ける場合は、事業所を管轄する労働局へ相談します。パンフレットも、不審に思った場合の情報提供を呼びかけています。
「今月中に契約しないと間に合わない」と急かされることもあります。ただ、提出期限は自分で確認できます。訓練開始日から数えた日程は、訓練開始日から逆算した申請カレンダーで確認できます。
急かされているときほど、期限は自分で数えてみてください。研修会社の言う締切と、制度の締切は別のものです!
すでに契約や申請まで進んだあとで気づいた場合は、労働局の調査等が行われるよりも前に申告する自主申告の仕組みがあります。どう対応するかは、管轄の労働局または社会保険労務士へ相談してください。
よくある質問
「実質無料」と書かれた提案は、すべてだめですか
言い方だけでは決まりません。判断の材料は資金の流れです。
事業主が全額を負担し、助成金が入った結果として自己負担が下がるのであれば、制度が想定している状態です。研修会社側から名目を問わず金銭や金銭的価値のあるものが戻る形であれば、経費助成の対象になりません。
値引きしてもらうのもだめですか
値引きが一律に対象外になるわけではありません。
対象外になるのは、同じ内容なのに助成金の有無だけで差をつけていて、合理的な理由がない場合の、その差額の部分です。
研修会社が用意した書類でも、自社の責任になりますか
役員、従業員、代理人その他申請書類の作成に関わった者が不正の行為をした場合、その事業主等が不正の行為をしたものとみなされます。
ただし、事実に反する記載であっても、故意によらないものと認められる場合は不正の行為に該当しません。
支給申請のときに追加で出す書類はありますか
受講料等の価格設定に関する疎明書(様式第28号)の提出が求められます。計画届の提出日にかかわらず提出することとされており、すでに支給または不支給の決定がされている場合は除かれます。
経費助成の申請がない場合は提出不要です。令和8年5月14日を基準に、それ以前に提出した計画届にも提出が求められます。記入する内容は、厚生労働省の様式ダウンロードページで、提出日時点の様式を確認してください。
書類はいつまで保存しますか
関係書類は、支給決定後も5年間保存します。
この研修会社を見送った場合、ほかに使える制度はありますか
AI研修に使える助成金・補助金まとめで、対象や申請時期を比べられます。
なお、助成金の支給可否は、企業や研修ごとの申請内容をもとに労働局が判断します。申請要件や手続きの最終確認、申請代行は、管轄の労働局または社会保険労務士へご相談ください。
どの制度が使えそうかから確認したい場合は、登録なしで使える助成金かんたん診断(2分)で候補を絞れます。
まとめ
受けた提案は、次の順番で判定できます(2026年8月時点)。
- 資金の流れを確認する。事業主が先に全額を払い、後から一部が戻るのが経費助成の形です
- 提案の構造を3つに当てはめる。助成金が入った結果としての負担減か、研修会社側から金銭が戻る形か、助成金の有無だけで生じた差額か
- 研修会社へ確認する。受講料の内訳、申請しない場合の受講料、受講後に支払われるものの有無、説明資料、対象と考える根拠の5点です
- 結果に応じて進める。問題がなければ通常どおり、戻るお金の構造があるなら組み直しを相談、判断がつかないなら労働局へ相談します
計画届に記入して国へ出すのも、支給申請の書類に署名するのも事業主です。個別の可否は申請内容をもとに労働局が判断するため、最終確認は管轄の労働局または社会保険労務士へ相談してください。
提案の構造を確認できても、その研修が自社のどの業務にどう効くのかは、カリキュラムを見ただけでは判断しにくいところです。
AIリスキル株式会社では、対象者と業務内容から研修テーマを組み立てるところからの生成AI研修の設計・導入支援を月5万円から承っています。すでに受けている提案の中身を一緒に見るところからでもご相談いただけます。
この記事の出典
- 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)パンフレット(詳細版)(厚生労働省、令和8年8月3日現在、p.7・p.8・p.9・p.20・p.21・p.33・p.46・p.51、確認日: 2026年8月18日)
- 人材開発支援助成金(事業展開等リスキリング支援コース)支給要領(厚生労働省、令和8年8月3日、0301・0501・0601・0804・0905・1002・1003・1402、確認日: 2026年8月18日)
- 雇用関係助成金支給要領 第1 共通要領(厚生労働省、令和8年4月8日、0205・0701・0702・0705・0802・0901、確認日: 2026年8月18日)
- 雇用関係助成金の不正受給について(厚生労働省、確認日: 2026年8月18日)
- 社会保険労務士法(e-Gov法令検索、確認日: 2026年8月18日)
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