近年、業務効率化やDX推進の流れの中で「ノーコード自動化ツール」が注目を集めています。その中でも、エンジニアからビジネスパーソンまで幅広く支持されているのが「n8n(エヌエイトエヌ)」です。
n8nは、プログラミング知識がなくても直感的な操作で業務フローを自動化できるオープンソースのワークフロー自動化ツールです。セルフホスト(自社サーバー運用)にも対応しており、データ管理やセキュリティを重視する企業にも最適です。
n8nの主な特徴
n8nの主な特徴は、以下の通りです。
- ノーコード/ローコード対応
ドラッグ&ドロップでワークフローを構築。複雑な処理もビジュアルで管理できます。 - 豊富な連携サービス
Gmail、Google Sheets、Slack、Salesforce、OpenAIなど、200以上のサービスやAPIと連携可能。 - AIとの統合が簡単
ChatGPTなどのAIサービスと連携し、メールの自動要約やレポート生成など高度な自動化も実現。 - セルフホスト可能なオープンソース
自社インフラで運用できるため、セキュリティやカスタマイズ性が高いのが特徴です。 - 無料で始められる
オープンソース版は無料。クラウド版も30日間の無料トライアルあり。
n8n導入のメリット
n8nを導入するメリットは、以下の通りです。
メリット | 概要 |
---|---|
業務効率の大幅向上 | 手作業の繰り返しを自動化し、人為的ミスを削減 |
コスト削減 | OSS 版は無料。クラウド版も従量制でスモールスタート可 |
セキュリティ & ガバナンス | セルフホストにより社内基準に沿った運用が可能 |
柔軟なカスタマイズ | JavaScript 関数・独自ノードでピンポイントの要件に対応\ |
n8nの活用事例
n8nを使えば、アイデア次第で業務効率が劇的に向上します。今回は代表的な活用事例をサクッとお伝えします。
例1:Gmail受信→AI要約→Google Sheets自動記録
- Gmailで特定のメールを受信
- ChatGPTで本文を自動要約
- 要約結果をGoogle Sheetsに自動記録
例2:カスタマーサポートの自動化
- 顧客からの問い合わせメールを自動で解析し、FAQデータベースから回答を抽出して自動返信。
- チャットボットと連携し、24時間365日対応を実現。
例3:バックオフィス業務の効率化
- 請求書の自動作成・送信
- 経費精算の自動承認
- 会計システムとの自動連携
n8nの料金プラン
n8nには3つの料金プランがあります。各プランの特徴を見ていきましょう。
- Starter Plan:月額20ユーロ。1共有プロジェクト、5並列実行、無制限ユーザー。
- Pro Plan:月額50ユーロ。3共有プロジェクト、20並列実行、7日間のインサイトなど。
- Enterprise Plan:料金は要問い合わせ。無制限の共有プロジェクト、200以上の並列実行、SSO対応など。
n8nの無料プラン
n8nには無料プランがありません。サービスの利用には有料プランへの登録が必要です。ただし、クラウド版は14日間の無料トライアルがあります。なお、n8nをオンプレミス(自社サーバー)で利用する場合は、完全無料で利用可能です。
n8nの料金比較表
機能 | Starter | Pro | Enterprise |
---|---|---|---|
月額料金 | 月払い:非対応/年払い:20ユーロ | 月払い:非対応/年払い:50ユーロ | 月払い:要問い合わせ/年払い:要問い合わせ |
ワークフロー実行数 | 2.5k回 | 10k回 | 上限なし |
アクティブワークフロー数 | 5件 | 15件 | 上限なし |
共有プロジェクト | 1件 | 3件 | 無制限 |
並列実行数 | 5件 | 20件 | 200件以上 |
インサイト提供日数 | なし | 7日間 | 365日間 |
その他機能 | フォーラムサポート、無制限ユーザー | 管理者ロール、変数管理、履歴検索など | SSO、環境分離、Git連携、SLA対応など |
プラン選択のポイントと注意点
n8nの料金プランを選択するときのポイントや注意点は、以下の通りです。
- ポイント1:少数利用ならStarterで十分
- ポイント2:チーム利用ならProがおすすめ
- ポイント3:企業利用はEnterpriseが最適
- 注意点:年間契約の場合、月額料金が約17%お得になります。
以上がn8nの料金プランの概要です。詳細は公式サイトも必ず確認するようにしてくださいね。
n8nの商用利用について
n8nは「フェアコードライセンス」に基づいて提供されており、個人利用や非営利目的での利用が主に想定されています。オンプレミス環境での自家利用は無料で可能ですが、以下のような商用的な用途には制限があります。
- n8nを改変・再ブランド化して有償サービスとして提供する
- 自社でn8nをホストして外部ユーザーにアクセスさせ、その対価を得る
このようなケースでは、無料ライセンスの範囲を超えるため、有償のProまたはEnterpriseプランの利用が推奨されます。
利用目的 | 利用可否 |
---|---|
商用での利用 | △(一部条件下のみ可能) |
ソースコード改変 | ○(変更自体は許可) |
再配布 | ○(ただし非営利に限る) |
特許関連の利用 | 記載なし |
私的利用 | ○(制限なしで可能) |
n8nを利用する際は、ライセンスの条件を十分に理解したうえで、自身の使用目的に合った利用形態を選ぶことが重要です。
n8n導入時の注意点・デメリット
- セルフホストの場合はセキュリティ管理が自己責任
サーバーの設定やアクセス制御、データの暗号化などは自社で対応が必要です。 - ノーコードといっても複雑な処理にはコーディング知識が必要
高度な自動化やカスタム連携にはJavaScriptなどの知識が求められる場合があります。 - 連携サービス数はZapierなどに比べて少なめ
マイナーなサービスとの連携は自作ノードやAPI連携が必要になることも。 - ログやストレージの管理が必要
長期間運用すると実行ログが蓄積されるため、定期的な整理が推奨されます。
6. まとめ
n8nは、ノーコード/ローコードで業務自動化を実現したい企業や個人にとって、非常に強力な選択肢です。特に「自社でデータを管理したい」「AIと連携した高度な自動化を実現したい」「コストを抑えたい」といったニーズにマッチします。
一方で、セルフホスト運用時のセキュリティや運用負担、カスタマイズ時の技術的ハードルなど、導入前に押さえておくべきポイントも存在します。
自社の業務課題やリソースに合わせて、最適な導入方法を検討しましょう。