AIに学習させない設定(オプトアウト)とは?ChatGPTなど4サービスで条件が変わる理由

社内で生成AIを試す話が出て、上司から「入力した内容は学習に使われないのか」と聞かれた。そんな場面で止まった方も多いのではないでしょうか。
調べると「オプトアウト」という言葉に行き当たります。設定をオフにすればよい、という説明もすぐ見つかります。
ところが読み進めると、話がそろわなくなります。無料版の手順を書いた記事と、法人プランは既定で使われないと書いた記事が、同じ検索結果に並んでいます。
そこへ「履歴を消す」「保存されない」という別の話まで混ざってきます。
この記事では、学習させない設定が何を切る設定なのか、提供元が公式に何を説明しているのか、自分の契約ではどこを見ればよいのかを整理します。
根拠にしたのは、OpenAI・Anthropic・Google・Microsoftの公式ドキュメントです。
4社とも、消費者向けプランと法人向けの説明が別のページに置かれていました。同じ社名でも、読むページが変わります!
この記事の監修者

AIリスキル株式会社 代表取締役
AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。
実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など
「学習させない設定」は何を切る設定か

はじめに、まぎらわしい言葉を切り分けておきます。
ここで扱うオプトアウトは、広告やメール配信を止めるオプトアウトとは別の話です。生成AIに入力した内容を、提供元のモデルの学習に使わせないという設定を指します。
そして、この設定の隣には別の話が2つあります。保存と履歴です。
保存されないかどうかは、学習に使われるかどうかとは別の条項で決まります。この違いはゼロデータ保持(ZDR)の記事が正面から扱っています。
履歴も別の操作です。画面からチャットを消すことと、学習に使わせないことは、同じ操作ではありません。
ややこしいのは、同じ論点でも、学習の側に名前を付ける会社と、保存の側に名前を付ける会社があることです。
実際、本記事で読んだ公式ドキュメントでも名前が分かれていました。Microsoftは学習の側に「Training on conversation activity」、Googleは保存の側に「アクティビティの保存」という名前を使っています。
履歴そのものの扱いについては、ChatGPTの履歴の管理の記事が近い話をしています。
この3つを混ぜたまま社内で説明すると、話が通じません。順番としては、まず学習の設定を決め、そのあとで保存と履歴を確認するのが整理しやすい形です。
社内でよく起きる行き違いも、この3つの混同から生まれます。「履歴を消しておいたので学習には使われません」という説明が、その典型です。
この説明が成り立つかどうかは、提供元とプランによって変わります。本記事で読んだ範囲では、Microsoftが学習用の設定を独立した項目として案内していました。
一方でGoogleは、同じ論点を保存の設定として案内していました。設定の置かれ方そのものが提供元で違うということです。
なぜ同じ会社でも条件が変わるのか

検索結果で話がそろわない理由は、単純です。
同じ社名でも、消費者向けプランと法人・API契約では、提供元が別の文書で説明しているからです。本記事で確認した範囲では、4社ともそうなっていました。
Anthropicは、商用プロダクトについての記事の中で、消費者向けのClaude Free・Pro・Maxは別の記事にしていると本文に書いています。
Microsoftは、個人のMicrosoftアカウントで使う場合の説明ページに、職場や学校のアカウントでMicrosoft 365 Copilotを使う場合には当てはまらないという断り書きを置いています。
Googleも、Geminiアプリ向けの日本語ヘルプと、Google Workspace向けのページを分けています。
OpenAIは、APIについての説明を開発者向けドキュメントに、ChatGPTについての説明をヘルプセンターにと、置き場所を分けています。
つまり、自分がどの契約で使っているかを決めないと、読むべきページが決まりません。
会社として契約する形については、社内GPTの記事が選択肢を整理しています。
提供元は学習利用について何を書いているか

ここからは、各社が自社の文書に何を書いているかを並べます。評価ではなく、書いてあることの整理です。原文は英語のページもあるので、言い回しは要約になります。
先に全体を書きます。本記事で開いた4社は、いずれも「学習に使わない」と書いている契約の層を持っていました。ただし、その書き方はそろっていません。
Anthropicは商用プロダクトについて、既定では入力と出力をモデルの学習に使わないと明記しています。そのうえで、利用者がフィードバックやバグを明示的に報告した場合などの例外も書いています。
消費者向けは別の記事になっていて、プライバシー設定で許可を選んだ場合など、学習に使われる場合が3つ挙げられています。
OpenAIは開発者向けドキュメントで、2023年3月1日以降、APIに送られたデータは、明示的にデータ共有をオプトインしない限り、モデルの学習や改善には使わないと書いています。
Microsoftは、Microsoft 365 Copilotについてプロンプト、応答、Microsoft Graphを通じてアクセスされるデータは、基盤となる大規模言語モデルの学習には使われないと書いています。
Googleは法人向けのページで、利用者の許可なしに、ドメインの外で生成AIモデルの学習に使うことも、人間がレビューすることもないとしています。
このGoogleの記述には「許可なしに」という留保が繰り返し付いています。許可を出す主体が誰なのかまで確認しないと、この一文だけでは条件が決まりません。
こうした留保の付き方は提供元ごとに違います。同じ「学習に使わない」でも、無条件なのか条件つきなのかを、必ず原文の言い回しで確かめてください。
以下は、2026年9月18日に各社の公式ドキュメントで確認した記述の整理です。
| 提供元 | 法人・API契約について書かれていること | 消費者向けプランについて書かれていること |
|---|---|---|
| OpenAI | APIは2023年3月1日以降、明示的にオプトインしない限り学習に使わない | 本記事の作業環境からは公式ヘルプを開けず、確認できていない |
| Anthropic | 商用プロダクトは既定で学習に使わない。フィードバック報告時などは例外 | Claude Free・Pro・Maxは別記事。プライバシー設定で許可を選んだ場合などに使われる |
| 許可なしにドメイン外の学習には使わず、人間のレビューもしない | Geminiアプリは「アクティビティの保存」で扱いが変わる。人間のレビュアーが一部をレビューすることがある | |
| Microsoft | プロンプト・応答・Graph経由のデータは基盤モデルの学習に使わない | 個人アカウントのCopilotには学習用の設定が2つある |
この表は各社の書き方を要約して並べたもので、横に比べて優劣を出すためのものではありません。原文は出典の節からご確認ください。
OpenAIの消費者向けプランの欄が空いている理由も書いておきます。本記事の作業環境からは、同社のヘルプセンターと公式サイトがいずれもアクセスできない状態でした。設定名を推測で埋めることはしません。
本記事が学習利用について並べるのは、ここまでです。各社の例外条項をひとつずつ読み比べる段や、学習の条項と保存の条項がどう絡むかは、ゼロデータ保持(ZDR)の記事が正面から扱っています。
本記事はこのあと、自分の画面のどこを操作するかへ進みます。
消費者向けプランでは、どこを操作すると案内されているか

各社が案内している設定の名前と場所を並べます。
Anthropicは消費者向けの記事で、プライバシー設定の「Model Improvement」という名前で案内しています。設定ページのURLも同記事に書かれています。
同社は、シークレットチャットについては、この設定にかかわらずモデル改善には使わないとも書いています。
なお、この設定の初期値が何であるかは、本記事で読んだ同社のページには書かれていませんでした。初期値は推測せず、自分の画面で現在の状態を確認してください。
Microsoftは、個人のMicrosoftアカウント向けに、「Training on conversation activity」と「Training on voice conversations」という2つの設定を挙げています。
同社は場所を3通りに分けて書いています。
- copilot.comでは、プロフィールアイコンからプロフィール名を選び、Privacyへ進む
- WindowsとmacOSのアプリでは、プロフィールアイコンからSettingsのPrivacyへ進む
- モバイルアプリでは、メニューからプロフィールアイコンを選び、AccountのPrivacyへ進む
Googleは日本語のヘルプで、「アクティビティの保存」という名前で案内しています。設定はGoogleのマイアクティビティ側にあります。
同じヘルプの中には、「Gemini アプリ アクティビティ」という表記も出てきます。自分の画面で探すときは、どちらの名前でも見つかるようにしておくと早いです。
OpenAIのChatGPTについては、本記事の作業環境から公式ヘルプを開けなかったため、設定名も手順も確認できていません。出典の節に同社のページを挙げてあるので、そちらで確認してください。
設定名は変わります。本記事で読んだMicrosoftのページにも、製品名そのものが変更されたという注記がありました。
同じ設定が別の名前で出てくることもあります。手順を社内資料に書き写すときは、日付と出典を必ず一緒に残してください。
設定を切っても残ると説明されているものは何か

ここが、手順だけを書いた記事でいちばん薄くなる部分です。
先に断っておきます。以下の4件は、性質が同じではありません。設定を切った結果として残るものと、そもそも設定とは別の条項で残るものが混ざっています。
どの契約の話かも分かれます。ひとつずつ、どちらなのかを添えて並べます。
Microsoftは個人アカウント向けのページで、オプトアウトが除外するのは今後の会話活動をAIモデルの学習に使うことだけだと書いています。
そのうえで、除外されないものも明記しています。一般的な製品やシステムの改善のための利用、広告・デジタルセーフティ・セキュリティ・法令順守の目的での利用は、この設定では除外されないという書き方です。
GoogleはGeminiアプリの日本語ヘルプ(消費者向け)で、「アクティビティの保存」をオフにしても今後のチャットは72時間保存されるとしています。目的は応答の提供、フィードバックの処理、保護のためだと説明しています。
同社は、人間のレビュアーが収集したデータの一部をレビューすることがあるとも書いています。トレーニングを受けたGoogleのサービスプロバイダのレビュアーを含む、という書き方です。
そのうえで同社は、レビュアーに見られたくない機密情報は入力しないでほしいと明記しています。
ここまでの2件は、設定を切った結果として残るものです。残りの2件は性質が違います。
OpenAIはAPI向けの開発者ドキュメント(法人・開発者向け)で、不正利用監視のログを既定で最大30日保持すると書いています。法令上より長い保持が必要な場合などは除く、という条件つきです。
これは設定を切った結果ではありません。APIにはここまで見てきた画面の設定がなく、保持そのものについての条項です。
同社はこの保持を絞る仕組みも挙げていますが、いずれも事前の承認と登録が必要だとしています。申し込めばすぐ切り替わるものとしては書かれていません。
Anthropicは消費者向けの記事で、サムズアップやサムズダウンでフィードバックを送ると、会話全体を最大5年間、保護されたシステムに保管すると書いています。
これも設定を切った結果ではありません。フィードバックを送るという別の操作が起点になっています。
つまり、学習に使われないことと、何も残らないことは別の話です。設定を切ったかどうかとも、必ずしも紐づいていません。
保存の側をどこまで確認するかは、ゼロデータ保持(ZDR)の記事の担当です。本記事は画面の設定までを受け持ちます。
万一のときにどう動くかは、情報漏えいの記事が扱っています。
無料プランと法人プランで何が変わるのか

ここまでを踏まえると、よくある質問にはこう答えることになります。
「生成AIは学習に使われますか」という問いには、契約を決めないと答えられません。
本記事で開いた4社の文書は、いずれも消費者向けと法人・API向けで分かれていました。同じ社名でも、読むページが変わります。
社内で使うときにやりがちなのは、個人のアカウントのまま業務の資料を入力してしまうことです。この状態はシャドーAIの記事が扱っています。
この場合、会社が結んだ契約ではなく、個人アカウント側の説明が当てはまることになります。Microsoftは、個人アカウント向けのページに職場や学校のアカウントには当てはまらないと書いていました。
そもそも外に出さないという選び方もあります。ローカルLLMの記事が、どこで計算するかという観点から整理しています。
なお、本記事は各社の文書に書いてあることを並べたものです。本記事で読んだ範囲では、この設定で安全になると書いている提供元はありませんでした。
社内ではどの順番で確認すればよいか

担当者が自分で進められる順番に並べます。
1. 契約と製品を特定する。個人アカウントか、会社契約か。製品名とプラン名まで書き出します。
2. その契約に対応する提供元の文書を開く。本記事で見たとおり、消費者向けと法人向けでページが分かれています。
3. 設定の画面を開いて、現在の状態を控える。名前が変わることがあるので、確認した日付も一緒に残します。
4. 切っても残ると書かれているものを控える。保存期間、人間によるレビュー、フィードバック送信時の扱いの3つが、本記事で読んだ範囲では繰り返し出てきました。
このとき控えるのは、値だけでは足りません。提供元名、ページ名、確認した日付、対象のプラン名まで一緒に残してください。
設定名も保持期間も変わります。出所と日付が残っていない社内資料は、次に誰かが読んだときに検証できなくなります。
5. 社内ルールに反映する。入力してよい資料の区分は機密情報の記事が、ルール文書の形はAI利用ポリシーと生成AIガイドラインの記事が扱っています。
1と2は担当者が自分で終えられます。3の設定変更が会社アカウント側の権限に関わる場合や、契約の条件そのものを確認したい場合は、情報システムの担当や契約の窓口に渡すのが早いです。
学習させない設定で押さえることは何か
最後に3つだけ残します。
1つ目は、学習・保存・履歴が別の話だということです。設定を切っても、保存や履歴の話は別に確認が要ります。
2つ目は、契約を決めないと読むページが決まらないということです。本記事で開いた4社は、いずれも消費者向けと法人向けを別の文書にしていました。
3つ目は、切っても残ると各社が書いているものがあるということです。保存期間、人間によるレビュー、フィードバック送信時の扱いを控えておくと、社内の説明が通りやすくなります。
自社の契約でどこまで確認すればよいか迷う場合は、お問い合わせからご相談ください。
この記事の出典
本文で引いた記述は、次のページを2026年9月18日に開いて確認したものです。
- OpenAI「Your data」
- Anthropic「Is my data used for model training?」(商用プロダクト向け)
- Anthropic「Is my data used for model training?」(消費者向けプロダクト向け)
- Google「Gemini アプリのプライバシー ハブ」
- Google「Generative AI in Google Workspace Privacy Hub」
- Microsoft「Microsoft Copilot privacy controls」
- Microsoft「Data, Privacy, and Security for Microsoft Copilot」
- OpenAI ヘルプセンター「Data Controls FAQ」(本記事の作業環境からは開けませんでした)
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