機密情報とは?生成AIに資料を送る前に知っておきたい営業秘密との違い

生成AIに資料の要約や下書きを頼む前、資料名に「機密」や「社外秘」と付いていると、どこまで確認すればよいか立ち止まることがあります。
このとき、機密情報、営業秘密、個人に関する情報を同じ言葉としてまとめると、確認する根拠や相談先がずれることがあります。
この記事では、生成AIへ資料を送る前の分類に範囲を絞り、機密情報の捉え方、営業秘密との違い、社内ルールへつなぐ順番を解説します。
この記事では、資料を分類するときにどこを確認すればよいかを解説します!
この記事の監修者

AIリスキル株式会社 代表取締役
AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。
実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など
機密情報は生成AIの前に何を整理する言葉か

本記事では機密情報を、資料を使う前にどのような扱いが必要かを社内でそろえるための運用上の区分として扱います。生成AIへ資料を送る前は、資料の扱いと確認先を整理する入口になります。
資料に「機密」や「社外秘」と表示されている場合だけが対象ではありません。取引先との約束、社内規程、個人に関する情報、未公開の事業や技術に関する情報も、扱いを確認する根拠になります。
内閣官房国家サイバー統括室の関係法令Q&Aハンドブックは、営業秘密を法律上の用語とし、機密情報や秘密情報を似た用語として区別して説明しています。
本記事で確認した範囲では、すべての企業に共通する機密情報の分類名や段階数を定める公的資料は確認できませんでした。名称だけで決めず、その資料に関係する規程や契約を確認します。
まず資料の扱いに関わる根拠を分ける
一枚の資料に複数の根拠が重なることがあります。資料を一つのラベルだけで扱わず、何を確認するかを分けて残します。
| 確認する根拠 | 資料で見つける例 | 分類で残すこと |
|---|---|---|
| 資料の表示 | 機密、社外秘、配布先の表示 | 表示の内容と版を確認する |
| 契約や約束 | 取引先の資料、共同作業の記録 | 関係する契約や共有条件を確認する |
| 社内規程 | 文書管理規程、情報分類のルール | 該当する区分と確認先を確認する |
| 情報の内容 | 個人に関する情報、未公開の事業・技術情報 | 資料内でどの情報が関わるかを確認する |
この表は、資料を機械的に分類するための正解ではありません。自社の規程や契約に照らして、確認する根拠を見落とさないための整理です。
営業秘密と機密情報はなぜ同じ扱いにしないのか

経済産業省は、営業秘密を不正競争防止法で定義される、有用性、秘密管理性、非公知性の3要件を満たす情報と説明しています。これは、社内で機密と呼ばれる資料すべてに自動で当てはまるという説明ではありません。
社内で「機密」と呼ぶ資料が、直ちに営業秘密に当たるとは限りません。資料の社内表示は日常の扱いを共有するための手がかりであり、営業秘密は法律上の要件を確認する概念として分けて考えます。
経済産業省の営業秘密管理指針は、営業秘密として法的保護を受けるために必要となる管理水準などを扱う資料です。資料名に付いた表示だけで、要件の充足を判断するものではありません。
3要件は自己判定のチェックリストではない
秘密管理性は、情報を秘密として管理していることに関わる要件です。有用性は事業に役立つ情報であること、非公知性は一般に知られていないことに関わる要件です。
3要件は、営業秘密という法律上の概念を理解するための軸です。生成AIへ送るかどうかを個人が決めるための簡易チェックリストとしては扱いません。
| 言葉 | この文脈で見る役割 | まず確認する根拠 |
|---|---|---|
| 機密情報 | 資料の扱いと確認先を社内でそろえる | 資料の表示、社内規程、契約 |
| 営業秘密 | 不正競争防止法上の要件を考える | 3要件と管理の実態 |
| 個人に関する情報 | 個人に関する情報が含まれる資料を分けて確認する | 社内の個人情報に関するルール |
同じ資料に複数の観点が重なる場合もあります。一つの言葉に寄せて結論を急がず、根拠ごとに確認先を分けることが大切です。
生成AIへ送る前はどの順で資料を分類するか

ここでの目的は、資料を生成AIへ送ってよいかどうかを一律に決めることではありません。可否の前に、資料にどの根拠が関わり、誰に確認するかをそろえます。
まず、資料そのものと添付ファイルを見て、表示、作成元、版、共有先が分かる情報を確認します。資料の一部だけを取り出す場合も、元の資料に付いた表示や条件を確認します。
次に、取引先との契約、社内の情報分類規程、個人に関する情報の取り扱いルールなどを照らします。資料を受け取った経緯や用途が分かると、確認すべき規程を探しやすくなります。
最後に、分類した根拠と、確認が必要な点を残します。資料名だけでなく、どの規程や契約を見たか、誰に確認するかを記録すると、次の担当者にも伝わります。
一枚の資料にも複数の確認が重なる
資料の種類だけで扱いを決めるのではなく、資料の中に何が含まれるかを見ます。次の例は、確認の入口を示すものであり、分類や利用可否の結論ではありません。
| 資料の例 | 確認の入口 | 分けて残すこと |
|---|---|---|
| 取引先との打ち合わせ資料 | 資料の配布条件、取引先との契約 | 共有先、契約上の条件、相談先 |
| 顧客や従業員に関する一覧 | 社内の個人情報に関するルール | 含まれる項目、扱う目的、確認先 |
| 未公開の提案や開発に関する資料 | 機密表示、情報分類規程、知財の確認先 | 資料の版、表示、関係する規程 |
資料の一部を抜き出しても、元の資料に関わる条件が消えるわけではありません。要約、抜粋、表への転記などの前にも、資料全体の根拠を確認します。
分類結果を社内ルールにつなぐには何を見るか

資料を分類した後は、その結果を社内のルールや確認の流れに結び付けます。分類だけを記録しても、誰が確認し、どの文書を参照するかが不明だと運用につながりません。
AI利用ポリシーでは資料分類をどう扱うか
AI利用ポリシーは、会社でAIを使う範囲や、入力前に何を確認するかを社内で示す文書です。資料の分類結果をどのルールへつなぐかを整理したい場合は、AI利用ポリシーの記事を参照してください。
この記事では、ポリシーにどの利用可否を書くべきかは決めません。資料の分類で見つけた表示、契約、確認先を、ポリシーの確認項目や相談の流れへ渡すところまでを考えます。
データガバナンスとシャドーAIは別の役割を持つ
分類した資料を誰が管理し、どのルールで扱うかを考えるときは、データガバナンスの記事が役立ちます。資料そのものの管理と、AIの使われ方を分けて考える視点を補えます。
シャドーAIの記事は、会社が把握していないAI利用を扱います。機密情報の記事は資料分類の入口にとどめ、利用実態や組織の運用は関連する記事へ分けます。
迷った資料はどこまで自分で決めるべきか

営業秘密に当たるか、個人に関する情報をどう扱うか、生成AIの利用可否を個人だけで断定する必要はありません。資料に付いた表示、契約、社内規程を確認し、定められた相談先へ渡します。
相談先は、会社によって情報セキュリティ、法務、知財、個人情報の担当など異なります。本記事で確認した範囲では、すべての会社に共通する担当部署や承認手順は確認できませんでした。
確認を依頼するときは、資料の名称、作成元、共有先、関係する表示や契約、不明な点を短く添えます。確認した人が資料の背景をたどれるようにすると、分類のやり直しを減らせます。
社内に確認先が示されていない場合は、その状態自体をルール整備の論点として残します。個別の資料の判断を急ぐより、次に同じ資料が出たときの確認先を決める材料になります。
機密情報の整理で押さえることは何か
機密情報は、生成AIへ資料を送る前に、資料の扱いと確認先を整理するための入口になります。資料の表示だけでなく、契約、社内規程、情報の内容を分けて確認します。
営業秘密は、有用性、秘密管理性、非公知性という要件を持つ法律上の概念です。社内で機密と呼ばれる資料すべてと同一視せず、該当性や利用可否を個人で断定しないことが重要です。
資料の区分とAI利用ポリシーを整理したい企業の方へ
資料の区分とAI利用ポリシーを社内で整理したい場合は、お問い合わせはこちらからご相談ください。
この記事の出典
- 営業秘密~営業秘密を守り活用する~(経済産業省、2026年4月15日最終更新)
- 営業秘密管理指針(経済産業省、2025年3月31日最終改訂)
- 関係法令Q&Aハンドブック(内閣官房国家サイバー統括室、Ver2.0〈2023年9月公開、2024年12月誤記訂正、2025年12月HTML版公開。掲載内容はVer2.0公開時点〉、2026年9月15日確認)
- 資料2「秘密情報の保護ハンドブック」・「限定提供データの指針」における生成AIに関する記載部分(経済産業省知的財産政策室、令和6年3月(2024年3月)、2026年9月15日確認)
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