AIリスク評価とは?個別用途を始める前に確認することと、対策判断の進め方

業務でAIを使う案は、用途、入力する情報、出力を使う人によって、確認したい点が変わります。便利かどうかだけで、同じように扱えるわけではありません。
この記事では、「AIリスク評価」を会社で使ってよいかを一律に決める表や、どの部署でも共通の合格基準としては扱いません。個別の用途と社内の状況を離れて、利用の可否を決めることもできません。
この記事では、AIリスク評価を、個別用途を始める前にリスクを洗い出し、対策や確認の必要性を判断する工程として整理します。NISTの枠組みの紹介と、本記事が提案する整理例は分けて扱います。
NISTの枠組みと、本記事が提案する整理例を分けて読めます!
この記事の監修者

AIリスキル株式会社 代表取締役
AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。
実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など
AIリスク評価とは何か
本記事ではAIリスク評価を、AIを特定の業務で使い始める前に、何が起こり得るかを整理し、対策や社内確認が必要かを考える工程として扱います。対象はAIそのものだけでなく、用途、入力、出力、その結果を受け取る人まで含みます。
NIST AI RMF 1.0は、リスクを事象の発生可能性と、その結果の大きさを組み合わせて捉えています。影響は利用文脈によって変わるため、AIの名前だけで同じリスクだと決めない考え方です。

ここでいう評価は、AIの出力を採点する技術テストだけではありません。業務での使い方を決める前に、確認が必要な論点を見える形にする作業です。
評価はいつ何のために行うのか
AIリスク評価は、個別用途を始める前に行うと、用途そのものを変える、対策を追加する、関係者へ確認する、といった選択につなげやすくなります。開始後の監視や改善を置き換える工程ではありません。
たとえば、社内資料の要約と、顧客へ出す案内文の作成では、同じ文章生成AIでも出力の使われ方が異なります。評価では、用途の違いを先に分けて考えます。

評価で得たいのは、利用開始の許可ではありません。何を確認し、誰に相談し、どの対策を検討するかを判断するための材料です。
最初に何を見ればよいのか
最初に見る観点は、用途によって変わります。本記事では、リスク名を固定したチェックリストではなく、次の問いで用途をほどく整理例を提案します。

用途と期待する結果は何か
AIに何を任せ、出力を下書き、社内判断、対外発信のどこで使うのかを言葉にします。期待する結果と、誤った場合に業務で起こり得ることを並べると、確認すべき点が具体化しやすくなります。
扱う情報と出力はどこへ行くのか
入力する情報の種類、AIから出た内容を誰が見るか、どこへ転記・共有するかを整理します。利用サービスの設定やデータの扱いはサービスごとに異なるため、一般論で補わず公式資料を確認します。
影響を受ける相手と社内の確認先は誰か
出力をもとに判断する人、案内を受ける人、影響を受ける可能性がある相手を考えます。同時に、社内の利用規程や、確認を受け持つ部署・担当者があるかを早めに確認します。
この4観点は、本記事の整理例です。すべての用途で同じ深さまで確認することや、この順番で進めることを求めるものではありません。
対策の要否はどう判断するのか
洗い出した論点は、合格か不合格かだけで扱いません。本記事では、用途を見送る・変える、対策を検討する、追加で確認する、という次の検討先に分ける方法を提案します。

用途を見送るか変えるかを検討する
期待する結果を確かめられない、影響を受ける相手への説明が難しい、必要な情報を扱えないといった論点が残る場合は、用途や出力の使い方を変える選択があります。判断を急がず、AIを使わない方法も比較対象に残します。
対策や追加確認を検討する
人が出力を確認する、入力する情報を制限する、利用できるサービスを社内で定める、といった対応が候補になることがあります。どの対応が必要かは用途と社内の条件によるため、対策を置けば安全になるとは扱いません。
人の確認を処理の途中に置く設計を深掘りしたい場合は、Human-in-the-loopの記事で、承認・修正・却下をどこに置くかを確認できます。これは評価工程そのものではなく、評価後に選べる制御の一つです。
NIST AI RMFの4機能はどう参考にするのか
NIST AI RMFは、AIリスクを扱う活動をGOVERN、MAP、MEASURE、MANAGEの4機能で整理しています。GOVERNは、他の3機能にまたがるものとして位置付けられています。
MAPでは利用文脈とリスク、MEASUREでは評価・分析・追跡、MANAGEでは優先付けと対応を扱います。これはNISTが示す枠組みの説明です。

NISTは、これらの行動をチェックリストでも、必ずしも順番どおりに実施する手順でもないと説明しています。NISTの4機能は、利用文脈に応じて考えるための参照枠として読めます。
本記事では、NISTの4機能を社内手順として採用することは提案しません。個別用途の開始前には、用途、扱う情報、影響を受ける相手、社内の確認先を話題にする整理例を提案します。
この整理例も固定テンプレートではありません。答えられない問いを関係者へ持ち帰り、対策や追加確認の必要性を判断するための起点です。
会社で使ってよいかは何を確認するのか
個別用途を会社で使ってよいかは、本記事では判定しません。利用できる情報、社内のルール、利用サービスの条件、用途による影響が分からないまま、一般論で決めることはできないためです。

確認先としては、社内のAI利用規程や情報の扱いに関するルール、用途を所管する部署、利用サービスの公式資料が考えられます。必要に応じて、情報セキュリティ、法務、個人情報、調達などの担当者へ論点を共有します。
経済産業省のAI事業者ガイドラインの公式ページは、第1.2版のほか、チェックリストとワークシートを掲載しています。これらを読んだだけで個別用途の可否が決まるとは扱わず、用途と社内の確認先に照らして使います。
似た用語とはどう違うのか
AIリスク評価は、原則、体制、制御のすべてを一語で表すものではありません。本記事では、個別用途を始める前の評価工程として、関連する用語と次のように分けます。

| 用語 | この記事で分ける役割 | 深掘り先 |
|---|---|---|
| AIリスク評価 | 個別用途の開始前に、リスクと対策・確認の必要性を整理する工程 | 本記事 |
| AIガバナンス | 責任者、意思決定、運用の仕組みを整えること | AIガバナンスの記事 |
| 責任あるAI | AIの開発・提供で何を目指すかを考える原則群 | 責任あるAIの記事 |
| Human-in-the-loop | AIの処理に人の承認・修正・却下を挟む制御 | Human-in-the-loopの記事 |
AIリスク評価で見つけた論点は、全社の役割分担が必要ならAIガバナンスへ、人の確認が必要ならHuman-in-the-loopへつながることがあります。どの工程が必要かは、用途ごとに改めて考えます。
評価の後は何を決めるのか
AIリスク評価では、個別用途を始める前に、用途、扱う情報、影響、確認先を整理します。その結果をもとに、用途を変えるか、対策を検討するか、追加で確認するかを関係者と決めます。
NIST AI RMFの4機能は、AIリスクを考える参照枠の一つです。本記事の整理例と同じものではなく、固定した順番や安全の合格基準としても扱いません。
個別用途の確認を社内で進めたい企業の方へ
評価で残った確認事項を、業務の設計やAI利用のルールにどうつなぐかを整理したい場合は、お問い合わせはこちらからご相談ください。
この記事の出典はどこか
- NIST AI RMF Playbook(National Institute of Standards and Technology、2026-09-16確認)
- AI RMF Core(National Institute of Standards and Technology、AI RMF 1.0の抜粋、2026-09-16確認)
- NIST AI RMF Playbook FAQs(National Institute of Standards and Technology、2025-03-18更新、2026-09-16確認)
- Framing Risk(National Institute of Standards and Technology、AI RMF 1.0の抜粋、2026-09-16確認)
- AI事業者ガイドライン(経済産業省、第1.2版掲載ページ、2026-04-01更新、2026-09-16確認)
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