SOP(標準作業手順書)とは?AI導入で手順を人とAIに渡せる形にする方法

生成AIを業務で試すとき、依頼文だけでは、作業の順番や引き継ぎに必要な条件が残りにくいことがあります。人が確認する場面とAIに渡す場面が混ざると、次の担当者にも説明しにくくなります。
そこで候補になる言葉が、SOPです。ただしAIに渡せば自動的に業務を任せられる書類ではありません。
この記事では、SOPをAI導入でどう位置づけるか、業務棚卸しや承認フローとどう分けるか、社内で何を確認するかを整理します。
この記事では、業務棚卸しの後にSOPをどう整えるかを解説します!
この記事の監修者

AIリスキル株式会社 代表取締役
AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。
実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など
SOPとはAI導入で何を整えるものか
SOPは、Standard Operating Procedureの略として使われる言葉です。本記事では、決めた業務を人にもAIにも渡せるよう、開始条件、手順、分岐、完了条件を整理する文書として扱います。
一例として、FDAの医薬品評価研究センターであるCDERは、自らの内部手続のための文書でSOPを説明しています。そこでは、部局内の詳細な手順を記す文書として、責任分担や発行・改訂・廃止の日付を含める例が示されています。
このFDA資料は、FDA CDERの内部手続についての例です。日本企業の一般業務に同じ項目を求める資料ではないため、本記事では業界固有の要件を定めません。
SOPとマニュアルの言い分けは、会社や業界で異なり得ます。本記事では、背景知識や幅広い操作説明まで含み得るマニュアルと分け、SOPを一つの業務の実行順と条件に焦点を置く文書として説明します。

AI導入では、業務の流れをそのまま長文で渡すよりも、どこから始め、どこで確認し、どの条件で止めるかを分けておくと、関係者で話す対象をそろえやすくなります。SOPは、その整理を残す単位の一つです。
ここでいう再現は、同じ結果が自動的に出るという意味ではありません。担当者が迷ったときに、参照する情報と確認者へ戻れるよう、作業の道筋を共有するという意味です。
AI導入ではSOPをどの段階で作るか
SOPは、AIで試す候補業務を選ぶ前の一覧ではなく、候補を選んだ後に個別の手順を整える工程として扱います。最初から全業務をSOPにするのではなく、対象を一つに絞って確認を始める方法があります。
候補業務を比べる前段は、業務棚卸しとはで扱う役割です。棚卸しで候補を選んだ後、その業務を人にもAIにも渡せる形にするのが本記事でいうSOPです。

たとえば問い合わせ内容を下書きする業務なら、受け付ける情報、AIに渡す前の確認、下書きの戻し先、送信前の判断を分けて書きます。どの情報をAIへ入力できるかは、手順の作成と別に社内で確認します。
AIワークフローや承認フローとどう分けるか
近い言葉を一つの文書にまとめすぎると、誰が何を決めるのかが見えにくくなります。SOPは具体的な実行手順、AIワークフローは手順全体の設計、承認フローは出力を使う前の判断を主に扱います。

| 用語 | 本記事で主に扱うこと | SOPとの関係 |
|---|---|---|
| 業務棚卸し | 試す候補業務を比較できる形に出すこと | SOPの前に、どの業務を整えるかを選ぶ |
| AIワークフロー | 人、AI、ツールのつながりや条件を設計すること | SOPは設計された流れの中で、個別業務の実行手順を記す |
| 承認フロー | AIの出力を業務で使う前に、誰がどう判断するかを決めること | SOPに承認へ渡す手順は書けるが、承認基準そのものは置き換えない |
手順の組み立て方を詳しく知りたい場合は、AIワークフローとはを参照してください。出力を使う前の判断を設計する場合は、承認フローとはが別の入口になります。
SOPには何を書き分けるか
SOPに一律の必須項目があるとは、本記事で確認した範囲では言えません。本記事では、AIを使う業務について関係者が確認しやすくするため、次の項目を分けて書く方法を提案します。

手順の前後を決める項目
- 開始条件: どの依頼、記録、状態になったら作業を始めるか
- 完了条件: 何を残し、誰へ渡したら作業を終えるか
- 責任者: 作業する人、確認する人、例外を判断する人をどう分けるか
開始と完了を決めずに手順だけを書くと、同じ作業名でも扱う範囲が変わることがあります。人が引き継ぐ場合とAIを補助に使う場合で、どこまでを同じ手順にするかも先に決めます。
AIが扱う情報と出力を分ける項目
- 入力: AIへ渡す情報と、渡す前に確認する情報
- 実行手順: 指示、参照先、作業順、途中で人が確認する場所
- 出力: AIの出力をどこへ保存し、誰が内容を確認するか
- 例外: 情報が足りない場合、想定外の出力が出た場合、作業を止める場合の戻し先
入力と出力を同じ欄にせず、別の項目にすると確認する相手を分けやすくなります。SOPは、AIの出力内容が常に正しいとみなすための文書ではありません。
会社でAIを使う前にSOPで何を確認するか
SOPだけでは、会社でAIを使ってよいか、どの情報を入力できるか、どこまで任せられるかは決まりません。この記事だけで法的またはセキュリティ上の可否を判定することもできません。

利用前に確認する相手
業務の責任者には、作業の目的、完了条件、例外時の戻し先を確認します。承認者がいる業務では、どの出力を誰が確認してから使うかも確認します。
AI利用の方針やサービス管理を担当する人には、社内のAI利用ポリシー、扱う情報の区分、利用予定のサービスや契約の条件を確認します。確認先や呼び方は会社によって異なるため、本文では特定の部署名を前提にしません。
SOPに書かないこと
未確認の利用可否を、SOPの中で許可として書かないようにします。法令や契約の解釈、システムの安全性の判定も、手順書だけで結論づけません。
確認が終わっていない項目は、空欄のまま進めるより、確認先と保留の理由を記します。誰が決めるかを残すことで、作業担当者が独自に判断する前に戻る先を示せます。
SOPはどう見直すか
本記事では、AIを使う業務のSOPを、業務や利用条件が変わったときに見直す対象として扱います。更新の時期を一律に決めるより、見直しが必要になった出来事を関係者で決めておく方法があります。

FDA CDERの資料には、同機関のSOPを継続的な関連性と正確さのために評価する目安も書かれています。この目安はFDA CDERの内部文書の例であり、自社の更新周期をそのまま決める根拠にはしません。
本記事で見直しのきっかけとして置く例は、使う情報が変わった、AIへ渡す指示を変えた、確認者や承認条件が変わった、例外が起きた、といった出来事です。更新した日、変更した理由、確認した人を残すことも、本記事では古い手順と混ざらないように整理する方法として扱います。
SOPを次の業務でどう使うか
最初に、業務棚卸しで候補にした仕事から一つを選びます。次に、その仕事の開始条件、AIに渡す情報、人が確認する出力、例外時の戻し先を書き分けます。

SOPは、候補業務を選ぶ棚卸し、手順全体を設計するAIワークフロー、出力の利用を決める承認フローを一つに置き換えるものではありません。それぞれを分けたうえで、個別業務の実行手順を残す役割として使います。
AIを使う業務の手順と確認者を整理したい企業の方へ
自社の候補業務に合わせて、SOP、承認、例外時の戻し先を整理したい場合は、法人向けの相談窓口を利用できます。お問い合わせはこちら
この記事の出典
- Developing, Issuing, and Maintaining Standard Operating Procedures for CDER(FDA Center for Drug Evaluation and Research、2023年2月1日改定、2026年9月16日確認)
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