生成AIガイドラインとは?社内ルールで決める4つのことと、ひな形・国の指針の使い方

生成AIガイドラインとは、社員がChatGPTなどの生成AIを業務で使うときのルールをまとめた社内文書です。会社によって「AI利用ポリシー」「社内AIルール」とも呼ばれます。
決めることは、使ってよいAI、入れてよい情報、出てきた答えの確かめ方、迷ったときの相談先の4つです。ゼロから書かなくても、無料のひな形と国の指針を下敷きにすれば、数ページの文書から始められます。
この記事では、近い言葉との違い、決める4つのこと、下敷きにする資料、新しい使い方の前の確認、作ったあとの運用を順に見ていきます。読み終えると、自社のガイドラインを何から書き始めるかを決められます。
国のAI事業者ガイドラインと社内ルールの違いも、表で整理しています!
この記事の監修者

AIリスキル株式会社 代表取締役
AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。
実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など
生成AIガイドラインとは、社員がAIを使うときの社内ルールの文書

ガイドラインがあると、社員は「これはAIに頼んでよいのか」を毎回ひとりで悩まずに済みます。判断のよりどころがそろうので、部署ごとに使い方がばらつくことも減ります。
似た言葉がいくつかあり、社内の会議で混ざりやすいので、何を指すかを先にそろえておきます。
| 言葉 | 何を指すか | 生成AIガイドラインとの関係 |
|---|---|---|
| 生成AIガイドライン(AI利用ポリシー) | 社員向けの、AIを使うときのルールの文書 | 本体 |
| AIガバナンス | 誰が決め、誰が確かめ、何かあれば誰が止めるかという、会社の体制 | ガイドラインはこの体制の中で作る文書 |
| AI事業者ガイドライン | 総務省・経済産業省がまとめた、AIを扱う事業者向けの国の指針 | 社内ルールを作るときの下敷き |
| AIリスク評価 | 新しい使い方を始める前に、起こりうる問題を洗い出すこと | ガイドラインに確認の手順として組み込む |
AIガバナンスは「会社の仕組み」、ガイドラインは「その仕組みの中で社員に配る文書」と考えると区別しやすくなります。専任の部署がなくても、情報システムや総務の担当者が兼務で責任者になれば、小さな会社でも始められます。
決めることは「使ってよいAI・入れてよい情報・答えの確かめ方・相談先」の4つ

ガイドラインに書く項目は会社によって違いますが、次の4つがそろえば、社員が迷う場面の大半に答えられます。
| 決めること | 書き方の例 |
|---|---|
| 使ってよいAI | 「会社が契約したChatGPTのBusinessは使ってよい」「個人アカウントのAIは業務に使わない」 |
| 入れてよい情報 | 「公開済みの資料は入れてよい」「顧客名や個人情報は、名前を伏せてから会社のAIに入れる」「未発表の決算情報は入れない」 |
| 答えの確かめ方 | 「社外に出す文書は、数字と固有名詞を人が元の資料で確かめる」 |
| 相談先と見直し | 「迷ったら情報システム部の窓口へ」「年2回、ルールを見直す」 |
使ってよいAIは、「使ってよい」「条件つきで使える」「使わない」の3段階に分けると、現場が判断しやすくなります。条件つきの例は、社外に出す文書に使うときは上長が中身を確かめる、といった形です。
入れてよい情報の線引きでは、個人情報に特に気をつけます。個人情報保護委員会は、生成AIに個人情報を入れる会社に対し、利用目的の範囲内か、提供元が学習に使わないかを十分確かめるよう呼びかけています。
AIの答えには、もっともらしい誤り(ハルシネーション)が混ざります。答えの確かめ方を書いておくのは、そのためです。
会社として使うAIの学習の扱いは、AIに学習させない設定でサービスごとに比べています。
ひな形と国の指針を下敷きにすれば、ゼロから書かずに済む

社内ルールは、公開されている資料を下敷きにすると早く作れます。目的に合わせて、次の3つを使い分けます。
| 資料 | 発行元 | 使いどころ |
|---|---|---|
| 生成AIの利用ガイドライン(ひな形) | 日本ディープラーニング協会(JDLA) | 社内ルールの条文の土台。無料で、条項のみの版と解説つきの版、画像編がある |
| AI事業者ガイドライン(第1.2版) | 総務省・経済産業省 | 会社として何に気をつけるかの全体像。チェックリストとワークシートがある |
| テキスト生成AI利活用におけるリスクへの対策ガイドブック | デジタル庁 | 使い方ごとのリスクと対策を詳しく知る |
一番手早いのは、JDLAのひな形を自社の状況に合わせて直す方法です。ひな形は、条項だけの版と、各条の意図を書き添えた版が無料で公開されています。
直すときは、自社で契約しているAIサービスの名前と、自社の業務でよく出る「入れてはいけない情報」の具体例を、ひな形の条文に書き足します。抽象的な条文のままだと、現場は自分の仕事に当てはめられません。
AI事業者ガイドラインは国が示す指針ですが、法律とは違い、罰則のない「ソフトロー」と位置づけられています。
対象を「AI開発者」「AI提供者」「AI利用者」に分けていて、ChatGPTなどを契約して業務で使う会社は「AI利用者」の部分を読みます。
経済産業省は、このガイドラインのチェックリストとワークシートのほか、活用の手引きも公開しています。自社のルールに抜けがないかを確かめるときに使えます。
作ったあとは、新しい使い方の確認と見直しを続ける

ガイドラインは、作って配ったところが始まりです。運用で続けることは、新しい使い方の確認、周知、見直しの3つです。
新しい使い方は、始める前に小さなリスク確認を挟みます。 ガイドラインで決めた範囲を超える使い方が出てきたら、起こりうる問題を先に洗い出します。
これがAIリスク評価で、大がかりな審査にしなくても、4つの問いで十分です。
AIに何を任せるのか、どんな情報を入れるのか、出てきた答えを誰が見てどこで使うのか、間違えたときに影響を受けるのは誰か、の4つです。
たとえば社内会議の議事録の要約と、顧客向けの案内文の作成では、同じ文章生成AIでも影響の大きさが違います。顧客に届くものは、人が確かめる手順を必ず入れる、といった違いがここで決まります。
答えに大きな問題が残る使い方は、やり方を変えるか、AIを使わない方法と比べ直します。この確認の手順をガイドラインに1項目として書いておくと、新しい使い方の相談が担当者に集まりやすくなります。
周知は、配るだけで終わらせません。 会社が知らないところでAIが使われるシャドーAIは、ルールが現場に届いていない会社ほど起きやすくなります。
周知は、「なぜ気をつけるのか」を例で示す研修が効きます。禁止事項を読み上げるより、実際にあった失敗の例を見せるほうが記憶に残ります。
見直しの時期も、文書に書いておきます。 AIの新しい機能やサービスは毎月のように出るので、半年に1回など決めておかないと、ルールがすぐ古くなります。
見直しのときは、相談窓口に寄せられた質問を材料にすると、現場で迷いやすい点から直せます。
現場にAIの使い方の手本を示す推進役を置く会社も増えています。推進役の役割は社内AIチャンピオンとはで、社員の学び直しの進め方はAIリスキリングとはで詳しく見られます。
まとめ
生成AIガイドラインは、社員が生成AIを業務で使うときのルールをまとめた社内文書です。使ってよいAI、入れてよい情報、答えの確かめ方、相談先の4つを決め、新しい使い方の前の確認と、定期的な見直しを組み込みます。
まず手をつけるなら、JDLAのひな形をもとに、社内で使っているAIと、入れてはいけない情報の例を書き足した2〜3ページの文書を作るところから始められます。
社内のAI利用ルールを作りたいものの、自社の業務に合わせた線引きや、社員への研修まで含めてどう進めるかに迷う場合は、運営会社のAIリスキルがご相談を受けています。
この記事の出典
- AI事業者ガイドライン(経済産業省、第1.2版、2026年10月4日確認)
- AI事業者ガイドライン(第1.2版)本編(総務省・経済産業省、2026年3月31日、2026年9月17日確認)
- 生成AIの利用ガイドライン(日本ディープラーニング協会、第1.1版、2026年10月4日確認)
- テキスト生成AI利活用におけるリスクへの対策ガイドブック(α版)(デジタル庁、2025年6月6日更新、2026年10月4日確認)
- 生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について(個人情報保護委員会、2023年6月2日公表、2026年10月4日確認)
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