A2Aプロトコル(Agent2Agent)とは?MCPとの違いは「つなぐ相手がツールかエージェントか」|v1.0はいつ出たか

社内の部署ごとに、別々のAIエージェントが動きはじめた。
営業は営業のツール、問い合わせ対応は別のツール。そんな状態になってきた会社は増えているのではないでしょうか。
次に出てくるのは、だいたい同じ相談です。これらを一本につなげられないか、という話です。
ところが調べはじめると、似た言葉が二つ出てきます。A2AとMCPです。
どちらの説明にも「AIをつなぐためのオープンな規格」と書かれています。しかも記事によって、書いてあることの前提がそろっていないように見えます。
この記事では、A2Aプロトコルが何を決めた規格なのか、MCPとは何が違うのかを整理します。あわせて、社内で試す前に確認しておきたい点も並べます。
突き合わせたのは、A2A公式の説明と、MCP公式仕様の自己記述です。
両者の関係をどう見るかについては、本記事が読んだ範囲ではA2A側の説明しか見つかりませんでした。
A2A公式の説明を読むかぎり、どちらかを選ぶ話ではありませんでした。ただ、読んでいる説明がいつ書かれたものかは、見たほうがよさそうです!
この記事の監修者

AIリスキル株式会社 代表取締役
AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。
実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など
A2Aプロトコルとは、何を決めた規格ですか

はじめに、まぎらわしい言葉を切り分けておきます。
この記事で扱うA2Aは、Agent2Agentの略です。決済の分野にも、同じ綴りの別の言葉があります。
Stripeの解説ページは、A2A決済を、カードネットワークや決済代行業者といった仲介者を介さずに2つの銀行口座間で直接資金を送金する方法だと説明しています。この記事で扱うのは、そちらではありません。
そのうえで本題に入ります。A2A公式ドキュメントは、A2Aを次のように説明しています。
AIエージェント同士が通信するためのオープンな標準だと書かれています。
A2Aサイトのトップページはさらに、さまざまなフレームワークや別々のベンダーがエージェントを作る世界で、A2Aが相互運用のための共通の言葉を与えると書いています。
要点は、この「共通の言葉」という部分です。言葉を与える相手は、人間ではなくAIエージェント同士です。
A2Aの仕様書は、そこで何ができるようになるかを4つ挙げています。
- 互いの能力を発見すること
- やり取りの形式を交渉すること
- 共同のタスクを管理すること
- 互いの内部状態やメモリやツールに触れることなく、安全に情報を交換すること
最後の1つは、あとで効いてきます。相手の中身を見ないまま協力する、という前提が置かれています。
この規格は、Googleが2025年4月9日に発表しました。
同社のブログは、50を超えるテクノロジーパートナーの支持と貢献を得て公開したと書いています。
挙がっている社名には、Atlassian、Box、Cohere、Intuit、MongoDB、PayPal、Salesforce、SAP、ServiceNow、Workdayなどがあります。
なお同じ発表のなかでGoogleは、エージェントを単なるツールに閉じ込めずに本当のマルチエージェントの場面を実現するのだと書いています。マルチエージェントを前提にした規格だという位置づけです。
MCPとの違いは、どこにありますか

ここが、いちばん検索されている論点です。
先に、両者がそれぞれ自分をどう説明しているかを並べます。出どころを混ぜないためです。
MCPの公式仕様は、MCPを、LLMアプリケーションと外部のデータソースやツールとのシームレスな統合を可能にするオープンプロトコルだと説明しています。
そこに登場する役は3つです。接続をはじめるホスト、ホストの中のクライアント、そして文脈や機能を提供するサーバです。
一方でA2A公式ドキュメントは、A2Aを、異なるエージェントが共通の目標に向かって協働できるようにするものだと説明しています。
そしてA2A公式ドキュメントは、両者を分ける基準を一文で書いています。エージェントが何と関わるのかによって決まる、という基準です。
同ページは続けて、ツールとエージェントの性質の違いを挙げています。ツールは入出力がはっきりした部品で、多くの場合は状態を持ちません。
エージェントのほうはより自律的です。推論し、計画し、複数のツールを使い、長いやり取りのあいだ状態を保つと書かれています。
ここで、日本語の解説でよく見る「縦」と「横」という言い方に触れておきます。
この比喩は、A2A公式ドキュメント自身の言葉です。同ページには、MCPは垂直方向であり単一のエージェントを深くする、と書かれています。
A2Aのほうは水平方向であり、その境界を越えてエージェント同士をつなぐ、と続きます。そして両方を使えばMCPが各エージェントに深さを与え、A2Aがシステムに広がりを与える、と書かれています。
つまり出どころは二次的な解説ではなく、A2A側の公式ドキュメントです。読むときは、A2A側から見た整理であることを踏まえておくと安全です。
MCP公式の側がA2Aとの関係をどう説明しているかは、本記事が読んだ範囲では見つけられませんでした。本記事がMCP公式から引いているのは、MCP自身の説明とリビジョンの日付だけです。
| 見る観点 | A2A | MCP |
|---|---|---|
| 自己記述 | エージェント同士が協働するためのオープン標準 | LLMアプリと外部データ・ツールの統合を可能にするオープンプロトコル |
| つなぐ相手 | 別のエージェント | ツールやデータソース |
| 発表元 | Googleが2025年4月に発表(Google Developers Blog) | Anthropicが策定(Googleの2025年4月の発表での記載) |
| 現在の運営 | Agentic AI Foundationのプロジェクト | Agentic AI Foundationのプロジェクト |
Googleは2025年4月の発表で、A2AはAnthropicのMCPを補完するオープンプロトコルだと書いています。
A2A公式ブログも2026年3月に、MCPとA2Aは問題の別々の層を解いており、多くのシステムは両方を使うことになると書いています。同ブログは、この点が初期の議論で混乱を招いてきたとも書いています。
運営の体制についても、公表されている事実を並べておきます。
Agentic AI Foundationのプロジェクト一覧には、Model Context ProtocolとAgent2Agentが並んで掲載されています。
A2A公式ブログも2026年8月に、MCPやgoose、AGENTS.mdといった同じ財団の兄弟プロジェクトと並んで運営されていると書いています。
ただし、同じ財団に並んでいること自体は、どちらが上位互換かを決める材料にはなりません。同じ一覧には領域の重なる別のプロジェクトも並んでいます。
その問いに答えているのは、先に引いたA2A公式ブログの「問題の別々の層を解いている」という記述のほうです。
なお、エージェントがツールを呼ぶ仕組みそのものはツール呼び出しとして、外部サービスへの接続口はコネクタとして、当サイトで別に整理しています。
エージェントは、どうやって相手を見つけるのですか

A2A側の仕組みがいちばん具体的に見えるのが、ここです。
A2A公式ドキュメントは、Agent Cardを、A2Aサーバにとってのデジタルな名刺として働くJSON文書だと説明しています。
同ページによれば、Agent Cardには次の情報が載ります。
- 識別情報。名前、説明、提供元
- サービスの接続先となるURL
- 対応している機能。ストリーミングやプッシュ通知など
- 認証の方式
- スキル。識別子、名前、説明、受け付ける入力形式、返す出力形式、例
そして置き場所が決められています。標準のパスは、エージェントを提供するドメインの /.well-known/agent-card.json です。
同ページは、これがRFC 8615の考え方に沿ったものだと書いています。仕様書にもwell-known URIの登録についての節がありますが、本記事ではその本文を取得できませんでした。
同ドキュメントは、この方法以外に、登録簿やカタログを引く方法と、あらかじめ設定しておく方法も挙げています。用途によって使い分ける前提です。
ここが「つないでみる」の入口になります。
相手のドメインに名刺が置いてあれば、こちらのエージェントはそれを読んで、何ができる相手なのかと、どう認証すればよいのかを知ることができます。
なお、A2A公式ブログは2026年3月のv1.0で、署名付きのAgent Cardが入ったと書いています。
エージェントの識別情報とメタデータを暗号的に検証できるようにするもので、組織をまたいだやり取りの前に信頼を確立するためのものだと説明されています。
1回のやり取りは、どんな順番で進むのですか

A2A公式ドキュメントは、1回のリクエストが3つの段階を通ると説明しています。
1つ目が、エージェントの発見です。クライアント側がAgent Cardを取得して、相手の能力と接続先を知ります。
2つ目が、認証です。Agent Cardに書かれた認証方式を読み、必要ならトークンを取得します。
3つ目が、メッセージの送信です。同ドキュメントは、単発の要求と応答で終える方法と、タスクの更新を流し続ける方法の2つを挙げています。
このとき扱われるものにも名前が付いています。
Googleの発表は、クライアント側とリモート側のやり取りがタスクの完了に向けて組み立てられており、タスクの成果物はアーティファクトと呼ばれると説明しています。
A2A公式ドキュメントが挙げる設計原則のひとつに、非同期であることが入っています。
長時間のタスクをそのまま扱えるようにし、エージェントや人がつなぎっぱなしでない状況にも対応する、という説明です。
A2A公式ブログは2026年3月に、結果の受け取り方についても、ポーリング、ストリーミング、Webhookから選べると書いています。
この「長く待つ処理を前提にしている」という点は、複数のAIに仕事を分けたあとの制御を考えるときに効いてきます。
分けたあとの順序や受け渡しをどう決めるかは、エージェントオーケストレーションとして別に整理しています。
なぜ「その説明がいつ書かれたか」を確かめる必要があるのですか

ここは、A2Aを調べるときにいちばん見落としやすいところです。
Googleの2025年4月9日の発表は、仕様を草案として公開しています。同記事は、プロトコルの詳細は草案の仕様を見てほしいと書いています。
さらに、本番で使えるバージョンはパートナーと協力して年内に出す予定だとも書かれています。つまり発表当時の解説は、固まる前の仕様を説明していたことになります。
A2A公式ブログは2026年3月12日に、v1.0の公開を告知しました。最初の安定した、本番で使えるバージョンだと書かれています。
そしてここが大事な点です。同ブログは、v1.0が仕様の挙動を締め直しており、やり取りの部分に破壊的変更を含むと明記しています。
仕様ページの側でも、最新の公開バージョンが1.0.0であり、それ以前として0.3.0、0.2.6、0.1.0が並んでいます。
移行についても書かれています。Agent Cardのほうは後方互換のかたちで発展しており、v0.3の挙動とv1.0の両方に対応していることを同時に告知できるという説明です。
そのため一度に切り替えず、段階的に移行できるとされています。
MCPの側も動いています。MCP公式のバージョン管理のページは、リビジョンを年月日の文字列で表すと説明しています。
その日付は、後方互換のない変更が最後に入った日を示すものです。同ページに書かれている現行のリビジョンは 2026-07-28 です。
ここから導かれる読み方は単純です。A2AやMCPの解説を読むときは、内容の前に日付を見ることです。
同じ「A2Aとは」でも、草案の時期に書かれたものと、v1.0以降に書かれたものでは前提が違います。
どこまで使われていると公表されていますか

採用状況の数字は、記事によってばらつきます。誰がいつ出した数字かで分かれているためです。
そこで、出どころと時点をそろえて並べます。
| 公表元 | 時点 | 公表されている内容 |
|---|---|---|
| Google Developers Blog | 2025年4月9日 | 50を超えるテクノロジーパートナーの支持と貢献を得て公開したと記載 |
| A2A公式ブログ | 2026年3月12日 | 技術運営委員会が8社の代表で構成されると記載 |
| A2A公式ブログ | 2026年8月27日 | 150を超える組織に支持されていると記載 |
2026年3月のブログは、技術運営委員会の構成企業として次の8社を挙げています。AWS、Cisco、Google、IBM Research、Microsoft、Salesforce、SAP、ServiceNowです。
社名まで明記されている点で、この8社はいちばん確かめやすい情報です。
2026年8月のブログには、もう少し広い記載があります。挙げられているのは次の3種類です。
- 自社のインフラに対応を組み込んだ主要なクラウド事業者として、Google Cloud、AWS Bedrock AgentCore Runtime、Microsoft Azure AI Foundry
- 利用している企業向けSaaSとして、ServiceNow、Salesforce、Atlassian、SAP
- 対応している開発フレームワークとして、LangGraph、CrewAI、Pydantic AI、AG2、IBM BeeAI
ここで、正直に書いておくことがあります。
150を超えるという数字は、A2Aプロジェクト自身の公式ブログによる記載です。何をもって支持とするのかの基準と、その内訳は、本記事で確認した範囲では公表を確認できませんでした。
第三者による検証も確認していません。2025年4月の50社以上という数字と、2026年8月の150組織以上という数字が、同じ数え方かどうかも確認できていません。
別の時点の、別の発表として読むのが安全です。
国内での導入実態についても、本記事で確認した範囲では一次情報を見つけられませんでした。そのため、日本での普及について本記事では書いていません。
社内で試す前に、何を確認しておきますか

最後に、手を動かす前に目を通しておくとよい箇所をまとめます。
ここで書くのは、公式ドキュメントが何を求めているかまでです。導入してよいかどうかの判断は、それぞれの組織の基準で行ってください。
A2A公式ドキュメントの企業向け実装のページは、独自の仕組みを新しく作る方針を取らなかったと書いています。既存の企業インフラと広く使われている慣行にそのまま乗ることを狙ったという説明です。
1つ目は、通信経路です。同ページは、本番環境でのA2A通信はすべてHTTPS上で行われなければならないと書いています。
TLSは1.2以上が推奨されるとも書かれています。
2つ目は、認証の宣言場所です。A2Aサーバは、対応する認証方式をAgent Cardのsecurityという項目に記載します。
つまり相手のAgent Cardを読めば、どう認証すればよいかが分かる作りです。
3つ目は、資格情報の入手経路です。同ページは、クライアントが必要な資格情報をA2Aプロトコルの外側の手続きで取得すると書いています。
資格情報の配り方そのものは、プロトコルの外側に置かれているという説明です。
4つ目は、身元情報の置き場所です。同ページは、A2Aのペイロードが利用者やクライアントの身元情報を直接は運ばないと明記しています。
身元はHTTP層で確立されるという説明です。誰の依頼だったかを後から追う必要があるなら、その記録は別に設計することになります。
5つ目は、相手の中身が見えないことです。A2Aの設計原則には、内部のロジックやメモリや専有ツールを見せずに協調するという項目が入っています。
つまり相手のエージェントが内部で何をしたかは、こちらからは見えません。
6つ目は、バージョンです。前の章のとおり、v1.0には破壊的変更が含まれます。
つなぐ相手と自分の実装が、どのバージョンで話しているのかは先に確認しておく価値があります。
どこから手を付けるか迷う場合は、まず社内のどのエージェントを外に出すのかを決めるところからになります。組織の事情に合わせた進め方を相談したい場合は、お問い合わせからご連絡ください。
この記事のまとめ

ここまでを3つにまとめます。
1つ目。A2Aプロトコルは、別々のベンダーやフレームワークで作られたAIエージェント同士が、互いの中身に触れずに協働するためのオープン標準です。
相手のAgent Cardを読んで能力と認証方式を知り、そのうえでタスクを渡します。
2つ目。MCPとの関係は、どちらが新しいかでも上位互換でもありません。
A2A公式ドキュメントが書いているとおり、エージェントが何と関わるのかで守備範囲が分かれます。
運営面の事実として、両者はAgentic AI Foundationの同じプロジェクト一覧に並んでいます。
3つ目。A2Aの解説を読むときは、日付を先に見てください。
2025年4月の発表時点では草案であり、v1.0は2026年3月12日に出ています。
そのv1.0には、やり取りの部分に破壊的変更が入っています。
本記事で確認できなかったことも書いておきます。採用組織数の内訳と基準、国内での導入実態、そしてv1.0への移行がどこまで進んだかは、いずれも確認できませんでした。
出典
- A2A Protocol(トップページ)
- What is A2A? / A2A Protocol
- A2A and MCP: Detailed Comparison / A2A Protocol
- Agent2Agent (A2A) Protocol Specification
- Agent Discovery in A2A / A2A Protocol
- Enterprise Implementation of A2A / A2A Protocol
- A2A Protocol Ships v1.0 / A2A Protocol Blog
- A New Chapter for A2A: Joining the Agentic AI Foundation / A2A Protocol Blog
- Announcing the Agent2Agent Protocol (A2A) / Google Developers Blog
- Specification / Model Context Protocol
- Versioning / Model Context Protocol
- Projects / Agentic AI Foundation
- A2A決済とは / Stripe
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