コンテキストエンジニアリングとは?プロンプトとの違いは「AIに何を読ませるか」|ChatGPT・Claude・Claude Codeでの整え方

コンテキストエンジニアリングとは、AIが答えるときに読む情報(指示、資料、会話の履歴、使える道具)を選び、整え続ける考え方です。プロンプトエンジニアリングとの違いは、1回の指示文を磨くか、AIが読む情報の全体を手入れするかにあります。
見分ける目安は、情報を足すことより、その作業に要るものだけに絞れているかです。AIは読む量が増えるほど、中の情報を正確に拾いにくくなるためです。
この記事では、言葉の意味とプロンプトとの違い、絞るほうがよい理由、4つの手入れの方法を順に見ていきます。読み終えると、自分が使っているツールで、次にどこを整えればよいかを決められます。
意味はAnthropicの解説で確かめ、ChatGPT・Claude・Claude Codeなどでどこに何を置くかまで具体的に見ていきます!
この記事の監修者

AIリスキル株式会社 代表取締役
AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。
実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など
コンテキストエンジニアリングとは「AIが読む情報を選び、整え続けること」

コンテキストは「文脈」と訳される英語です。AIの分野では、AIが1回の答えを作るときに読み込んでいる情報のまとまり全体を指します。
チャットの入力欄に打った文章だけが、AIの読む情報ではありません。あらかじめ設定した指示、添付した資料、それまでの会話、検索や道具を使って得た結果も、同じまとまりに入っています。
AnthropicはAIエージェント向けの解説(2025年9月29日)で、コンテキストエンジニアリングを、AIが答えを作る間に読む情報の最適な組み合わせを選び、保ち続けるための工夫の総称と説明しています。
AIが1回答えて終わる使い方なら、読む情報はほぼ指示と資料だけです。AIエージェントが道具を使って何度も動くようになると、途中の結果が読む情報に次々と積み上がるため、何を残すかを選ぶ作業が欠かせなくなりました。
同じ解説は、指示文を書く作業が1回で終わるのに対し、コンテキストエンジニアリングは、AIに何を渡すかを決めるたびに選び直す、繰り返しの作業だとも述べています。
この言葉が広く使われ始めたのは2025年6月です。ShopifyのCEOのTobi Lütke氏が、プロンプトエンジニアリングより実態に合う言葉としてXで取り上げました。
その数日後にAI研究者のAndrej Karpathy氏が賛同したことで、開発者のあいだで広く知られるようになりました。
Karpathy氏は、次の一手に要る情報だけでAIの読む枠を満たす技術だと表現しています。どちらの説明も、指示の書き方より「何を読ませるか」に重心を移している点で共通しています。
プロンプトエンジニアリングとの違いは「1回の文面か、読む情報の全体か」

プロンプトエンジニアリングは、AIへの1回の指示を、目的や条件が伝わるように書く工夫です。コンテキストエンジニアリングは、その指示を含めて、AIが読む情報の全体を設計します。
近い言葉と並べると、それぞれが受け持つ範囲の違いが見えます。
| 言葉 | 何を扱うか | 問い | 手入れの例 |
|---|---|---|---|
| プロンプトエンジニアリング | 1回の指示文 | どう頼むか | 目的・読み手・字数を指示に書く |
| コンテキストエンジニアリング | AIが読む情報の全体 | 何を読ませるか | 要る資料だけを渡し、長い会話を要約して始め直す |
| ハーネスエンジニアリング | AIエージェントが働く環境全体 | どんな仕組みの中で働かせるか | 指示ファイル、自動テスト、確認のスクリプトを整える |
| コンテキストウィンドウ | 一度に読める量の上限 | どれだけ読めるか | 設計の対象ではなく、モデルごとに決まった枠 |
たとえば「新しい経費精算ルールについて、社員からの質問に答える文案を作って」と頼むとします。プロンプトの工夫は、丁寧な口調、200字以内、結論から書く、といった頼み方を整えることです。
コンテキストの工夫は、AIに何を読ませるかを整えることです。最新の規程だけを渡し、改定前の規程や別の話題の会話が残っていない状態で頼めば、古いルールで答える誤りを防げます。
2つはどちらかを選ぶものではなく、よい指示文はよいコンテキストの一部です。指示を磨いても答えが安定しないときに、読ませる情報の側を見直す、という順で考えると迷いません。
1回の指示の書き方はプロンプトとはで、3つのエンジニアリングの関係と、AIエージェントが働く環境の整え方はハーネスエンジニアリングとはで詳しく見られます。
全部渡すより、要るものに絞るほうが答えはよくなる

「関係しそうな資料は全部渡しておけば安心」と考えたくなりますが、AIの場合は逆に働くことがあります。Anthropicは、読む量が増えるほど、中の情報を正確に思い出す力が下がる現象を「context rot」と呼んでいます。
同じ解説は、この傾向は程度の差はあってもどのモデルにも表れるとし、コンテキストを限りのある資源として扱うよう勧めています。
たとえば50ページの報告書から1つの数字を探してほしいときは、丸ごと渡すより、該当する章だけを渡すほうが取り違えを減らせます。
そこでAnthropicが挙げる指針は、望む結果を最も得やすい、できるだけ少なく、中身の濃い情報の組み合わせを見つけることです。ただし少ないことは短いことと同じではなく、作業に必要な情報は最初に十分渡すよう添えています。
一度に読める量の上限や、長い文章の途中の情報が見落とされやすい傾向は、コンテキストウィンドウとはで詳しく見られます。上限に収まっていることと、正しく読めていることは別だと押さえておくと、次の手入れの意味が分かりやすくなります。
何をどう読ませるか:4つの手入れ

Anthropicの解説で紹介されている技法を、ChatGPTやClaudeを使う側の操作に置き換えると、4つの手入れにまとまります。どれも、AIが読む枠の中身を少なく、濃く保つための方法です。
4つを全部そろえる必要はありません。チャットでの質問や文章づくりが中心なら「選ぶ」と「縮める」、AIに作業を任せているなら「置いておく」と「外に書き出す」まで広げる、という使い分けができます。
選ぶ:その作業に要る資料だけを渡す
1つ目は、作業ごとに読ませる資料を選ぶことです。関係のない資料や過去の会話が同じ画面に残っていると、AIはそれも読んだうえで答えます。
ChatGPTとClaudeには、資料と指示をまとめて置けるプロジェクトの機能があります。案件や業務ごとにプロジェクトを分けておけば、別の案件の資料が混ざりません。
たとえば社内規程の問い合わせ用と、採用広報の文章づくり用を分けておくと、規程の回答に広報向けの言い回しが入り込むのを防げます。
ChatGPTのプロジェクトでは、「プロジェクト内のみのメモリ」を選ぶと、プロジェクト外の記憶や会話を参照しなくなります。
Claudeの有料プランは、プロジェクトの資料が多くなると、必要な部分を検索して読む方式(RAG)に自動で切り替わります。無料プランでも、プロジェクトは5つまで作れます。
手元の資料だけを根拠に答えてほしいときは、Gemini Notebook(旧NotebookLM)も選択肢です。アップロードした資料に基づいて答え、どの資料のどこを使ったかを引用で示します。
資料を検索して必要な部分だけを渡す仕組みそのものは、RAGとはで整理しています。
置いておく:毎回の前提は指示ファイルに書く
2つ目は、毎回伝える前提を、AIが最初に読む場所に置いておくことです。会話のたびに打ち直すと、書き漏れや言い回しの揺れが出ます。
Claude CodeはCLAUDE.md、CodexはAGENTS.md、CursorはRulesという指示ファイルを、作業の最初に読み込みます。プロジェクトの決まりや使うコマンドを書いておけば、毎回説明しなくて済みます。
書くのは、毎回守ってほしい決まりと、AIが推測できない情報です。たとえば「テストはこのコマンドで流す」「顧客名は文書に出さない」といった具体的な決まりで、一般的な心がけは省きます。
ここで効くのが、指示ファイルを短く保つことです。Claude Codeの公式ドキュメントは、CLAUDE.mdを1ファイル200行未満に収めるよう勧め、長いほど読む量を消費して守られにくくなると説明しています。
Codexも、読み込むAGENTS.mdの合計に既定で32KiBの上限があり、上限に達するとそれ以降のファイルは読み込まれません。
一部の作業でしか使わない決まりは、必要なときだけ読ませます。Cursorは特定のファイルを触るときだけ適用するルールを作れ、Claude Codeも対象のファイルを扱うときだけ読む決まりを置けます。
指示ファイルの書き方はAGENTS.mdとはで、作業手順を必要なときだけ読み込む仕組みはAgent Skillsとはで詳しく見られます。
縮める:長くなった会話は要約して新しく始める
3つ目は、長くなった会話を要約して、まっさらな状態から続けることです。何十往復もした会話には、試して捨てた案や、もう要らない途中経過がたまっています。
Anthropicはこれを「compaction(圧縮)」と呼び、長い作業で最初に使う手段に挙げています。Claude Codeでは/compactで会話を要約して続けられ、上限が近づくと自動でも行われます。
ChatGPTやClaudeのチャットでも、同じことは手作業でできます。いまの会話でAIに「決まったこと・未解決のこと・次にやること」を要約させ、それを新しい会話の最初に貼ります。
頼むときは「新しい会話に貼れる形で」と添えると、前の会話を読んでいない状態でも通じる要約になりやすくなります。
要約するときは、捨てすぎにも気をつけます。Anthropicも、強く削りすぎると、あとで大事だと分かる細部まで失うと注意しています。
外に書き出す:メモに残して、要るときに読み戻す
4つ目は、作業の途中で分かったことを会話の外のメモに書き出し、必要なときだけ読み戻すことです。Anthropicはこれを「structured note-taking(構造化したメモ)」と呼んでいます。
たとえば数日にわたる調べものなら、進み具合と決めたことをメモのファイルに残させておきます。翌日は新しい会話でメモだけを読ませれば、前日の長い会話を丸ごと読ませずに続きから再開できます。
メモには結論だけでなく、なぜそう決めたかも1行添えておくと、同じ検討をやり直さずに済みます。
調べものを別のAIに任せて、結果の要約だけを受け取る方法もあります。Anthropicは、別のAIが数万トークン分を調べても、受け取るのは1,000〜2,000トークン程度の要約で済む例を挙げています。
Claude Codeのサブエージェントは、この考え方を使った機能です。調べものの細かな経過が自分の会話に流れ込まないので、メインの作業の読む枠が汚れません。
Anthropicの解説では、ゲームを何千手も続けるAIが、自分で書いたメモを頼りに目標の進み具合を追い続けた例も紹介されています。
ツール別:どこで何を整えるか

4つの手入れを、主なツールの機能に当てはめると次のようになります。自分が普段使っているツールの行から、手をつけやすいものを選べます。
| ツール | 選ぶ | 置いておく | 縮める・外に書き出す |
|---|---|---|---|
| ChatGPT | プロジェクトに資料を置き、案件ごとに分ける | プロジェクトの指示、カスタム指示 | 要約させて新しい会話に貼る |
| Claude | プロジェクトの知識に資料を置く | プロジェクトの指示 | 要約させて新しい会話に貼る |
| Gemini Notebook | ノートブックにソースを入れ、答えの根拠をその資料に絞る | 用途ごとにノートブックを分ける | 使える答えを手元のメモに控える |
| Claude Code | 必要なファイルを自分で探して読む | CLAUDE.md(AGENTS.mdも読める) | /compact、サブエージェント、メモ |
| Codex | 作業するフォルダを絞って渡す | AGENTS.md(既定の上限は合計32KiB) | 要約、作業メモのファイル |
| Cursor | @で読ませるファイルを指定する | Rules、AGENTS.md | 新しいチャットで始め直す |
チャットでの質問や文章づくりが中心なら、ChatGPTかClaudeのプロジェクトを業務ごとに分けるところから始められます。資料を根拠に答えてほしい場面が多いなら、Gemini Notebookが向いています。
どのツールでも、答えがおかしいと感じたら、指示の書き方より先に、AIが何を読んでいたかを確かめてみてください。古い資料や別の話題の会話が残っていることが、ずれの原因になっている場合があります。
コードや作業をAIに任せているなら、指示ファイルを短く保つことと、長い作業を要約で区切ることが効きます。Cursorなら、チャットで@を打ってファイルやフォルダを指定し、読ませる範囲を絞れます。
AIに開発を任せるツールの違いは、Claude CodeとCodexの比較やAIコーディングのカテゴリで比べられます。
まとめ
コンテキストエンジニアリングは、AIが答えるときに読む情報の全体を選び、整え続ける考え方です。1回の指示を磨くプロンプトエンジニアリングを、読ませる資料や会話の履歴まで広げたものといえます。
AIは読む量が増えるほど情報を拾いにくくなるので、足すより絞るほうが答えは安定します。選ぶ、置いておく、縮める、外に書き出すの4つから、使っているツールで手をつけやすいものを1つ試してみてください。
社内でAIに渡す資料の置き方や、指示ファイルの決まりをどう整えるかを決めたい場合は、運営会社のAIリスキルがご相談を受けています。
この記事の出典
- Effective context engineering for AI agents(Anthropic、2025年9月29日公開、2026年10月6日確認)
- Context engineering(Simon Willison、2025年6月27日公開、Tobi Lütke氏・Andrej Karpathy氏の投稿を引用、2026年10月6日確認)
- What are projects?(Claudeヘルプセンター、2026年10月6日確認)
- Projects in ChatGPT(OpenAIヘルプセンター、2026年10月6日確認)
- Gemini Notebook の詳細(NotebookLMヘルプ、2026年10月6日確認)
- How Claude remembers your project(Claude Code Docs、2026年10月6日確認)
- Manage costs effectively(Claude Code Docs、自動の要約と
/compactの説明、2026年10月6日確認) - Custom instructions with AGENTS.md(OpenAI Codex、2026年10月6日確認)
- Rules(Cursor Docs、2026年10月6日確認)
- @ mentions and context(Cursorヘルプ、2026年10月6日確認)
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