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GMOの情報漏洩で攻撃者が利用者1人分とする個人情報を公開。GMOは身代金を拒否し、懸賞金1.5億円と追加の見舞金を発表

AIツールギャラリー編集部公開日

GMOインターネットグループの「お名前.com デスクトップクラウド」への不正アクセスで、攻撃者とみられる者が2026年10月27日の正午すぎ、利用者1人分とする個人情報を自分たちのサイトで公開しました。GMOは同日13時55分の第10報で、12時30分に「当社およびお客様に関する情報と称するもの」の公開を確認したと発表しています。攻撃者側は予告どおり、GMOが身代金に応じなかったことを理由に公開を始めたと、FNNや関西テレビなど報道各社が伝えています。

今回の事件が異例なのは、盗んだ情報を闇市場で売るのではなく、1人ずつ名前と顔写真を掲げてネットに晒すという形をとったことです。専門家も前例がないと話しています。さらにGMOは、その公開ページを見に行った人の情報まで攻撃者に取られていると発表しています。利用者でない人にも関係がある事件になっています。

この記事の監修者

山原 慎也
山原 慎也

AIリスキル株式会社 代表取締役

AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。

実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など

10月28日の追記: 攻撃者のサイトは28日未明に停止

GMOは10月28日11時の第13報で、攻撃者のウェブサイトとミラーサイトのドメインが、日本時間の28日午前4時ごろに停止されたことを確認したと発表しました。毎日新聞や時事通信は、米国のプロバイダーによる措置とみられると報じています。警視庁は不正アクセス禁止法違反などの疑いで捜査を進めています。

攻撃者が予告していた「毎日正午の公開」は、28日の正午には確認されていません。GMOは、同じようなサイトが開設された場合は直ちに停止の手続きをとること、掲載情報の投稿や転載、拡散のうち悪質なものには刑事告訴を含む法的措置を講じることを明らかにしています。停止したサイトのリンクやミラーのURLも、開かない、貼らない、広めないという対応は変わりません。

10月27日の正午に何が起きたか

予告された時刻に公開が始まった

GMOは前日26日の23時10分の第7報で、攻撃者とみられる者から「27日12時に顧客情報の公開とランサムウェア攻撃を行う」と予告されていることを公表していました。ランサムウェアは、パソコンのデータを使えなくして金銭を要求する攻撃です。27日朝の第8報では、利用者に12時になる前のバックアップと、ネットワークの切断、電源を落としてパソコンにつながるコードを抜くことまで求めています。

正午を過ぎ、攻撃者のサイトに1人分の個人情報を載せたページが現れました。ランサムウェア攻撃のほうは、13時55分時点で確認されていないとGMOは書いています。

公開されたとされる項目

報道各社が伝えた公開ページの項目は、氏名、顔写真、生年月日、住所、電話番号、パートナーの氏名、家族構成、職業、利用している金融機関、SNSのアカウント、通販の利用履歴などです。Xで拡散した投稿では、FXをしているためリスク許容度が高いといった、本人の性格や行動の分析まで書かれていたとされています。

攻撃者側の声明は、報道によると次のような内容でした。

分析が完了した情報から、毎日正午に順次公開する。すべての公開には数年かかる。

ただし、公開された内容が本当に利用者の情報かは確認されていません。GMOは「事実と異なる内容が含まれるおそれがある」としたうえで、利用者の情報が含まれていると確認できた場合は本人に個別に連絡すると説明しています。公開された本人とされる人もTBSの取材に、書かれていることはほとんどでたらめだと話しています。日本ハッカー協会の杉浦隆幸代表理事は同じ取材に、公開にはGMOに圧力をかける狙いがあると分析しました。

見に行った人の情報も取られている

攻撃者のページのURLが回ってきても、開かないでください。 GMOは27日14時55分の第11報で、公開サイトにアクセスした人の情報が攻撃者に取得されていることを確認したと発表しました。

当該サイトにアクセスした方の情報は、攻撃者に取得されていることを確認しています。

GMOは、アクセスに起因する被害には責任を負えないとし、すでに開いてしまった人にはウイルス対策ソフトでのフルスキャンを求めています。公開された情報の転載やSNSでの再投稿、リンクの共有も厳に控えるよう呼びかけ、悪質な拡散者には法的措置の準備を進めているとしています。

10月20日からの流れ

お名前.com デスクトップクラウドは、FXの自動売買ソフトを24時間動かすために借りる、ネット上のWindowsパソコンです。利用者の多くはFXの自動売買をする人で、影響の可能性があるサーバーは26,739件と公表されています。

  • 10月20日: 一部のサーバーで第三者の不正なプログラムを確認。21日4時以降、全プランのサーバーを順次停止
  • 10月21日: 熊谷正寿代表のブログによると、同日に5,000万ドル(約80億円)を要求する脅迫メールが届く。GMOは応じていない
  • 10月22日: 利用者から、取引口座で第三者による不正な操作が行われたとの報告。取引ツールと口座のパスワードが閲覧された可能性を公表
  • 10月24日: 利用者の情報が外部に持ち出された事実を確認。70を超える証券会社・FX会社の口座で本人の意思によらない取引が発生。利用者全員に一律5,000円の見舞金、不正取引の損失の補償、代替サービスの6か月無償提供を決定
  • 10月25日: 熊谷代表がブログで、社内のホワイトハッカーが事前に改善課題を指摘していたが対応の深度とスピードが十分でなかったと説明
  • 10月26日: 政府がサイバーセキュリティ関係閣僚会議を初めて開催。同日夜、GMOが27日正午の公開予告を公表
  • 10月27日: 正午すぎに公開が始まる。GMOは第8報から第12報まで、1日に5本のお知らせを出した

報道によると、要求額はその後100万ドル(約1億6,000万円)に変わり、27日正午が期限とされていました。

GMOは払わない。代わりに見舞金の上積みと懸賞金

払わない理由

GMOは第11報と第12報で、要求には永久に応じないと書きました。理由は2つです。払っても取得された情報の削除や不正利用の防止が保証されないこと、そして犯罪者に資金を渡せば次の攻撃を助長することです。

専門家の見方も、この判断を支持しています。元警察庁サイバー捜査課長の棚瀬誠氏はFNNの取材に、支払っても復旧や非公開の保証がないため、支払わない選択は正しいと述べました。大阪大学の猪俣敦夫教授は関西テレビに、盗んだ情報はダークウェブで売るのが一般的で、こうした形で個人情報を人質にするパターンは見たことがないと話しています。

追加の見舞金と、総額100万ドルの懸賞金

27日19時10分の第12報で、GMOは情報が公開された利用者への特別見舞金と、犯人の特定につながる情報への懸賞金を発表しました。

  • 特別見舞金: 公開された情報の区分ごとに、氏名や連絡先などの基本情報は1万円、IDやパスワードなどの金融・認証情報は1万5,000円、プライバシー性の高い情報は2万5,000円。複数の区分に当たれば合算し、1件の公開につき上限300万円
  • 懸賞金: 「GMOサイバー犯罪撲滅・懸賞金」として総額100万ドル(約1億5,000万円)。攻撃者の身元や所在、使ったサーバーやIPアドレス、暗号資産の送金記録などが対象。10月28日12時から日本語・英語・中国語で受け付け、犯人の逮捕まで続ける
  • 出典: 第12報、CNET Japan、Impress Watch

FX会社5社にも被害。政府は来週に緊急対策

片山さつき金融相は27日の閣議後会見で、GMO関連と考えられる顧客被害がFX業者5社から報告されたと明らかにしました。ゴールデンウェイ・ジャパン、OANDA証券、アヴァトレード・ジャパン、外為ファイネスト、デューカスコピー・ジャパンの5社で、各社は対象の取引の一時停止や不正な注文の遮断を済ませています。新たな不正取引の報告は受けていないとも述べました。

政府は26日の閣僚会議で、高市首相が来週中をめどに緊急対策パッケージをまとめるよう指示しています。高性能AIを使った脆弱性チェックの前倒しと、漏れた情報の悪用による二次被害への対応強化が柱です。

AIツールギャラリーの視点: 利用者でなくても今日やること

FXをしていなければ、お名前.com デスクトップクラウドの利用者ではありません。それでも、この事件で自分の身に起きうることが3つあります。

  • 攻撃者のサイトのURLを開かない、貼らない、広めない。興味本位で見に行くと、今度は自分の情報が取られます。開いてしまったらウイルス対策ソフトでフルスキャンをします
  • GMOや警察、金融機関を名乗る連絡を疑う。GMOはパスワードや認証コードを尋ねることはなく、「被害金を取り戻す」と費用を求める連絡にも応じないよう呼びかけています。届いたメールのリンクではなく、公式サイトで確かめます
  • 同じパスワードを複数のサービスで使っていれば、今日のうちに見直す。9月以降に被害を公表した企業と利用者がやることは、情報漏洩・不正アクセスまとめでサービスごとに確認できます

わかっていないこと

  • 持ち出された情報の全体の件数と人数。GMOは公表していません
  • 公開された1人分が本当に利用者の情報か。GMOは事実と異なる内容が含まれるおそれがあるとしています
  • 攻撃者側が主張する、利用者の自宅のパソコンへの侵入の有無。GMOは預かった端末のうち解析を終えたものからはマルウェアが見つかっていないとしつつ、全端末を確かめたものではないと書いています
  • 攻撃者の正体と所在

攻撃者側は毎日正午に公開を続けると予告していましたが、28日未明にサイトは停止しました(冒頭の追記)。この記事は続報が出たら追記します。身代金に応じない判断が正しいことは専門家の見方が一致する一方で、名前と顔を晒された利用者を誰がどう守るのかは、まだ誰も答えを出していません。

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