監査ログとは?通常の動作ログとの違いは「誰が確認できるか」|AIエージェントで必要な理由と残す項目

監査ログとは、誰が・いつ・何を・どのシステムに対して行ったかを、あとから確認できる形で記録したもののことです。
この記事では、監査ログを次の4つの軸で整理していきます。通常の動作ログとの違い、AIで特に必要とされる理由、何を記録するかという考え方、そして確認・保管・閲覧の運用です。
どれも「あとから振り返れるようにする」という1つの目的につながっています!
この記事の監修者

AIリスキル株式会社 代表取締役
AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。
実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など
監査ログとは何か

監査ログとは、システムやツールに対して行われた操作を、誰が・いつ・何をしたかという形で記録したもののことです。ログイン履歴やファイルの変更履歴のように、日常の操作の記録全般が対象になり得ます。
記録された内容は、その場で確認するためではなく、あとから振り返って確認するために残されます。何か問題が起きたときや、想定外の動きがあったときに、経緯を追えるようにするのが目的です。
たとえば、業務データが意図しない形で外部に送られていないか、誰かの操作が原因かを確認したいとき、記録が残っていなければ経緯を追うこと自体が難しくなります。
通常の動作ログとの違い

システムには、動作ログ(アプリケーションログ、エラーログなど)と呼ばれる記録もあります。呼び方や対象範囲は製品によって異なり、動作ログと監査ログが明確に分かれていない製品もあります。ここでは、代表的な目的の違いとして著者が整理したものを紹介します。
動作ログは、システムの不具合を調べることが主な目的として使われることが多い記録です。プログラムがどう動いたか、エラーがどこで起きたかを追うために使われます。
監査ログは、誰が何をしたかを、あとから人が確認できるようにすることが主な目的として使われることが多い記録です。この目的の違いが、記録する項目の違いにもつながると考えられます。
AIで特に必要とされる理由

AIエージェントのように、目標を渡すとAIが自分で手順を決めて動き続ける仕組みが増えています。
人が1つ1つの操作を指示する場合と違い、AIが自分の判断で複数の操作を進める場合は、あとから「何が実行されたか」を追える記録がないと、想定外の動作に気づきにくくなると考えられます。
AIガバナンスの考え方でも、「誰が確認するか」が重要な論点として扱われています。監査ログは、その確認を裏付ける記録としての役割を持ちます。
会社が把握していないAIツールが業務で使われる、シャドーAIのような状況に気づく手がかりとしても、記録は役立ちます。記録が無ければ、把握していない利用があること自体に気づきにくくなります。
何を記録するか

考え方
記録する項目は、何を確認したいかによって変わります。誰が使ったかを確認したいのか、何を実行したかを確認したいのか、目的によって必要な項目が異なります。目的を決めずに項目だけを増やすと、あとで見返す際にかえって分かりにくくなることがあります。
どのデータをどう扱うかという整理は、データガバナンスの一部としても検討されます。
検討例
一般的な検討例としては、実行した日時、実行したユーザー、実行された操作の種類、操作の対象、といった項目が挙げられます。これは製品によって異なり、すべてのAIツールに共通する固定の項目があるわけではありません。
AIツールの場合、送信したプロンプトの全文や、参照したデータの中身まで記録するかどうかは、別の論点です。個人情報や機密情報を含むプロンプトを無条件に全文記録することは、それ自体が情報漏えいのリスクになり得るため、記録する内容の粒度は慎重に検討する必要があります。
「誰が、いつ、どの機能を使ったか」という利用の記録と、「何を入力したか」という内容の記録は、必要性もリスクも異なります。両方をひとまとめに扱わず、分けて検討することが実務上重要とされています。
製品機能の例:Microsoft 365の監査ログ

具体的な製品機能の例として、Microsoft 365(Microsoft Purview)の監査ログを紹介します。これは数ある実装例の1つであり、他の製品でも同様の機能が異なる形で提供されています。
Microsoft Purviewの監査ログでは、日付、IPアドレス、実行したユーザー、実行された操作、操作の対象、詳細といった項目が記録されるとされています(Microsoft、2026年9月11日確認)。
保存期間は、割り当てられているライセンスによって異なり、既定で180日間、上位のライセンスでは既定で1年間とされています(Microsoft、2026年9月11日確認)。組織側で保持ポリシーを設定し、期間を調整できる場合もあります。
確認・保管・閲覧の運用

確認
普段は見ないままにせず、定期的に確認しておくと、異常に早く気づきやすくなります。何かが起きてから初めて開く記録にしてしまうと、異常に気づくのが遅れます。
確認する頻度や担当者をあらかじめ決めておかないと、記録だけがたまり続けて誰も見ないままになることがあります。
保管
保存期間は、製品やライセンス、組織の設定によって異なります。Microsoft Purviewの例のように180日〜1年という幅があり、一律の期間を断定することはできません。自社の要件に合わせて確認する必要があります。
閲覧
Microsoft Purviewの例では、誰でも見られる状態にはせず、監査ログの閲覧には専用の役割が割り当てられている必要があるとされています(Microsoft、2026年9月11日確認)。
自社で監査ログを設計する場合も、閲覧できる人の範囲をあらかじめ決めておくことが検討点になります。
閲覧できる人が多すぎると記録そのものの信頼性が下がり、少なすぎると必要なときに確認できないという両方のリスクがあります。誰が閲覧できるかは、自社の体制に合わせて決める必要があります。
よくある質問

監査ログの保存は法律で義務付けられていますか
業種や扱うデータの種類によって適用される規制が異なるため、一律に断定することはできません。自社が該当する法令や業界規制については、専門家に確認することをおすすめします。
義務の有無にかかわらず、記録を残しておくこと自体が、問題が起きたときの対応をしやすくするという実務上の利点はあります。
個人情報を含めて記録してもよいですか
無条件に含めることは推奨されません。記録する目的に照らして、本当に必要な項目・粒度かどうかを確認したうえで、個人情報の取り扱いに関する自社のルールに沿って判断する必要があります。
監査ログは誰が見られるようにすべきですか
Microsoft Purviewの例のように、閲覧できる役割を限定する設計を採用している製品があります。自社で設計する場合も、全員が自由に見られる状態にはせず、閲覧できる人の範囲を決めておくことが検討点になります。
情報システム部門やコンプライアンス担当など、確認の役割を持つ人に限定する設計が検討例として挙げられます。
まとめ

監査ログとは、誰が・いつ・何をしたかを、あとから確認できる形で記録したもののことです。
動作ログと監査ログは、製品によって呼び方や対象範囲が異なります。ここでは代表的な用途の違いとして、動作ログは不具合調査、監査ログは誰が何をしたかの確認に使われることが多いと整理します。AIエージェントのように自分で手順を決めて動く仕組みが増えるほど、この記録の必要性は高まります。
記録する項目や粒度は目的によって変わり、個人情報や機密情報を無条件に全文記録することは推奨されません。保存期間や閲覧権限も、製品やライセンス、組織の設定によって幅があり、一律に断定することはできません。
自社での監査ログの設計や運用を相談したい場合は、お問い合わせはこちらからご相談ください。
この記事の出典
- 監査ログの検索(Microsoft Learn、2026年9月11日確認)
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