誰でもダウンロードできるAIモデルの規制に米230社超が反対署名、Anthropicだけ加わらず

AIツールギャラリー編集部

MicrosoftやNVIDIAなど米230社超が、誰でもダウンロードできるAIモデルへの性急な規制に反対する書簡に署名しました。OpenAIやGoogleも加わるなか、Anthropicだけが署名していません。

誰でもダウンロードできるAIモデルの規制に米230社超が反対署名、Anthropicだけ加わらず

2026年7月24日、MicrosoftやNVIDIA、Metaなど米国の企業と団体が「Open Weights and American AI Leadership」と題した公開書簡を出し、誰でもダウンロードして使えるAIモデルへの性急な規制を避けるよう米国の政策当局に求めました。署名は増え続け、掲載ページによると7月30日時点で230社超。OpenAIやGoogleも名を連ねる一方、主要なAI開発企業でAnthropicだけが署名していません。

その3日後、AnthropicのCEOダリオ・アモデイ氏が自社サイトで理由を説明しました。冒頭にあるのは「Anthropicはオープンウェイトモデルの禁止を主張したことは一度もありません」という一文です。争点は公開の是非そのものではありません。

誰でもダウンロードできるAIモデルとは何か

オープンウェイトモデルと呼ばれます。ウェイト(重み)はAIの中身にあたる数値で、公開されていれば誰でも入手し、手元のパソコンや自社のサーバーで動かせます。代表例がMetaのLlamaです。対してClaudeやChatGPTのように提供元のサービス経由でしか使えないものは、閉じたモデルと呼ばれます。

いま使っているChatGPTやClaude、Geminiが使えなくなるという話ではありません。

書簡が政策当局に求めた5つのこと

  • 研究者やスタートアップが使える計算資源を広げること
  • データセットや評価の仕組みに投資すること
  • 公開型モデルへの時期尚早な制限を避け、競争を保つこと
  • 自国でAIを使いこなすため応用層を強化すること
  • 蒸留のような技術自体を禁じず、不正な抜き取りに的を絞って対処すること

書簡はリスクの存在を認めたうえで、「このリスクへの正しい対応は、オープンウェイトを禁止することではない」と書いています(日本語訳は編集部)。

Anthropicが署名しなかった理由

禁止に反対しつつ条件をつける

アモデイ氏は書簡の主張の多くに同意すると明言し、公開型モデルをこう位置づけました。

危険な能力を持たないオープンウェイトモデルは公共財です。動かすための計算資源のほかに費用がかからず、企業にも開発者にも研究者にも価値をもたらします(Anthropicの投稿より、日本語訳は編集部)

「危険な能力を持たない」という限定が一線です。挙げた懸念は、権威主義的な政府が米国より強力なAIを持つことと、サイバー攻撃や生物学的な攻撃への悪用の2つです。

代わりに求めた3つの措置

  • 高性能な半導体と製造装置を中国に売らず、迂回する密輸も取り締まること
  • 国家の後ろ盾を持つ組織による産業規模の蒸留を取り締まること
  • 十分に高性能なモデルは公開型か否かを問わず安全性試験を義務づけること

食い違うのはここです。氏は、能力が広く行き渡れば防御側が攻撃側より必ず有利になるという見方には同意できないとし、生物学的リスクを例に挙げています。ITmediaの報道によれば、中国のZ.aiやMoonshot AIが米国勢に迫るモデルを相次いで公開したことが議論の引き金とされます。禁止か容認かではなく、出す前に何を確かめるかが争点です。

AIツールギャラリーの視点

この話は、無料で使えるAIの選択肢が増え続けるかに直結します。今できることを1つ挙げるなら、使っているツールがどの国のどのモデルを土台にしているかを確かめておくことです。Llamaのように重みが公開されたモデルなら、提供元のサービスが終わっても手元で動かせる可能性があります。

効いてくるのは規制の中身が決まったあとです。中国発のモデルが制限されれば、それを組み込んだ低価格のツールが影響を受けることがあります。

わかっていないこと

米国の政策当局が実際にどんな措置を取るかは、この記事の時点で決まっていません。法制化されるのか、指針にとどまるのか、見送られるのかも未定です。安全性試験も、誰が何を基準に行うのかは示されていません。

動きがあればこの記事に追記します。残るのは、公開する前にどこまで確かめるべきか、その線引きを誰が決めるのかという問いです。

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