AmazonがClaude利用の社内ツールで予算860%超過。約2.8億円の請求に5カ月気づかず

米Amazonの社内で、AI利用のコストが想定を大きく超える事例が相次いでいたことが分かりました。最大の事例では、AnthropicのAIモデル「Claude Sonnet」を使った社内ツールが予算を860%上回る約180万ドル(約2億8000万円)を消費し、超過に気づくまで約5カ月かかったとされます。英紙Financial Timesが社内文書をもとに報じ、Tom's Hardwareなどが2026年7月31日に伝えました。エンジニアが7月28日の社内会議で状況を説明したとされ、国内でもGadget Gateも伝えています。
AIを提供する側でもあるAmazonですら、請求額を管理しきれていなかったことになります。つまずいたのは高度な研究ではなく地味な社内作業で、AIツールを日常的に使う読者にとっても対岸の火事ではありません。
この記事の監修者

AIリスキル株式会社 代表取締役
AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。
実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など
社内ツール1本で約2億8000万円の請求
報道によると、最も大きな超過を出したのは、書籍の著者情報をAmazonの商品ページに正しく紐付けるためのツールです。Claude Sonnetを組み込んで開発されましたが、割り当てられた予算を860%超過。予算100万円のつもりが約960万円請求された計算です。このツールは結局リリースされないまま終わったとされています。
超過はこの1件にとどまりません。gHacksによると、社内文書には次の事例も記載されていたと報じられています。
- 財務監査ツールの開発で約54万1000ドルの想定外コスト
- 配送を速くするための物流システムで約13万4000ドルの超過
- 3件合計で約250万ドル(約3億9000万円)の計画外支出
トークン課金がミスの代償を跳ね上げた
背景にあるのは料金体系の変化です。多くのAIサービスは月額定額ではなく、処理した文章量に応じて課金する「トークン課金」へ移行しています。設定ミスや無駄な繰り返し処理があると、料金メーターが回り続けたまま誰も気づかない状況が起こりえます。Futurismによると、社内会議でエンジニアは次のように説明したと報じられています。
かつては安く済んだコーディングのミスが、AIエージェントの導入後は破滅的に高くつくようになった
Amazonは報道各社に「孤立した小さな事例を取り上げて日常業務のように描くのは、実際のAI活用を反映していない」とコメントしています。一方で上級副社長のDave Treadwell氏は社内に次のように呼びかけたと報じられています。
AIを使うこと自体を目的にAIを使わないでください。顧客の課題を解決し、ビジネスの課題を解決し、革新するためにAIを使ってください
AIツールギャラリーの視点
大企業の失敗談に見えますが、構造は個人や小さなチームがAIをAPI経由で使う場合と同じです。エンジニアを何千人も抱えるAmazonでも気づくのに5カ月かかった点こそ教訓です。今日からできる対策は3つあります。
- 利用上限を設定する。OpenAIやAnthropicの管理画面で月の上限額や通知を設定でき、請求の青天井を防げます
- 使用量の画面を週1回見る。請求書が届いてからでは遅く、月末の想定外請求は個人でも起こります
- 用途が決まっているなら定額プランを選ぶ。ClaudeやChatGPTの月額プランなら支払額は固定です
わかっていないことと続報方針
今回の情報はFinancial Timesが入手した社内文書に基づく報道で、Amazonが文書の全容を公表したわけではありません。予算超過が全社でどの規模に及ぶのか、支出の監視強化がいつ導入されるのかも現時点では分かっていません。
また、Claudeというモデル自体の欠陥が示されたわけではない点も付け加えておきます。各報道が指摘しているのは、使う側のコスト管理の緩さです。
続報が出たらこの記事に追記します。AIの請求額、あなたは毎月確認していますか。
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