Google Earthの画像生成AIが公開翌日に停止。偽の災害・軍事画像を作れるとの指摘で

Googleは米国時間2026年7月30日、地図サービス「Google Earth」のウェブ版に、画像生成AI「Nano Banana 2」で任意の場所の画像を作れる機能を追加しましたが、翌31日に停止しました。公式ブログの追記で、ポリシー違反とみられる生成画像が共有されているのを確認したため、より強力な安全対策を実装する間は機能を取り下げると説明しています。
存在しない災害や軍事施設の「衛星写真」が、地図をズームして一文入力するだけで手に入る。その状態が丸1日続いたことになります。報道の真偽を確かめる側の専門家たちは、公開直後から警告を出していました。
この記事の監修者

AIリスキル株式会社 代表取締役
AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。
実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など
わずか1日で何が起きたのか
機能の中身はシンプルです。Google Earthで場所を選んで「create image」を押し、テキストで指示を入力すると、その地点の衛星画像や航空写真、3Dデータを下敷きにした画像が生成されます。公式ブログは歴史の場面の再現や都市計画のイメージづくりなどを想定用途に挙げていました。
ところが公開直後から、実在しない出来事の画像を作れるという報告が相次ぎます。オランダの調査ジャーナリストHenk van Ess氏は、次のような画像を生成できたと自身のサイトで明らかにしています。
- メキシコ国境に集まる難民の画像
- イランの核関連施設の画像
- 爆撃でクレーターができたガザの病院の画像
- アムステルダムの事故現場の画像
米公共ラジオNPRも独自に検証し、炎上するイランのカーグ島や水没した米連邦議会議事堂など、実際には起きていない光景を生成できたと報じています。Googleは翌日、公式ブログに次の趣旨の追記を出して機能を止めました。
ポリシーに違反するとみられる生成画像のスクリーンショットが共有されているのを確認しました。より強力なガードレールを実装する間、Google Earthのこの機能をロールバックします。
電子透かしはあった。それでも止まった理由
Googleも無防備だったわけではありません。生成画像にはAI製であることを示す電子透かし「SynthID」が埋め込まれ、生成結果がGoogle Earth本体の地図に反映されることもないと説明されていました。
それでも問題になったのは、スクリーンショットとして切り出されれば、見た目では本物の衛星画像と区別がつかない点です。調査報道グループBellingcatのJake Godin氏は、偽の衛星画像がこれまで以上に拡散しかねないとNPRに懸念を示しています。紛争や災害の検証では、衛星画像は「現地に入れなくても確かめられる数少ない証拠」として使われてきました。その信頼が揺らぐこと自体が損失だという指摘です。
いま使っているGoogle Earthへの影響は
現在のGoogle Earthの地図や衛星画像が書き換えられたわけではありません。生成機能は本体の地図データとは切り離されており、機能自体もすでに停止しています。ふだんの地図利用への影響はありません。
AIツールギャラリーの視点としては、「衛星画像なら本物」という思い込みを見直すきっかけにしたい出来事です。SNSで災害や軍事関連の衛星画像を見かけたら、報道機関や衛星事業者など出所を確かめてから拡散するのが第一歩になります。今回使われたNano Banana 2は、日本語のテキスト描画に強い画像生成モデルとして単体でも提供されており、詳しくはNano Banana 2の解説記事で紹介しています。
わかっていないことと今後
再公開の時期や「より強力なガードレール」の中身は公表されていません。災害・紛争に関わる場所を生成対象から外すのか、指示の内容で制限するのかも不明です。続報が出たらこの記事に追記します。ワンクリックで偽の風景が作れる時代に、私たちは何を確認できたら「本物」と信じてよいのでしょうか。
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