ハルシネーションとは?AIの回答に紛れ込む「もっともらしい誤情報」|原因・防ぎ方・確認のコツ

ハルシネーションとは、AIが不確かな事柄について、もっともらしい言い方で誤った内容を答えてしまう現象です。今使われている生成AIの多くに共通する性質のため、工夫で頻度を下げることはできても、完全には防ぎきれないとされています。
AIの回答とどう付き合うかは、使う場面や工夫次第で変わります。効いてくるのは、なぜ起きるのかという理屈、実務でできる工夫、そして出てきた答えをどう確認するかの3点です。
この記事では、ハルシネーションの原因から、実務でできる工夫、答えを確認する方法までを整理していきます。読み終えると、AIの回答をどれくらい信じてよいか、どう向き合えばよいかを判断できます。
専門用語が出てきますが、初めて出てくるところで短く補足していきます!
この記事の監修者

AIリスキル株式会社 代表取締役
AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。
実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など
ハルシネーションとは、AIがもっともらしい誤情報を作ってしまう現象

ハルシネーションは、医療や心理学で使われる「幻覚」とは別の意味を持つ、AI分野特有の用語です。AIが、根拠のない内容を自信満々な言い方で答えてしまう状態を指します。
生成AIは、質問に対して統計的にもっともらしい文章を作る仕組みで動いています。もっともらしさと、事実として正しいかどうかは、必ずしも一致しません。
具体的にどんな形で表れるか
ハルシネーションには、いくつかの決まった表れ方があります。
- 実在しない資料やWebページを、出典として挙げてしまう
- 数字や日付を、もっともらしいが誤った値に置き換えてしまう
- 存在しない条文や判例、製品名を作り出してしまう
Google Cloudの公式ドキュメントも、存在しないWebページへのリンクを作ってしまう例を、ハルシネーションの典型として挙げています。
こうした現象は、ChatGPTやClaudeのような生成AIチャットでも起こり得ます。特定のツールだけに限った不具合ではありません。
なぜ起きるのか:AIは「正しさ」より「もっともらしさ」を優先してしまう

生成AIは、文章を生成するとき、入力や文脈をもとに、次に続く可能性の高い言葉を予測しています。こうした文章生成の仕組みだけで、内容の正確さが保証されるわけではありません。この仕組み自体が、誤りが生まれる原因の一つです。
OpenAIの研究論文は、もう一つの原因として、AIの訓練や評価の方法を挙げています。多くの評価方法では、「わからない」と正直に答えても、間違った推測をしても、同じように扱われてしまうことがあるためです。
その結果、AIは不確実な場合でも、正直に「わからない」と答えるより、自信ありげに推測してしまう傾向があります。これは、特定のモデルだけの問題ではないとされています。
ハルシネーションを完全には防げない、と言われる理由

Claudeを開発するAnthropicは、公式ドキュメントの中で、対策を重ねても現在の実務利用ではハルシネーションを完全には無くせないと説明しています。
「大幅に減らせるが、完全には無くならない」というのが、Anthropicの公式な説明です。 新しいモデルほど頻度は下がる傾向にあるとされますが、ゼロになるわけではありません。
OpenAIの研究は、この背景を原理の面から説明しています。「わからない」と答える余地のない訓練・評価の設計そのものが、AIに推測を促してしまう一因だとしています。
理論上は評価の仕組みを見直せば頻度をさらに減らせるとしつつも、それは今後の改善の方向性です。「対策すれば今のAIで安全」と言い切れる段階には、まだありません。
ハルシネーション以外にも、生成AIには気をつけたいリスクがいくつかあります。あわせて生成AIの7大セキュリティリスクで確認できます。
使うときにできる工夫:ハルシネーションを減らす方法

完全に防げないからといって、何もできないわけではありません。工夫次第で、ハルシネーションに振り回されるリスクは大きく減らせます。
質問の仕方で工夫できること
AIに対して、わからない場合は「わからない」と答えてよいと伝えておくと、無理な推測を減らせます。Anthropicも、この方法を公式に推奨しています。
根拠となる出典や、文章中の該当箇所を直接引用するよう求めることも効果的です。答えの裏付けを、その場で確認しやすくなります。
使うツール・情報源で工夫できること
社内の資料や最新情報など、指定した外部資料にAIの回答を接地させる仕組みもあります。この仕組みはRAG(検索拡張生成)と呼ばれています。
RAGを使うと、AIが自分の記憶だけに頼らず、実際の文書を参照しながら答えを作れます。ただし参照元の資料自体に誤りがあったり、検索がうまくいかなかったりする可能性は残ります。仕組みの詳しい解説は、リンク先の記事にまとめています。
AIエージェントとして使うときは、特に注意が必要

自分で質問して答えを確認するだけなら、間違いに気づける場面もあります。
ところがAIエージェントのように、AIが手順を自分で決めて自動で動く使い方では、事情が変わります。
誤った情報がそのまま次の行動の材料になり、人が確認しないまま処理が進んでしまう可能性があります。エージェントに任せる範囲が広がるほど、この点への注意が重要になります。
出てきた答えが正しいか確認する方法

AIの回答は、自然に読めても間違っている場合があります。そのまま信じ切らず、特に重要な判断ほどいくつかの確認を挟んでください。
- 出典や根拠が示されているかを確認する
- 重要な数字や固有名詞は、一次情報で裏取りする
- 社外に出す文書や重要な判断ほど、人の目で最終確認する
Perplexityのように、回答に出典を表示する設計のAI検索ツールを使うと、確認の手間を減らせます。
出典表示や検索機能を持つAIツールを比較してみたい場合は、AIツールを検索することもできます。
ハルシネーションについてよくある質問
ハルシネーションは今後のAIで無くなりますか
モデルの改良や評価方法の見直しで頻度はさらに下がる可能性がありますが、Anthropicは現在の対策について「完全には無くならない」と説明しており、今の時点で無くなるとは言い切れません。
ハルシネーションと、AIの学習データが古いことは同じですか
別の問題です。学習データが古いために情報が古くなることと、もっともらしいが誤った内容を作り出してしまうハルシネーションは、原因が異なります。
RAGを使えばハルシネーションは無くなりますか
指定した外部資料にAIの回答を接地させる仕組みのため、頻度を減らす効果は見込めます。ただし、参照元の資料自体に誤りがある場合もあり、完全に無くなるわけではありません。
まとめ
ハルシネーションは、AIが不確かな事柄をもっともらしく言い切ってしまうときに起こります。今使われている生成AIの多くに共通する性質のため、対策をしても完全には防ぎきれないとされています。
防ぎきれない理由の一つは、多くのAIの訓練や評価の方法が、正直に「わからない」と答えるより、もっともらしい推測を優遇してしまう点にあります。
実務でできる工夫は、わからないと答えてよいと伝えること、出典や根拠を求めること、外部の正しい情報に接地させる仕組みを使うことです。
AIエージェントのように自動で動く使い方では、誤情報がそのまま次の行動につながる可能性があるため、より注意が必要です。
出てきた答えは、出典の有無と一次情報での裏取りを基本にし、重要な判断ほど人が最終確認する習慣を持ってください。
社内でAIの使い方や確認ルールを整理する研修を検討している場合は、お問い合わせはこちらからご相談ください。
この記事の出典
- Why Language Models Hallucinate(OpenAI、Adam Tauman Kalai・Ofir Nachum・Santosh S. Vempala・Edwin Zhang、2025年9月4日提出)
- Reduce hallucinations(Anthropic Claude Platform Docs、2026年9月10日確認)
- Gemini and responsible AI(Google Cloud、2026年9月3日更新)
- What is Perplexity?(Perplexity公式Help Center、2026年9月10日確認)
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