AIツールギャラリー

説明可能AI(XAI)とは?AIの答えの理由をどこまで説明できるか|業務で確認したいこと

AIツールギャラリー編集部更新: 2026年9月13日
説明可能AI(XAI)とは?AIの答えの理由をどこまで説明できるか|業務で確認したいこと

AIが候補の順位や予測、判定を示したとき、その理由を社内外から尋ねられる場面があります。出力を判断材料にするほど、答えだけでは足りないことがあります。

理由を知りたいとき、確認したいのはAIが参照した根拠なのか、モデルの動きなのか、利用時の記録なのかを分ける必要があります。ここが混ざると、説明を求めても必要な情報にたどり着きにくくなります。

この記事では、説明可能AIの意味、理由を求められる業務の場面、確認できることと限界を整理します。AIの出力を使う前に、どの説明を誰へ求めるかを考えるための用語解説です。

この記事では、AIの答えの理由を確認するときの見分け方を解説します!

この記事の監修者

山原 慎也
山原 慎也

AIリスキル株式会社 代表取締役

AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。

実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など

説明可能AIとは何を説明できる性質なのか

AIの出力に対して、根拠・理解できる説明・説明の正確さ・想定範囲を確かめるNISTの4原則を整理した図

説明可能AIは、Explainable AIの略で、XAIとも呼ばれます。NISTIR 8312では、AIの出力や仕組みについて、理由や根拠を人が確認できる形にしようとする性質・考え方として整理されています。

NISTは説明を、AIの出力または過程に関係する証拠、裏付け、理由と整理しています。予測の結果だけでなく、その予測に至る仕組みの説明も対象になり得ます。

XAIは理由が表示されるかだけを問わない

NISTは、説明があることに加えて、相手に理解できるか、実際の仕組みを正しく反映しているか、想定した条件の範囲で使われているかを分けて示しています。

たとえば、専門用語だけの説明は担当者に理解できないかもしれません。分かりやすい説明でも、実際の判断理由とずれていれば、確認の材料としては不足します。

方針や統制とは役割が異なる

説明可能AIは、個々の出力について「なぜこの答えになったのか」を扱います。方針や体制を考える責任あるAIとは、同じではありません。

また、誰が利用を決め、確認し、止めるかを整える話はAIガバナンスの領域です。本記事では、その統制の中で確認したくなる出力理由に絞ります。

なぜAIは答えの理由をいつも説明できるわけではないのか

AIの理由を出力単位の根拠、モデル全体の傾向、利用時の記録に分けて確認する図

「理由が分かるか」は、ひとつの質問ではありません。NISTは、出力と、その出力を生んだ過程を分けて扱っています。

業務で説明を求められたら、まず何についての理由かを分けると、確認先を決めやすくなります。

出力の根拠とモデル全体の傾向は別です

出力の根拠は、今回の回答や判定に関係した情報です。たとえば、ある申請を通すかどうかの予測で、どの入力項目が影響したかを確認する問いです。

モデル全体の傾向は、どの入力項目を重く見やすいか、どんな条件で誤りやすいかという問いです。個別の出力理由だけでは、全体の傾向までは分かりません。

機械学習の基本は機械学習で確認できます。多層のニューラルネットワークを使うディープラーニングのように、仕組みが複雑な場合もあります。

利用時の記録も説明の一部になります

NISTがいう過程には、システムの設計、開発に使ったデータの情報、関連する文書などが含まれます。モデルの理由と、どの設定・データ・版を使ったかという利用記録は同じものではありません。

そのため、回答の根拠を示す機能があっても、いつどの条件で使ったかまで自動的に分かるとは限りません。必要な説明の範囲を、利用前に分けておくことが大切です。

業務のどんな場面でAIの理由を求められるのか

EU AI Act Annex III、米国EEOC、米国CFPBの各資料に基づく、採用・人事評価・与信に関するAIの利用例・分類を示す図

EU AI Act Annex IIIには採用・人事評価・与信に関するAIの分類があります。米国EEOCは雇用でのAI利用例を、米国CFPBは信用判断の具体的理由に関する要件を示しています。

以下は日本での法的な可否を判定するものではありません。自社の利用については、社内の法務・コンプライアンスや担当部門の確認が必要です。

採用と人事評価

EU AI ActのAnnex IIIは、採用・選考、雇用条件や昇進・終了に影響する判断、労働者の業績や行動の評価を列挙しています。これはEU法の分類です。

米国EEOCも、求人、応募書類の選別、採用、職場での監視、昇進・報酬、解雇でAIが使われる例を示しています。

導入を検討するときは、AIを使う工程と、どの情報をもとに出力するかを社内で確認しておくとよいでしょう。

与信や信用に関わる判断

EU AI ActのAnnex IIIには、自然人の信用力や信用スコアを評価するAIも含まれます。CFPBは米国の信用判断について、複雑なアルゴリズムを使う場合でも、不利益な判断の具体的な理由に関する要件が適用されるとの見解を示しています。

この例で重要なのは、難しいモデルを使っていることが説明の代わりにならない点です。日本でどの説明が必要かは、この米国機関の見解だけでは判断できません。

説明を求められたとき実際に何を確認できるのか

AIの理由を求められたときに、出力と条件、提供元文書、製品固有の説明機能、説明の検証を順に確認する図

説明を求められたときに、どのAIでも同じ画面や資料が出るとは限りません。出力を使う側は、必要な説明を小さく分けて確認できます。

確認できた資料や機能は、出力が正しいことの保証ではありません。説明の対象と限界を一緒に確認します。

まず出力と利用条件を残せるかを確認する

最初に確認したいのは、入力、出力、参照した情報、利用した設定や版を後から照合できるかです。何の回答について説明を求めるのかが定まると、確認したい記録も具体的になります。

次に、提供元や社内の管理者に、想定用途、対象外の条件、評価方法、既知の限界を説明する文書があるかを確認します。NISTは、こうした文書や関連知識を過程の情報に含めています。

製品固有の説明機能を確認する

Microsoft Azure Machine Learningの公式ドキュメントは、モデル全体と個々のデータ点の特徴量重要度を表示する説明を案内しています。

前者は全体の傾向、後者は個別の予測でどの項目が影響したかを見るためのものです。

同ドキュメントではSHAPを、入力特徴量が予測へ寄与する度合いを示す手法として説明しています。これはAzure Machine Learningの案内であり、すべてのAIや生成AIの回答に同じ機能があるという意味ではありません。

説明が実際の仕組みを反映しているかを確認する

NISTの「説明の正確さ」は、説明が出力を生んだ理由やシステムの過程を正しく反映することです。もっともらしい説明文が表示されたことだけでは、この条件を満たしたとは言えません。

確認するときは、説明がどの入力・モデル・版に対応するのか、対象外の条件は何かを分けます。必要に応じて、説明を受け取る相手が理解できる言葉になっているかも確認します。

精度が高ければ説明はいらないのか

NISTIR 8312が別に扱う、AIの出力の正確さと説明の正確さを確認する図

精度は、AIの出力が期待した結果にどれだけ合うかを考える軸です。説明可能性は、その出力や仕組みの理由をどう示し、どう確認できるかを考える軸です。

NISTは、説明の有無と、説明の正確さを別の原則にしています。NIST AI RMFの資料でも、妥当性・信頼性と、説明可能性・解釈可能性は別の特性として示されています。

説明は事実確認の代わりになりません

理由が表示されても、入力情報が誤っている、対象外の条件で使われている、出力が誤っている可能性は残ります。説明を見たあとにも、根拠となる情報や業務上の確認は別に必要です。

生成AIの回答にもっともらしい誤情報が混じる現象は、ハルシネーションとして別に整理しています。説明可能性は、その誤情報を自動的になくす性質ではありません。

正確な説明にも限界があります

NISTは、説明が利用者にとって理解できることと、システムが設計された条件や十分な確信の範囲で動くことも原則に含めています。説明の量を増やすだけでは、分かりやすさや利用範囲の問題は解決しません。

使う業務では、出力の精度、説明の正確さ、説明を受け取る人にとっての分かりやすさを別々に確認します。どれか一つだけで判断を終えないことがポイントです。

説明可能AIを業務でどう確かめるか

AIの説明可能性を確認するために、目的、説明を受ける相手、確認対象、限界を順に確認するチェックリスト図

本記事では、NISTIR 8312の整理をもとに、説明可能AIをAIの答えについて理由を分かる形にできるかを考えるための言葉として扱います。

説明があるかだけでなく、誰に向けた説明か、仕組みを正しく反映しているか、利用条件が分かるかを確認します。

業務で使う前には、次の4点を整理すると質問を具体的にできます。

  • AIのどの出力について理由が必要か
  • 誰が説明を受け、何を判断するのか
  • 出力の根拠、モデル全体、利用記録のどれを確認するのか
  • 説明とは別に、正確さや対象外の条件をどう確認するのか

AIの出力を使う業務と、理由を確認する必要がある場面を整理したうえで、社内の確認項目を決めたい場合は、AIリスキルへの相談窓口をご利用ください。

この記事の出典

この記事は役に立ちましたか?

感想は、今後の記事改善に活用します。

関連記事

ジェイルブレイク(Jailbreak)とは?Anthropicの公式説明をもとにした用語の範囲
解説・ガイド2026年9月13日

ジェイルブレイク(Jailbreak)とは?Anthropicの公式説明をもとにした用語の範囲

本記事ではAnthropicの公式説明をもとに、ジェイルブレイクを提供元が設けた制限を回避しようとする試みとして扱います。会社で確認したい自社規程・契約・提供元の説明、相談先・記録の選択肢を整理します。

Zero-shot(例を示さない依頼)とは?業務での使い分けと指示の書き方
解説・ガイド2026年9月13日

Zero-shot(例を示さない依頼)とは?業務での使い分けと指示の書き方

Zero-shotとは、AIにお手本の例を示さず、指示と必要な情報だけで頼む書き方です。例を示す場合との使い分け、指示に書く項目、業務で確認したい点を会社員向けに解説します。

Few-shot(少数例プロンプト)とは?AIへの依頼にお手本を添える書き方
解説・ガイド2026年9月13日

Few-shot(少数例プロンプト)とは?AIへの依頼にお手本を添える書き方

Few-shotとは、AIへの依頼文に望む入出力のお手本を少数添え、出力の型や判断の例を示す書き方です。例の選び方、業務データの確認点、構造化出力との違いを解説します。

思考の連鎖(Chain of Thought)とは?AIに途中の考えを順に出させる依頼の仕方
解説・ガイド2026年9月13日

思考の連鎖(Chain of Thought)とは?AIに途中の考えを順に出させる依頼の仕方

思考の連鎖(CoT)は、AIに結論だけでなく途中の考えや理由を順に出させる依頼の仕方です。推論モデルとの違い、業務で確認したい点、出力をそのまま信じない理由を解説します。

次のAIツール選びへ

気になるツールを並べて、料金や特徴の違いを確認できます。