Dify活用事例|社員3万人・アプリ1万個のリコーとカカクコムの実例
Difyの導入事例をリコー・カカクコムの実例で解説。社員3万人・アプリ1万個規模で何が作られ、どう運用されているかがわかる。自社で試すときの始め方つき。

ノーコードで生成AIアプリを開発できるツール「Dify」は、国内でも大手企業への導入が進んでいます。
リコーグループでは、国内グループ社員約3万人が利用できる環境が整い、2026年7月27日時点で業務に即したアプリが約10,200個作られています。カカクコム(食べログ運営元)も全社的にDify Enterprise版を導入し、複数部門でアプリを内製する体制を敷いています。
規模も業種も異なるこの2社が、実際に何を作り、どう運用しているのか。この記事では、公開情報をもとに具体的な中身を解説していきます。
Difyで実際に何が作られているのか
イメージを掴むには、実際に作られたアプリの中身を見るのが早道です。
リコー: 無償公開されている業務テンプレート9種
リコーは2026年6月、社内実践のノウハウをもとに作った業務テンプレートを9種類、無償で提供し始めました。ラインナップには、レポートを読み込んで提案書を自動作成するもの、オファリング提案を自動作成するもの、イベント招待メールを作成するもの、アンケートの自由記述をカテゴリー分類するもの、共創ビジネスのアイデアを生成するもの、顧客課題を言語化するツール、AIによる顧客インタビューなどが並びます。いずれも、専門的なプログラミング知識がなくても、日々の資料作成や顧客対応の一部をアプリに置き換えられる粒度になっています。
カカクコム: 3時間で本番稼働した抽出ツール
カカクコムの場合は、製品データを抽出するツールが象徴的な事例です。Dify導入後わずか3時間でこのツールを本番稼働させ、現在は日次で数千件の製品データを処理しています。従業員の75%がDifyのアカウントを持ち、約950個のアプリが社内で使われている状態にまで広がっています。
この2社に共通しているのは、「エンジニアが数か月かけて作るシステム」ではなく、「現場の担当者が自分の業務課題に合わせて作る小さなアプリ」の積み重ねだという点です。ひとつひとつのアプリは大掛かりなものではありません。それが積み重なって、リコーでは1万個、カカクコムでは950個という規模になっています。
なぜここまで広がったのか
Difyが広がった理由は、生成AIの性能そのものよりも、「誰が作るか」を変えたことにあります。
これまで社内向けの業務アプリを作るには、エンジニアに要件を伝え、開発してもらうという手順が必要でした。Difyのようなノーコード基盤では、業務の当事者自身が、プログラミングの知識なしにワークフローやチャットボットを組み立てられます。要件を伝える相手が「他の誰か」から「自分」に変わることで、着手までのスピードと、現場の実情に合った細かい調整のしやすさが一気に上がります。
リコーやカカクコムでこれだけの数のアプリが生まれた背景には、この「作る人を増やす」という設計思想があります。エンジニアのリソースを増やさなくても、現場の人数だけアプリを作れる可能性が生まれます。これが、他のAIツールにはない、ノーコード基盤ならではの伸び方です。
大きくなっても運用が破綻しない理由
ここで気になるのが、「そんなに増えたら収拾がつかなくなるのではないか」という不安でしょう。この点についても、両社は具体的な対策を講じています。
カカクコムの対策: ワークスペースとAPIキーで分ける
カカクコムは、ワークスペースを部門ごとに分けて設計し、ワークスペースごとに異なるAPIキーを設定することで、「どの部署・プロジェクトで、どれだけAI利用コストが発生しているか」を把握できる体制を作っています。アプリの公開範囲も、同一ワークスペース内に限定する「探索」機能を基本とし、外部に開いてしまう公開URLの発行は原則禁止としています。定期的な監視ジョブで、未審査のモデルやツールが有効化されていないかをチェックする運用も組み込んでいます。
リコーの対策: 利用状況を可視化するダッシュボード
リコーも同じ課題に行き着いています。2026年7月31日には、Difyの利用ログをもとに「誰が・何を・どれだけ利用しているか」を可視化するダッシュボード構築サービスを発表しました。約3万人が使える環境で約10,200個のアプリが動く規模になったからこそ必要になった仕組みですが、逆に言えば、そこまで増えても対処法が確立されているということでもあります。なお、このサービス自体の価格や提供形態は7月31日時点のリリースに明記されておらず、リリース内のダッシュボード画面例(総ワークスペース数、総メンバー数、トークン消費量)も「サービス内容を説明するために作成した架空のもの」と注記されている、実データではない参考イメージです。
つまり、「作る人を増やしたら収拾がつかなくなるのではないか」という不安には、すでに大手企業が実例で解決策を示しています。ワークスペースを部門単位で分けること、APIキーを分けてコストを追える状態にすること、定期的に棚卸しすること。この3点を最初から意識しておけば、小さく始めた運用が大きくなっても慌てずに済みます。
何から始めればいいか
ここまで見てきたのは、数万人・数千アプリという規模の話です。ただ、自社で試すのに、その規模を最初から目指す必要はありません。
Difyにはクラウド版の無料プラン(Sandbox)が用意されており、クレジットカードなしで基本的な機能を試せます。まずは自分の業務の中で繰り返し発生する小さな作業をひとつ選び、チャットボットやワークフローとして組んでみるところから始めるのが現実的です。リコーの無償テンプレートのように、資料の要約、アンケートの分類、メール文面の自動作成といった、成果物のわかりやすい作業から着手すると、効果を実感しやすくなります。
料金プランや具体的な機能の詳細は、ツール詳細ページで随時最新情報に更新しています(Difyの詳細ページ)。
まとめ: まずは小さく試すところから
Difyが「使えるツールかどうか」は、リコー・カカクコムの実例がすでに証明しています。大事なのは、いきなり全社展開を目指すことではなく、自分の業務の中にある小さな繰り返し作業をひとつ選び、無料プランで試してみることです。
試す前に、次の点を確認しておくと迷いません。
- 業務の中で繰り返し発生する小さな作業を1つ選べているか
- 資料の要約やアンケート分類のように、成果物がわかりやすい作業から始めようとしているか
- アプリが増えてきたときのために、ワークスペースやコスト管理の考え方を知っているか
- 本格的に展開する場合の相談先を決めているか
生成AIを使って自社の業務にどこから着手すればいいか、Difyのような基盤が自社に合うかどうかを含めて相談したい場合、AIリスキル株式会社では生成AIの導入支援を月5万円〜承っています。「何から試せばいいかわからない」「小さく始めて、うまくいったら広げたい」といったご相談は、お気軽にどうぞ。
この記事の出典
- リコージャパングループの実践から生まれた「Dify活用可視化ダッシュボード構築サービス」を提供開始(リコー、2026年7月31日)
- 「Dify Essential/Standard」ライセンスと、Difyアプリケーションの無償テンプレートを提供開始(リコー、2026年6月1日)
- カカクコムにおけるDifyエンタープライズ版の全社導入と活用ポイント(食べログTech Blog、2025年5月13日)
- Dify公式ブログ: Kakaku.com導入事例(Dify、英語)
- Dify公式料金ページ
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