Notion AI活用事例|社員1,500人・利用率97%を実現したSansanの全社導入の中身

Notion AIは、社内ドキュメントの置き場所であるNotionに組み込んで使う生成AIです。Sansanは社員1,500人を超える規模で全社導入し、Notionの利用率97%、Notion AIの利用率88%まで定着させています。
チャットに質問するだけの使い方と分かれたのは、置き場所の設計でした。情報をどこに集約するか、経営から何を発信し続けるか、現場で誰が広げるか。Sansanはこの3つを組み合わせています。
この記事では、営業部門とBill Oneエンジニア部門の使い方をたどりながら、定着を支えた仕組みを見ていきます。読み終えると、自社の情報基盤に手を入れるべきかを判断できます。
記事の最後には、自社で着手する業務を選ぶためのワークシートもご用意しています!
この記事の監修者

AIリスキル株式会社 代表取締役
AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。
実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など
Notion AIで実際に何が変わったのか
Sansan株式会社は、名刺管理・営業DXサービスを展開する企業です。ドキュメント基盤「Notion」と生成AI機能「Notion AI」を全社に導入しています。
なお「社員1,500人超」は全社導入に踏み切った2024年2月時点の従業員数で、Notion利用率97%・Notion AI利用率88%はNotion公式が2025年10月に公開し2026年3月に更新したカスタマーストーリー時点の数値です。
同社はその後も成長を続けており、2026年5月31日時点の従業員数は単体2,077名・連結2,336名に達しています。
情報基盤(社内に散らばる情報を一元的に集約し、扱うための土台となる仕組みのこと)にAIを組み込むと、現場の作業は具体的にどう変わるのか。Sansanの営業部門とBill Oneエンジニア部門の使い方を見ると、その内容がつかめます。
営業部門: 「商談後処理」ページへの集約
Sansanの営業部門は、商談の準備から処理までを「商談後処理」という1つのページ上で一元管理しています。
担当者は事前準備の内容、アポイントメモ、議事録の文字起こしを統一されたテンプレートに集約し、Notion AIが議事録サマリー、提案資料、お礼メールのテンプレート、社内で使う顧客管理システム(Salesforce)への入力用の記載項目までを自動生成します。
これにより、商談後の事務処理に費やす時間が大幅に短縮されているといいます。
Notion AIはNotion上の情報だけでなく、社内のコミュニケーションツールであるSlackなど他ツールの情報も検索・要約できるため、商談中に不明点が生じた際にもその場で情報を探して回答できるようになりました。
Sansan事業部SMB第3営業部の橋元彩楓氏は、情報がオープンに共有される体制になったことについて「製品ロードマップや仕様書などを事業部全体で見れるようになり、エンジニアとビジネスサイドの情報共有もしやすくなりました」と述べています。
Bill Oneエンジニア部門: 仕様書のデータベース化
同社のインボイス管理サービス「Bill One」を開発するエンジニア部門では、大量の仕様ドキュメントにタイトルや担当チーム、カテゴリ、作成者といった属性とAIによる要約を付けてデータベース化し、「誰が見ても何をしようとしているかが分かる」状態を作っています。
仕様書を日本語と英語で同時に作成する場面でも、Notion AIが作成やメンテナンスの工数を削減しています。
技術本部Bill One Engineering Unitの中野翔太氏は「エンジニア部門では開発計画や進捗をNotionですでに可視化していますが、今後はそれらの管理をさらに自動化していきたいです」と話しています。
こうした部門ごとの活用に加えて、組織全体のOKR(目標(Objectives)と成果指標(Key Results)を紐づけて管理する目標設定の手法)管理にもNotionが使われています。
従来はスプレッドシートで管理していたものを、プロジェクトの更新に応じて関連する成果指標の進捗率が自動反映される仕組みに置き換え、Notion AIが週次の進捗サマリーを生成することで、マネジャーに集中していた情報収集や整理の業務が減っているといいます。
なぜここまで浸透したのか
これだけ幅広い部門でNotion AIが使われるようになった背景には、経営トップの発信と現場の仕組みという2つの推進力があります。
経営トップの継続的な発信
2025年の年初、代表取締役社長の寺田親弘氏から「AIファースト」という年間テーマが発信されました。
月2回開催される全社会議では「全社員が一丸となってAIの活用に挑戦していく」というメッセージが継続的に発信され、この経営層のコミットメントを受けて、コーポレートシステム部門と人事部門が連携する形でAIオンボーディング事務局が発足しました。
技術本部コーポレートシステム部の杉浦壮彦氏も、ITmediaエンタープライズの取材に対し「経営層による継続的なメッセージ発信が大きな推進力になりました」と語っています。
現場のアンバサダー制度とスキルチェックシート
トップダウンの発信だけでなく、現場側の仕組みづくりも並行して進められました。
各部門長がNotion活用の「アンバサダー」に任命され、その下に現場のメンバーが推進担当としてつく体制がつくられ、社内の約70%の組織で具体的な活用方法が共有されるまでになりました。
加えて、文章の要約や翻訳、議事録生成、データ分析、プロンプト作成といったNotion AIの各機能を1分以内のデモ動画で解説する「Notion AIスキルチェックシート」が用意され、従業員が自分のペースで習得できる仕組みとして活用されています。
2018年から運営されている映像版社内報「Sansan TV」でも、営業職やエンジニアによるNotion活用の実例が紹介されています。
人事本部Culture&People部の畠山梨沙氏は「Sansan TVで配信されるコンテンツの中でも、全従業員が利用するNotion関連の内容は、視聴率がとても高いです」と述べています。
新入社員向けの5日間のオンボーディングプログラムでも、疑問があればまずNotion AIに聞いて自ら情報を探すという体験を初日から積んでもらう設計になっており、こうした教育の積み重ねが日常的な利用につながっています。
Sansanはこの間も成長を続けており、2026年5月31日時点の従業員数は単体2,077名・連結2,336名に達しています。
導入開始時点(2024年2月、社員1,500人超)から規模が拡大してもなお、Notion利用率97%・Notion AI利用率88%という定着水準を保っている点は、この浸透の仕組みが一時的な取り組みでないことを示しています。
なお、ITmediaエンタープライズの取材記事では「導入から1年足らずで利用率はNotionが97%、Notion AIも88%に達し」たと紹介されています。
この記事は2025年11月25日公開のため、起点を2024年2月の全社導入開始とすると、公開時点で約21カ月が経過しており「1年足らず」とは整合しません。
一方、2025年初に始まった「AIファースト」施策を起点とすると期間が近くなることから、この表現は「AIファースト」施策の開始を指していると考えられます。
また、商談後処理やBill Oneの仕様書作成でどれだけ時間が削減されたか、契約形態や費用といった定量的な数値は、今回確認した一次情報には明記されていません。
何から始めればいいか
社員1,500人規模での全社導入は、いきなり目指す必要はありません。まず取り組みやすいのは、自社の情報がどのツールに、どれだけ分散しているかを洗い出すことです。
営業資料はどこに、議事録はどこに、仕様書はどこにあるのか。それぞれのツールで閲覧権限がどう設定されているのかを棚卸しするだけでも、AIが横断的に検索できない原因が見えてきます。
そのうえで、Notionには無料プランが用意されており、個人のメモやチームの小さなWikiから試すことができます。
Sansanの営業部門の例のように、まずは「商談後処理」のような1つの業務フローをテンプレート化し、そこにAIによる要約や下書き生成を組み込んでみると、効果を実感しやすくなります。
料金プランや機能の詳細は、Notion AIの詳細ページで随時最新情報を確認できます。
まとめ: 情報基盤にAIを組み込むという選択
Notion AIの価値は、チャットに質問して答えをもらうことだけではありません。Sansanの事例が示しているのは、社内の情報の置き場所そのものを一元化し、そこにAIを組み込むことで、検索の手間と事務処理の時間の両方を減らせるということです。
そしてその定着には、経営トップの継続的な発信と、現場主導のアンバサダー制度という両輪が必要でした。
試す前に、次の点を確認しておくと迷いません。
- 自社の情報がどのツールに、どれだけ分散しているかを洗い出せているか
- チャット単体のAI導入ではなく、情報基盤そのものにAIを組み込む選択肢を検討したか
- 経営層からの発信だけ、現場任せだけに偏っていないか
- 小さな業務フローを1つ選んで、テンプレート化とAI活用をセットで試せているか
「自社の情報がどのツールに、どれだけ分散しているか」を洗い出したうえで、情報基盤の一元化とAIツール選定をどう進めればよいかを一緒に整理したい場合は、AIツールギャラリーの法人向け相談をご利用ください。
この記事の出典
- Sansanが挑む「AIファースト」な組織への変革。Notionが組織にAIを根付かせる(Notion公式カスタマーストーリー、2025年10月27日公開・2026年3月2日更新)
- Sansan、NotionとNotion AI 全社導入で組織変革を加速(Notion Labs Japan合同会社、PR TIMES、2024年5月28日)
- 「Notion AI」で"探す時間ゼロ"へ 情報散在に悩んだSansanの情報共有改革:Sansan流、AI利用率88%達成の秘訣(ITmediaエンタープライズ、提供: Notion Labs Japan合同会社、2025年11月25日)
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