リランキングとは?検索との違いは「取り出したあとに並べ直す」こと|2段階にする理由と効く条件

社内文書を検索するAIの設定画面に、Rerank(リランキング)という項目が出てくることがあります。製品によっては既定でオフになっていて、有効にするかどうかだけを聞かれます。
検索をかけた時点で結果には順位が付いているはずです。それをもう一度並べ直すという説明を読んでも、何が変わるのかが分かりません。
この記事では、リランキングが何を指す言葉なのか、なぜ検索のあとにもう一度並べ直すのか、入れるかどうかを何で判断すればよいのかを順に整理します。
設定を有効にすれば必ず良くなる機能ではないので、効く条件まで持ち帰ってください!
この記事の監修者

AIリスキル株式会社 代表取締役
AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。
実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など
リランキングとは、検索で取り出した結果を別のモデルで並べ直すこと

リランキング(reranking)は、検索で取り出した結果を、別のモデルでもう一度採点し直して並べ替える処理です。
Cohereの公式ドキュメントは、Rerankをクエリと文書の一覧を受け取り、クエリとの意味的な関連度が高い順に文書を並べ替えるツールだと説明しています。返ってくるのは、文書の番号と関連度スコアの組です。
Pineconeの公式ドキュメントは、この処理を2段階として説明しています。まず索引に対して検索を実行し、次にそのクエリと結果をリランキングモデルへ送る、という手順です。
同ドキュメントは、1段目の検索そのものは変えないまま、より正確な並び順を得る方法だとしています。
製品によって呼び名は変わります。Azure AI Searchではsemantic rankerと呼ばれ、BM25またはRRFで採点された最初の結果に対する二次ランキングとして説明されています。
AIが回答を作る前に資料を探す仕組み全体はRAGで扱っています。
検索し直すのではなく、取り出した分だけ並べ直す
ここが用語の輪郭を決めるところです。リランキングは、すでに手元にある結果の順番を入れ替える処理であって、検索をやり直す処理ではありません。
Microsoft Learnは、semantic rankerができないこととして、コーパス全体に対してクエリを実行し直すことを挙げています。並べ直しの対象は、既定の順位付けで上位50件に入った結果だけだとしています。
つまり1段目の検索で候補に入らなかった文書は、リランキングを有効にしても浮かび上がってきません。この性質が、後で触れる効果の上限になります。
なぜ検索のあとに、もう一度並べ直すのか

同じ「関連度」を測っていても、1段目と2段目では比べ方が違います。ここではSentence Transformersの公式ドキュメントで紹介される構成を例に見ます。
同ドキュメントは、この構成で1段目に置くbi-encoderが、文書とクエリの数値表現をそれぞれ独立に作ると説明しています。何百万件もの文書を相手にするため、効率が求められる段だとしています。
2段目に置くcross-encoderは作りが違います。同ドキュメントは、クエリと候補の文書を同時にネットワークへ渡し、0から1の範囲でスコアを1つ出力すると説明しています。
クエリと文書を突き合わせて読める分だけ、こちらのほうが丁寧な採点になります。
では最初から2段目のやり方で全件を調べればよいはずですが、そうはしません。
同ドキュメントは、数千から数百万の組み合わせを採点するのはかなり遅くなるため、まず100件程度の候補を作り、それをcross-encoderで並べ直すと説明しています。
Microsoft Learnも同じ制約に触れています。semantic rankingは多くの資源と時間を使うため、クエリ処理として期待されるレイテンシに収まるよう、入力を絞り込んでいるとしています。
丁寧な比べ方は全件にかけられないので、速い方法で候補を絞ってから、丁寧な方法をかける。これが2段階に分かれている理由です。
ただし1段目に何を使うかは製品や構成によって違います。Azure AI SearchはBM25またはRRFの結果を受け取り、Difyではベクトル検索、全文検索、ハイブリッド検索から選べます。
1段目で使われることのある意味の近さで探す仕組みはベクトル検索、そこで比べられる数値表現そのものはエンベディングで扱っています。
具体例:同じ検索結果でも、順番と渡す件数が変わる

Microsoft Learnが挙げているのは、capitalという英単語の例です。この語は金融、法律、地理、文法のどの文脈かによって意味が変わります。
同ページは、言語理解によってsemantic rankerが文脈を検出し、クエリの意図に合う結果を上位へ押し上げると説明しています。
採点の基準も公開されています。Azure AI Searchのsemantic rankerは、各文書に4から0のスコアを付けます。
4.0は質問に完全に答えている状態、3.0は関連するが詳細が足りない状態、2.0はある程度または一部の側面に答えている状態、1.0はごく一部に答えている状態、0.0は無関係とされています。
この基準はAzure AI Searchのものです。リランキングモデル共通のスコアではないので、他製品の数値と直接は比べられません。
同ページは、スコアの分布がインフラの状況やモデル更新で多少変わりうるとして、しきい値を細かくしすぎないよう注意しています。
変わるのは順番だけではありません。Anthropicが公開したContextual Retrievalの構成では、まず150件のチャンクを取り出し、リランキングで上位20件に絞ってモデルへ渡しています。
候補を取り出す側の置き場所についてはベクトルデータベースで扱っています。
RAGの処理のどこに入るか

処理の順番で見ると、位置がはっきりします。
資料を分割して索引を作る、質問が来たら検索で候補を取り出す、リランキングで並べ直す、上位だけをAIに渡す、という並びです。
分割は索引を作る前の工程で、リランキングは取り出したあとの工程です。どちらも検索の質に関わりますが、触っている場所が違います。
Anthropicは、リランキングを、最も関連するチャンクだけがモデルに渡るようにするためのフィルタリング手法だと説明しています。
同社は、モデルが処理する情報が減ることで、より良い応答が得られ、コストとレイテンシも下がるとしています。ただし並べ直す件数を増やした場合の増加分は別にあり、次の見出しで触れます。
資料の置き場所としての整理はナレッジベース、AIが一度に読める量の上限はコンテキストウィンドウで扱っています。
「入れれば精度が上がる」とは限らない

改善を報告した測定はありますが、そのまま自分の環境に当てはまる数字ではありません。
Anthropicは、Contextual EmbeddingとContextual BM25を組み合わせた構成にリランキングを加えたとき、上位20チャンクでの取りこぼし率が5.7%から1.9%へ、67%減ったと報告しています。
この測定はコードベース、小説、ArXivの論文、科学論文など複数の領域を対象に行われたものです。この構成とこのデータでの値であり、リランキング単体の一般的な改善幅ではありません。
効きやすいコンテンツにも条件があります。Microsoft Learnは、semantic rankingがすべての場面で有益とは限らないとしています。
同ページは、semantic rankerの言語モデルが最もよく働くのは、情報量が多く散文として構成された検索対象だとしています。例として挙げているのは、ナレッジベース、オンラインドキュメント、説明的な内容を含む文書です。
増える分もあります。Anthropicは、リランキングが実行時に1工程を追加するため、チャンクを並列に採点していても、わずかなレイテンシが避けられず増えると述べています。
同社は、並べ直すチャンクを増やせば性能は上がるがレイテンシとコストも増える、減らせばその逆になるとして、自分のユースケースで試すことを勧めています。
費用も発生します。Difyの公式ドキュメントは、この機能を有効にするとRerankモデルのトークンを消費すると明記しています。Azure AI Searchのsemantic rankerは従量課金のプレミアム機能で、無料枠を超えた分が課金対象です。
課金や上限の単位になるトークンも、あわせて確認しておくと見積もりがしやすくなります。
設定画面で決めること

実際の画面に並ぶ項目は製品によって違います。Difyの場合は、モデルの選択と、渡す件数やしきい値の指定が並びます。
Difyの公式ドキュメントによると、Rerankモデルの設定はHigh-Qualityのインデックス方式で使え、ベクトル検索、全文検索、ハイブリッド検索のいずれでも選べます。使う前にModel ProviderでRerankモデルのAPIキーを設定する必要があります。
同ドキュメントには、見落としやすい条件も書かれています。TopK(既定値3)とScoreのしきい値(既定値0.5)は、Rerankの段でのみ有効です。
Rerankモデルを追加して有効にしていない場合、この2つの設定は効きません。いずれもDifyでの既定値と挙動です。
画像を含む場合の条件もあります。同ドキュメントは、マルチモーダルの埋め込みモデルを使うならVisionアイコンの付いたマルチモーダルのrerankモデルを選ぶよう求めています。選ばないと、取得された画像がリランキングと検索結果から除外されます。
渡せる件数と長さは、モデルによって違います。Pineconeの公式ドキュメントは、扱えるモデルごとに上限を一覧で載せています。
同ページによると、cohere-rerank-4-fastは最大250件で1文書あたり8,192トークン、bge-reranker-v2-m3は最大100件でクエリと文書のペアあたり1,024トークン、pinecone-rerank-v0は最大100件で512トークンです。
Cohereの公式ドキュメントは、一度に10,000件を超える文書を渡すとエラーになるとしています。長い文書は分割され、rerank-v4.0は32,764トークン、rerank-v3.5とv3.0は4,093トークンのチャンクに区切られます。
Azure AI Searchでは上位50件までが対象です。要約の段では1文書あたり最大2,000トークンを受け取り、rankerへ渡される要約文字列は最大2,048トークンとされています。同ページはトークンをおよそ10文字として注記しています。
設定項目としてどう見えるかは、Difyのように画面からRerankモデルを指定できるツールで確認できます。モデルの提供元としてはCohereなどがあります。
渡す件数は多いほど良いわけではなく、増やすほどレイテンシと費用も増えていきます!
よくある質問

ハイブリッド検索とリランキングは同じものですか
違います。Microsoft Learnは、semantic rankerをBM25またはRRFで採点された最初の結果に対する二次ランキングとして説明しています。
RRFはキーワード検索とベクトル検索の結果を統合する側の処理で、リランキングはその結果を受け取ってから動きます。順番が違うので、どちらかがどちらかの代わりになるものではありません。
チャンクとリランキングは何が違いますか
触る工程が違います。チャンクは資料を索引に入れる前に分割する話で、リランキングは検索で取り出したあとに並べ直す話です。
どちらも検索の質に影響しますが、変えたときに効く場所が別です。取りこぼしが多いのか、順番が悪いのかで、先に見るべき設定が変わります。
リランキングを入れれば、検索に出てこなかった資料も見つかりますか
見つかりません。Microsoft Learnは、semantic rankerがコーパス全体に対してクエリを実行し直すことはできず、既定の順位付けで上位50件に入った結果を並べ直すだけだとしています。
1段目の検索に入らなかった文書は対象外です。そもそも候補に挙がっていない場合は、分割や検索方式の側を見直すことになります。
まとめ

リランキングとは、検索で取り出した結果を別のモデルで採点し直し、関連度の高い順に並べ替える処理です。
2段階にする理由は、Sentence Transformersのドキュメントが例として示しています。クエリと文書を同時に読ませる丁寧な採点は全件にかけると遅すぎるため、速い方法で候補を絞ってからかける、という構成です。
対象はあくまで取り出された分だけです。Microsoft Learnが明記しているとおり、1段目の検索に入らなかった文書は並べ直しても出てきません。
効果は条件によって変わります。Anthropicが報告した67%の改善は同社の特定の構成とデータでの測定値であり、Microsoft Learnもすべての場面で有益とは限らないとしています。
Difyの既定値やPineconeが載せる件数上限も、それぞれの製品の値です。自社の質問を数本用意して、有効にした場合と無効の場合で返ってくる内容を見比べるのが確実です。
複数のシステムにまたがる資料を対象にする場合は、エンタープライズサーチもあわせて確認してください。社内文書の検索やRAG基盤の設計を相談したい場合はお問い合わせはこちらからご相談ください。
この記事の出典
- Semantic ranking - Azure AI Search(Microsoft Learn、2026-09-12確認)
- Rerank(Cohere Docs、2026-09-12確認)
- Best Practices for using Rerank(Cohere Docs、2026-09-12確認)
- Rerank results(Pinecone Docs、2026-09-12確認)
- Introducing Contextual Retrieval(Anthropic、2024年9月19日公開・2026-09-12確認)
- Retrieve & Re-Rank(Sentence Transformers Docs、2026-09-12確認)
- Setting the Indexing Methods(Dify Docs、2026-09-12確認)
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