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自治体の生成AI導入事例7選|職員研修・勉強会・庁内コミュニティで定着させる方法

AIツールギャラリー編集部更新: 2026年8月11日

自治体の生成AI導入後に、職員へ利用を広げるには何が必要なのでしょうか。堺市、原村、つくば市、東京都、三田市、横須賀市、呉市の事例を、研修・勉強会・推進体制の観点から比較します。

自治体の生成AI導入事例7選|職員研修・勉強会・庁内コミュニティで定着させる方法

自治体における生成AIの導入が急速に進んでいます。総務省の調査をもとに集計すると、2025年10月31日時点で生成AIを導入済みの自治体は全国852団体、導入率は47.7%です。都道府県と指定都市では導入率が100%に達し、その他の市区町村でも45.6%まで増えました。

一方で、利用環境を用意しただけで、すべての職員が自然に使い始めるわけではありません。

堺市が2026年4月に課長級職員を対象に行ったアンケートでは、生成AIに興味がありながら使ったことがない理由として、46%が「どのような場面で使えるのか分からない」、38%が「操作方法が分からない」と回答しました。ツールを利用できるかどうかだけでなく、活用方法を知り、実務で試す機会があるかが庁内展開の分かれ目になっています。

自治体の生成AI活用では、次のような「職員が使い続けられる仕組み」が重要です。

  • 職員向けの基礎研修
  • 自治体業務を題材にしたハンズオン
  • 部署別の活用事例づくり
  • 庁内勉強会や相談会
  • AI推進メンバーの育成
  • 活用事例やプロンプトの共有

本記事では、導入したツールやシステムではなく、研修・勉強会・推進体制・コミュニティ形成によって庁内への定着を進めている自治体に焦点を当てます。7自治体の取り組みを比較したうえで、自庁で小さく始める90日ロードマップまで解説します。

自治体の生成AI導入は「環境整備」から「職員への定着」へ

自治体の生成AI活用が環境整備から職員定着へ移る流れと記事で分かる3つのポイント

生成AIを導入した自治体が増えたことで、課題は「導入するか」から「誰が、どの業務で、どの程度使えているか」へ移りつつあります。

総務省の「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック Ver.4.0」では、専門人材と一般職員をつなぐDX推進リーダーの育成、職員のレベルに応じた研修、すぐに使えるプロンプト集、実際に生成AIを利用する職員を増やす施策が有効と整理されています。

大切なのは、研修の参加人数だけを増やすことではありません。職員が自分の業務で使いどころを見つけ、安全に試し、結果を周囲へ共有できる流れをつくることです。

本記事では、この流れを次の5段階で整理します。

  1. 利用準備: 利用ルールや環境を整える
  2. 個人活用: 職員が文章作成や情報整理に使う
  3. 業務活用: 各課が業務課題に合う活用テーマを見つける
  4. 庁内展開: 推進職員が周囲へ活用を広げる
  5. 自走・定着: 事例と知見が継続的に蓄積される

自治体における生成AIの導入・定着事例一覧

堺市、原村、つくば市、東京都、三田市、横須賀市、呉市の生成AI定着施策比較

  • 堺市: 利用状況調査、相談会、管理職研修を実施。未利用の理由を把握して施策を設計した点が参考になります。
  • 原村: 全職員研修と4日間の実践型研修を実施。基礎研修から業務改善案件へ接続した点が参考になります。
  • つくば市: 約2,200人を対象に研修し、前後アンケートを実施。研修効果を行動変化で確認した点が参考になります。
  • 東京都: 外部講師の勉強会と局別アイデアソンを実施。利用経験に応じて学びの場を分けた点が参考になります。
  • 三田市: 庁内コミュニティ、複数回研修、個別勉強会を実施。継続的に学び合う仕組みを整えた点が参考になります。
  • 横須賀市: 初級・中級研修を分け、庁内職員が講師を担当。庁内のAI推進人材を育成した点が参考になります。
  • 呉市: 約150人の操作研修と活用事例の収集を実施。実務演習と事例共有を組み合わせた点が参考になります。

この表は各自治体の優劣を示すランキングではありません。調査時点、対象職員、利用環境が異なるため、数値を単純比較せず、定着施策の設計例として見てください。

自治体向け「生成AI研修・庁内定着90日プラン」

自庁の現在地を確認し、職員研修、実務ワーク、推進メンバー育成、庁内コミュニティを90日で始めるための全23ページの資料です。

1.堺市|未利用の理由を調査し、相談会・管理職研修へつなげる

堺市の生成AI活用調査から相談会・管理職研修・事例共有へつなげる流れ

堺市では、2026年4月に課長級職員を対象として生成AIの利用状況を調査しました。

週1回以上利用している課長級職員は59%でした。一方、課員の利用状況を尋ねると、「ほぼ全員が利用している」と回答した課は10%にとどまり、「ほとんどの職員が利用していない」と回答した課も27%ありました。

生成AIに興味はあるものの、使用したことがない理由は次のとおりです。

  • どのような場面で使えるのか分からない: 46%
  • 操作方法が分からない: 38%
  • 使える業務がない: 12%
  • その他: 4%

この結果を踏まえ、堺市は生成AI活用相談会の定期開催、外部有識者による管理職向けハンズオン研修、優良事例や優良プロンプトの全庁共有を進めています。

堺市の事例から学べること

生成AIを使わない職員へ、利用を呼びかけるだけでは十分ではありません。

「操作が分からない」のか、「使いどころが分からない」のか、「管理職が活用を後押しできていない」のかによって、必要な支援は異なります。最初に短いアンケートやヒアリングを行い、その結果に応じて基礎研修、相談会、管理職研修、事例共有を組み合わせると、施策の狙いが明確になります。

2.原村|全職員研修から、4日間の実践型プログラムへ発展

原村の全職員研修から4日間のワークショップと試作へ進む流れ

長野県原村では、2025年2月に全職員向けの生成AI研修を実施しました。研修では、基礎知識だけでなく、自治体業務における具体的な活用方法まで扱っています。村の公表によると、研修後の庁内における生成AI利用率は80%を超えました。

さらに2025年7月から8月にかけて、全職員を対象とした実践型イベント「HARA AI CHALLENGE」を開催しました。4日間のプログラムで、専門家による講義とチーム制のワークショップを実施し、職員が庁内業務の課題抽出、解決策の設計、試作に取り組んでいます。

引き継ぎ業務の支援、庁内ノウハウの共有、スポーツ施設の予約・決済のオンライン化など、実務に直結する複数のプロジェクトが生まれました。優れた案件は、実証や正式な事業化へ進める方針も示されています。

原村の事例から学べること

原村の研修は、知識を学ぶ場で終わっていません。基礎研修で利用者を増やした後、複数回のワークショップを通じて、職員自身が業務課題を見つけ、解決策を形にしています。

再現するなら、次の順序が参考になります。

  1. 全職員向け研修で基本を理解する
  2. 部署や職種を越えて業務課題を出し合う
  3. チームで活用方法を考える
  4. 試作・発表・評価を行う
  5. 有望な事例を検証し、庁内へ横展開する

3.つくば市|約2,200人を対象に研修を行い、前後の変化を測定

つくば市が研修前後のアンケートで利用や理解の変化を測る流れ

つくば市では、2023年8月に市役所の全部署、約2,200人を対象とした生成AI研修をオンラインで実施しました。リアルタイムで参加できない職員には、後日録画も配信しています。

研修では、生成AIの基本、メリット、リスク、日常業務での活用方法を扱いました。活用を進める「攻め」と、安全に利用する「守り」の両方を学ぶ内容です。

研修の前後には同じ観点のアンケートを行い、利用経験、リスクへの理解、生成AIへの期待、今後の利用意向などの変化を測りました。事前調査は600人、事後調査は638人が回答し、利用者数やリスクを理解する職員、生成AIの効果を実感する職員など、ほぼすべての項目で前向きな回答が増えています。

一方、研修後も利用したことがない職員が一定数残りました。報告書では、身近な自治体業務を使った活用事例、プロンプト入力方法の研修、未利用者へのハンズオン支援、庁内の成功事例を共有する流れの必要性が指摘されています。

なお、この結果は当時の生成AIサービスを使った実証の報告です。現在のサービスや運用条件が異なる自治体へ、そのまま当てはまるとは限りません。

つくば市の事例から学べること

研修の参加人数だけでは、実際に生成AIが使われるようになったかを判断できません。研修前後で次の項目を測ると、次の施策を決めやすくなります。

  • 生成AIを利用したことがある職員の割合
  • 利用上のリスクを理解している職員の割合
  • 自分の業務で使える場面を説明できる職員の割合
  • 今後も利用したいと考える職員の割合
  • 研修後に生まれた活用事例の数

4.東京都|職員アンケートから27局の勉強会、28局のアイデアソンへ

東京都が職員アンケートをもとに経験者向け勉強会と初心者向けアイデアソンを分ける流れ

東京都は、都職員4,072人を対象として文章生成AIに関するアンケートを実施しました。

生成AIを利用している職員に限ると、66%が仕事の効率が向上したと回答しました。73%が業務時間の短縮を、63%が業務品質の向上を実感し、82%が今後も利用したいと答えています。

一方、利用していない職員からは、「どのような業務に利用すればよいか分からない」「申請方法が分からない」といった声が挙がりました。

そこで東京都は、各局から推薦された積極的な利用者を対象に、外部講師を招いた都庁プロンプトアイデアソンを開催しました。27局の職員がプロンプトの専門知識を学び、日頃の経験や活用方法を共有しています。

その後、28局で、初めて生成AIを利用する職員を主な対象とした局別アイデアソンも実施しました。デジタルサービス局の職員が講師やファシリテーターとなり、基礎知識の解説とグループディスカッションを行いました。集まった内容は、34の業務事例を掲載した活用事例集として共有されています。

東京都の事例から学べること

全職員に同じ内容を伝えるだけでなく、利用経験に応じて学びの場を分けている点が特徴です。

  • 積極的な利用者には、外部専門家による高度な勉強会
  • 初めて利用する職員には、各局での基礎的なアイデアソン
  • 生まれたアイデアは、事例集として全体へ共有

先行利用者を育てた後、担当部署や推進職員が周囲へ広げる構造をつくることで、大規模な組織でも展開しやすくなります。

5.三田市|庁内コミュニティと継続的な勉強会を組み合わせる

三田市の研究チーム、研修、個別勉強会、庁内コミュニティをつなぐ仕組み

兵庫県三田市では、生成AIの活用場面や利用ルールを検討する庁内研究チーム「ChatGPT・AI活用検討ユニット」を設置しました。その翌月には、生成AIの活用を希望する職員を集める「庁内ChatGPT・AI活用コミュニティ」を立ち上げています。

その後も段階的に取り組みを進めました。

  • 第1回: 生成AIについて知るための研修
  • 第2回: 実際のサービスを利用するハンズオン研修
  • 第3回: 活用事例を考える研修
  • 庁内ユースケースの収集と全庁共有
  • 個別形式の「おしえてChatGPT勉強会」
  • 他自治体との勉強会や事例共有

利用環境、ガイドライン、職員研修、庁内コミュニティ、事例共有を並行して進めている点が特徴です。

三田市の事例から学べること

生成AIの活用を一部の担当部署だけで進めると、現場の業務課題や活用アイデアを十分に集めにくくなります。

希望者が参加できるコミュニティをつくることで、部署を越えた情報交換が生まれます。また、全体研修では質問しにくい職員に対して、少人数の勉強会や相談会を用意することも有効です。

庁内コミュニティでは、次のような活動が考えられます。

  • 新しい生成AI機能や事例の共有
  • 職員が試したプロンプトの紹介
  • 業務上の困りごとに関する相談
  • 部署別ユースケースの検討
  • 成功事例の発表
  • ガイドラインやルールの確認

6.横須賀市|初級・中級研修を分け、庁内職員が講師を務める

横須賀市が初級と中級の研修を分け、庁内職員が講師を務める仕組み

横須賀市では、2025年12月に生成AIの庁内研修を実施しました。

利用経験のない職員を対象とした初級研修と、すでに利用経験がある職員を対象とした中級研修の2段階に分けて募集し、初級137人、中級188人から申し込みがありました。

初級では、生成AIの基本、情報セキュリティ、操作方法、プロンプトの基礎、メールや資料作成などを扱っています。中級では、情報収集、テンプレート作成、AIモデルの使い分け、会議メモやプレゼンテーション資料への活用など、より実践的な内容を扱いました。

特徴的なのは、初級・中級ともに横須賀市の生成AI推進チームに所属する職員が講師を務めたことです。日常的に生成AIを使う職員が講師になることで、自治体業務に近い実例を紹介しやすく、参加者も活用場面をイメージしやすくなったと報告されています。

横須賀市の事例から学べること

外部講師による研修は、最新知識や体系的なノウハウを学ぶのに適しています。一方、庁内職員による研修には、「自分たちと同じ業務を行っている人が使っている」という説得力があります。

導入初期は外部講師が基礎研修や推進メンバー育成を支援し、その後は庁内の推進メンバーが講師や相談役を担う形に移行すると、継続しやすい仕組みになります。

7.呉市|約150人が参加する操作研修と活用事例の共有

呉市の操作研修から実務演習、活用事例の収集・共有へ進む流れ

広島県呉市では、生成AIの安全な利用環境とガイドラインを整備したうえで、2024年1月に職員向けの操作研修を実施しました。現地参加とオンライン参加を合わせて、約150人が参加しています。

研修では、次の内容を扱いました。

  • 生成AIでできること
  • 導入した生成AIサービスの操作方法
  • プロンプトスキル
  • 現場で使える事例を用いた演習

研修後は利用職員へのアンケートを行い、業務効率化につながる活用事例を庁内で共有する方針としています。

呉市の事例から学べること

一般的な生成AIの説明だけでなく、実際に庁内で利用するサービスを使って操作を体験することで、研修直後から業務で試しやすくなります。

また、研修後のアンケートを満足度調査で終わらせず、活用事例を収集する機会として利用する点も参考になります。「何が分かったか」に加えて、「翌週どの業務で試すか」「試した結果を誰に共有するか」まで尋ねると、研修後の行動につなげやすくなります。

7事例を「自治体生成AI・定着5段階モデル」で整理

利用準備、個人活用、業務活用、庁内展開、自走・定着の5段階

7自治体の取り組みは、目指す段階によって役割が異なります。自庁の現在地に合わない施策を選ぶと、研修の内容が難しすぎたり、学んだ後の実践先がなかったりします。

  • 1.利用準備: ルールや利用環境を整えている段階です。基礎研修と安全利用研修を検討します。呉市の事例が参考になります。
  • 2.個人活用: 一部の職員が文章作成などに使う段階です。実務ハンズオンと業務別演習を検討します。堺市、つくば市の事例が参考になります。
  • 3.業務活用: 各課で活用テーマを見つける段階です。業務棚卸しとアイデアソンを検討します。原村、東京都の事例が参考になります。
  • 4.庁内展開: 推進職員が他の職員へ広げる段階です。AI推進リーダー育成と勉強会を検討します。横須賀市、三田市の事例が参考になります。
  • 5.自走・定着: 活用事例と知見が継続的に蓄積される段階です。コミュニティ運営、KPI、年間計画を検討します。三田市、東京都の事例が参考になります。

同じ自治体でも、部署によって段階が違うことがあります。全庁一律で一つの研修を行うより、未経験者、日常利用者、推進役に分けて支援を設計する方が現実的です。

先行自治体に共通する5つの定着条件

生成AIの庁内定着に必要な利用ルール、段階別研修、自治体業務、推進メンバー、事例共有

各自治体の取り組みを整理すると、職員への定着を進めるうえで、次の5つが共通しています。

1.安全に使うためのルールを整える

生成AIの活用を促すには、禁止事項だけでなく、「どの情報なら入力できるか」「生成結果をどのように確認するか」を職員が理解できる状態にする必要があります。

2.職員の経験に応じて研修を分ける

未経験者と日常的に利用している職員では、必要な内容が異なります。基礎研修、実務研修、推進メンバー向け研修など、段階別に設計することが重要です。

3.自治体業務を題材にする

一般的なプロンプトの説明だけでは、職員が自分の業務に置き換えにくくなります。通知文、議事録、企画書、答弁資料、住民向け説明文、庁内照会など、日常業務に近い題材を使う必要があります。

4.庁内の推進メンバーを育成する

各部署に相談できる職員がいることで、利用の心理的なハードルが下がります。推進メンバーは高度なエンジニアである必要はありません。業務を理解し、生成AIの基本的な使い方を周囲へ伝えられる職員が適しています。

5.事例を集め、継続的に共有する

研修を受けた職員が何を試し、どの程度時間を短縮できたのかを集めます。事例集、庁内チャット、定期勉強会、発表会などを通じて共有することで、周囲の職員も具体的な利用方法をイメージしやすくなります。

総務省のガイドブックでも、DX推進リーダーの育成、職員のレベルに応じた研修、すぐに使えるプロンプト集、実際の利用者を増やす施策が挙げられています。ただし、生成結果を評価する力や基本的なセキュリティ意識も同時に育てる必要があります。

自治体で生成AIを定着させる90日ロードマップ

生成AIの庁内定着を現状把握、研修・実践、共有・継続の90日で進めるロードマップ

生成AI活用は、大規模なシステム開発を行わなくても、小規模な研修や勉強会から始められます。以下は、7自治体の事例をもとにAIツールギャラリー編集部が整理した実行案です。各自治体が公式に採用した共通工程ではありません。

1~30日目: 現在地を把握し、推進メンバーを集める

  • 職員の利用状況をアンケートで確認する
  • 管理職向け説明会を実施する
  • 利用ルールと対象業務を確認する
  • 部署横断で推進メンバーを募集する
  • 研修前の利用状況を測定する

この段階では、10人前後の小規模なメンバーから始めても構いません。利用経験と部署が偏らないように選ぶことが重要です。

31~60日目: 基礎研修と実務ワークショップを行う

  • 全職員または希望者向け基礎研修を行う
  • 自治体業務を題材にしたハンズオンを行う
  • 部署別の課題を抽出する
  • 活用アイデアを作成する
  • すぐに使えるプロンプトを整備する

講義だけでなく、職員が自分の業務を題材に実際に操作する時間を設けます。入力してはいけない情報や、出力内容を確認する手順も演習に含めます。

61~90日目: 事例共有と継続体制をつくる

  • 少人数の相談会を開催する
  • 活用事例を収集する
  • 庁内発表会を実施する
  • プロンプトや事例を全庁共有する
  • 次の研修対象とテーマを決める
  • 効果を測り、次年度計画を作成する

ここまで進むと、単発研修ではなく、庁内に生成AI活用を広げるための継続的な仕組みができます。

自庁ではどこから始めるべきか

自治体の生成AI活用の現在地から最初の施策を選ぶ診断図

  • まだ生成AIを導入していない: 管理職向け勉強会、利用ルール整理、導入目的の確認から始めます。
  • 利用環境はあるが使われていない: 全職員向け基礎研修と操作ハンズオンを検討します。
  • 一部の職員だけが利用している: 活用事例ワークショップと推進メンバー育成を検討します。
  • 部署ごとに利用状況に差がある: 部署別勉強会、相談会、庁内コミュニティを検討します。
  • 活用事例を全庁へ広げたい: 事例集、発表会、AI推進役の制度化を検討します。
  • 次年度の取り組みを検討している: 現状調査、効果測定、研修・定着計画の策定から始めます。

最初から全庁規模の施策を選ぶ必要はありません。堺市のように利用実態を調べる、横須賀市のように経験別の研修を設ける、三田市のように希望者のコミュニティから始めるなど、現在の課題に最も近い一手を選びます。

自治体間で学び合うコミュニティも広がっている

庁内コミュニティから近隣自治体、デジタル改革共創プラットフォームへ知見を広げる流れ

生成AI活用では、自庁内だけでなく、他自治体との情報共有も重要です。

デジタル庁は、地方公共団体と政府機関の職員が参加できる「デジタル改革共創プラットフォーム」を運営し、自治体職員同士が学び合う「共創PFキャンプ」を開催しています。

2025年11月に四国で開催された勉強会には、14の地方公共団体から23人が参加しました。自治体のAI活用事例を学んだうえで、他自治体へ横展開する際の課題と解決策をグループで検討しています。

庁内コミュニティに加えて、近隣自治体や同規模自治体と事例を共有する場をつくることは、担当者の負担軽減や取り組みの継続にもつながります。公開事例をそのまま移植するのではなく、自庁の規模、規程、利用環境に合わせて検討することが大切です。

自治体の生成AI研修・庁内定着に関するよくある質問

Q.生成AIツールを選ぶ前でも研修はできますか

はい。ツール選定前でも、管理職向けの基礎勉強会、対象業務の棚卸し、入力してよい情報の考え方、導入目的と成果指標の整理は進められます。特定ツールの操作研修は、利用環境が決まった後に設計します。

Q.全職員研修と推進メンバー育成は、どちらを先に行うべきですか

全庁の理解をそろえる必要がある場合は基礎研修を先に行います。一部の職員がすでに利用している場合は、推進メンバーを先に育て、庁内の実例を作ってから全職員へ広げる方法もあります。利用状況アンケートを行い、未経験者と経験者の割合を確認して決めるのが現実的です。

Q.単発の研修でも効果はありますか

基礎理解や最初の操作体験には効果が期待できます。ただし、日常業務への定着を目指す場合は、研修後の相談会、活用事例の収集、プロンプト共有、振り返りの機会を組み合わせる必要があります。

Q.研修効果は何で測ればよいですか

参加率や満足度に加えて、研修後の初回利用率、月間の継続利用率、活用した業務の種類、各課から生まれた事例数、推進メンバーの支援件数、削減時間、成果物の品質変化などを確認します。導入前に同じ項目を測っておくと、変化を捉えやすくなります。

まとめ|生成AI導入の成否は「使い続ける仕組み」で決まる

自治体の生成AI導入では、利用環境やガイドラインの整備だけでなく、職員が実際に使い、学び合い、活用事例を共有する仕組みが必要です。

先行自治体では、次の取り組みが組み合わされています。

  • 全職員向けの基礎研修
  • 実務を題材としたハンズオン
  • 初級・中級などの段階別研修
  • 部署横断のアイデアソン
  • 庁内推進メンバーの育成
  • 少人数の勉強会や相談会
  • 活用事例・プロンプトの共有
  • 研修前後の効果測定

最初から全庁的な大規模プロジェクトにする必要はありません。まずは利用状況を確認し、小規模な勉強会や推進メンバー向け研修から始めます。職員による活用事例をつくり、その結果を庁内へ広げていく方法が現実的です。

自治体向け「生成AI研修・庁内定着90日プラン」

研修目的、対象職員、カリキュラム、実施スケジュール、成果指標をまとめた庁内検討用資料です。自庁の現在地を確認し、最初の90日で進める施策を整理できます。

自治体向け生成AI研修・庁内定着についてご相談ください

「生成AIを導入したものの利用が広がらない」「まず小規模な勉強会を開催したい」「庁内のAI推進メンバーを育成したい」といった状況に合わせて、次の進め方を整理します。

  1. 職員向け生成AI基礎・安全活用研修: 生成AIの基本、注意点、自治体業務での活用方法を学びます。
  2. 自治体業務ユースケース創出ワークショップ: 各部署の課題を持ち寄り、実際に使える活用方法やプロンプトを作成します。
  3. 庁内AI推進メンバー育成・コミュニティ立ち上げ伴走: 複数回の勉強会、相談会、活用事例の収集・共有を通じて、庁内で継続できる体制をつくります。

ツール未選定・予算化前の段階でもご相談いただけます。

この記事の出典

以下はすべて、2026年8月5日に内容を確認しました。

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