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基盤モデルとは?LLMとの違いは「テキストに特化しているか」|定義は出典で射程が違う

AIツールギャラリー編集部更新: 2026年9月13日
基盤モデルとは?LLMとの違いは「テキストに特化しているか」|定義は出典で射程が違う

AIのニュースやベンダー資料で、「基盤モデル(Foundation Model)」という言葉を見かけることがあります。LLMや生成AIという言葉はよく聞くけれど、基盤モデルとは何が違うのか分かりにくい言葉です。

この記事では、基盤モデルという言葉が何を指すのか、なぜ「基盤」と呼ばれるのか、LLMとどう違うのかを、この言葉を最初に使った学術レポートと、規制文書・ベンダー資料での使われ方を並べて整理します。

結論だけ言うと、AWSが紹介する例では、LLMは基盤モデルの一種として扱われています。逆に基盤モデルがすべてLLMというわけではありません!

この記事の監修者

山原 慎也
山原 慎也

AIリスキル株式会社 代表取締役

AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。

実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など

基盤モデルとは、定義の出所によって射程が違う言葉

学術レポート・規制文書・ベンダー資料という3つの出典が、それぞれ違う言葉と範囲で基盤モデルを説明している様子を示した図

基盤モデルという言葉には、業界共通の唯一の定義があるわけではありません。誰が使っているかによって、範囲や呼び方が変わります。

この言葉を最初に使ったのは、Stanford大学CRFM(Center for Research on Foundation Models)の2021年のレポートです。同レポートは、広いデータで訓練され、多様な下流タスクに適応できるモデルを基盤モデルと呼びました。

一方、EU AI Actという規制文書は、「foundation model」という語自体は使っていません。似た性質を持つモデルを「汎用AIモデル(general-purpose AI model)」という別の名前で定義し、規制の対象にしています。

AWSのようなベンダーは、Claude 2やLlama 2(LLM)とStable Diffusion(画像生成モデル)を並べて、基盤モデルの例として紹介しています。

このように、同じ「基盤モデル」という言葉でも、学術レポート・規制文書・ベンダー資料のどれを見ているかで、範囲や呼び方が変わります。この記事では、どの出典の話をしているかを都度示しながら整理します。

なぜ「基盤(foundation)」と呼ぶのか

1つの土台となるモデルの上に、文章生成・要約・翻訳など複数のタスクが乗っている様子を示した図

Stanford CRFMのレポートは、基盤モデルを、広いデータで訓練され、多様な下流タスクに適応できるモデルだと定義しています。

この定義が示すとおり、1つのモデルを土台にして、その上にさまざまなタスク向けの使い方を乗せられる、という考え方が「基盤(foundation)」という名前の由来です。

同レポートは、この呼び方について、中心的でありながら未完成という性質を強調するために選んだ、と説明しています。基盤モデルという言葉には、まだ発展途上のものだという含みもあります。

同レポートの定義自体は、特定のモダリティに限定されていません。

同レポートが例として挙げているBERTやGPT-3は言語を扱うモデル、CLIPは画像とテキストを組み合わせて扱うモデルで、モダリティの異なる複数のモデルが同じ定義に含まれています。

AWSの例で見るLLMとの違いは、テキストに特化しているかどうか

AWSの説明に基づき、基盤モデルという大きな円の中に、テキストに特化したLLMという小さな円が含まれている様子を示した図

AWSが紹介する例では、基盤モデルとLLMの関係は、上位概念と下位概念の関係として整理されています。

AWSは、Claude 2やLlama 2といったLLMと、Stable Diffusionというテキストから画像を生成するモデルを、同じ「基盤モデル」の例として並べて紹介しています。

この並べ方から見ると、基盤モデルはテキストに限らない、より広い分類として扱えます。LLMは、その中でもテキストの理解・生成に特化した種類の1つと位置づけられます。

つまり、「基盤モデル=LLMの新しい呼び方」ではありません。LLM自体の仕組みはLLMとはで扱っているので、この記事では繰り返しません。

テキスト以外の入力や出力も扱う基盤モデルの実例は、マルチモーダルAIで扱っています。

呼び方は、学術・規制・ベンダーで使われ方が違う

学術レポートの呼び方、EU AI Actの呼び方、米国の規制の呼び方という3つの吹き出しが、時期によって変わる様子を示した図

「基盤モデル」という言葉の使われ方は、規制の分野では特に変わりやすくなっています。

EU AI Actは、条文の中で「foundation model」という語を採用していません。代わりに、似た性質を持つモデルを「汎用AIモデル」という別の名前で定義し、規制の対象にしています。

この定義は、大量データによる自己教師あり学習で訓練された場合を含め、高い汎用性を持ち幅広いタスクをこなせ、さまざまな下流システムに組み込めるモデルを対象としています。

米国でも、2023年のExecutive Order 14110が「dual-use foundation model」という定義を設けていました。しかし、この大統領令は2025年1月の後継の大統領令により撤回されており、今は効力を持ちません。

このように、規制文書での「基盤モデル」に近い概念の呼び方や定義は、国や時期によって変わります。特定の時点の規制上の定義を、いつまでも変わらない一般的な定義として扱わないほうが安全です。

基盤モデルという言葉が指さないもの

推論モデル・オープンウェイトモデル・ローカルLLM・ファインチューニング・マルチモーダルAIという5つの個別テーマを、基盤モデルという大枠の外側に並べた図

基盤モデルという言葉は、モデルの成り立ち方を指す分類です。個別の性質や技術を指す言葉ではありません。

途中の考え方を出すかどうかという性質は、推論モデルで扱っています。

モデルの重みをどこまで公開しているかという性質は、オープンウェイトモデルで扱っています。

どこで計算するかという実行場所の違いは、ローカルLLMで扱っています。

基盤モデルに対して行う追加学習の方法は、ファインチューニングで扱っています。

これらはいずれも、基盤モデルという括りの中にある個別のテーマです。この記事では、それぞれの詳細には踏み込みません。

よくある質問

基盤モデルと生成AIの関係、基盤モデルとAIエージェントの関係という2つの疑問を並べた図

基盤モデルと生成AIは同じ意味ですか

同じ意味ではありません。基盤モデルは、Stanford CRFMの2021年の提唱によれば、広いデータで訓練され多様なタスクに適応できるという、モデルの成り立ちを指す言葉です。

一方で生成AIは、「新しく作れるか」という能力に注目した言葉です。基盤モデルを使って何を作るか、という応用の側面は生成AIで扱っています。

基盤モデルとAIエージェントはどう関係しますか

基盤モデルを部品として用いるAIエージェントの場合、基盤モデルを部品の1つとして組み込み、手順の決め方やツールの呼び出しといった仕組みを追加した構成になります。

基盤モデル単体の話と、それを組み込んだ構成の話は別のテーマです。構成の詳細はAIエージェントで扱っています。

基盤モデルにはLLM以外にどんな種類がありますか

Stanford CRFMのレポートは、テキストを扱うBERTや、テキストと画像を組み合わせて扱うCLIPのように、モダリティの異なるモデルを基盤モデルの例として挙げています。画像を扱うモデルも基盤モデルに含まれます。

AWSが紹介しているStable Diffusionのような、テキストから画像を生成するモデルも基盤モデルの一種です。AWSの例で見ると、テキストに限らない分類だという点が、LLMとの違いです。

まとめ

学術・規制・ベンダーで定義の射程が違うこと、LLMは基盤モデルの一種であること、個別の性質は別記事で扱うことという3つの要点を並べたまとめ図

基盤モデルとは、Stanford CRFMが2021年のレポートで提唱した、広いデータで訓練され多様なタスクに適応できるモデルを指す言葉です。

定義の射程は出典によって違います。EU AI Actは「foundation model」ではなく「汎用AIモデル」という別の名前で規制し、米国の規制上の定義は2025年1月に撤回されています。

AWSが紹介する例で見ると、LLMとの関係は上位概念と下位概念の関係です。LLMは基盤モデルのうち、テキストに特化した種類の1つにあたります。

推論モデル、オープンウェイトモデル、ローカルLLM、ファインチューニングといった個別の性質や技術は、それぞれ別の記事で扱っています。

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