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DeNA「AI活用100本ノック」を分析してわかった、部署を越えて使える6つの型

AIツールギャラリー編集部更新: 2026年9月18日
DeNA「AI活用100本ノック」を分析してわかった、部署を越えて使える6つの型

DeNAが公開した「AI活用100本ノック」は、全社員から集めた約200件の社内事例シートから、重複と類似を除いて選ばれた100件です。1件ずつ読み込んで分類すると、職種がばらばらでも、AIに任せている作業の形は6つの型に収束します。

自社に移せる事例を見分ける軸は、使っているAIツールの種類ではありません。入力と出力の形が固定できるか、社内の誰が作れるか、いま使っているツール基盤に載るか。この3点で仕分けると、真似できるものとそうでないものが分かれます。

この記事では、全101ページのスライドを1件ずつ分類した結果から、6つの型と、ミニツールに落とせる事例の見分け方を見ていきます。読み終えると、自社のどの業務から手を付けるかを判断できます。

記事の最後には、自社で着手する業務を選ぶためのワークシートもご用意しています!

この記事の分析規模。全101ページのスライドを分析、6つの軸で分類(職種・課題・ツール・工程・再利用可能性・ミニツール化可能性)、収束した型は6パターン、を示す図解

この記事の監修者

山原 慎也
山原 慎也

AIリスキル株式会社 代表取締役

AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。

実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など

100件を分類してわかったこと

分類に使ったのは、職種・課題・使ったツール・作業工程・再利用可能性・ミニツール化可能性の6つの軸です。

なお、この100件は2025年12月時点の情報です。記載されているツールの機能や料金は、本記事執筆時点(2026年7月)から変わっている可能性があります。

まず全体像を数字で押さえておきます。最も頻繁に登場したのはGemini(Gem機能・Deep Research機能を含む)で、約100件中70件以上で言及されていました。

次いでNotebookLM(約35件)、Google Apps Script=GAS(約30件)、Cursor(約30件)が続きます。

DeNAがGoogle Workspaceを基盤としていることが、そのまま事例の分布に表れています。

100件で最も使われていたツール。Gemini(70件以上)、NotebookLM(約35件)、GAS・Cursor(約30件ずつ)の使用頻度を示す図解

もうひとつ注目したいのは、「再利用可能性が高い」と判定した事例が100件中76件、「具体的なミニツールに落とし込める」と判定した事例が100件中47件あったことです。

つまり半数近くの事例が、単なる「便利な使い方の紹介」を超えて、社内向けの小さなツールとして再現可能な水準まで具体化されています。この47件を素材に、次章では横展開しやすい型を抽出します。

100件のうち、半数近くがミニツール化できる。再利用可能性が高い100件中76件、ミニツール化できる100件中47件という内訳を示す図解

部署を越えて繰り返し現れる6つのパターン

100件を読み込むと、職種は違っても「AIに任せている作業の形」が同じ事例が繰り返し出てくることに気づきます。代表的な6つのパターンを、具体的な事例番号とともに示します(番号は分類データの通し番号)。

100事例が6つの型に収束する。バラバラに見えるAI活用事例100件を分類すると、職種を超えて使える6つの型に整理できる、という記事の中心的な発見を示す図解

パターン1: 会議・議事録を「次のアクション」に変換する

Google MeetやZoomの自動議事録機能だけでは精度が不十分だったり、コンテキストが伝わらなかったりすることがあります。

それをAIに再要約させ、抜け漏れの指摘や次回アジェンダの提案まで一気に済ませる型です。

該当するのは、#006 議事録集約、#037 議事録再要約→Slack自動共有、#047 議事録分析とアジェンダ再整理、#064 議事録活用でレビュー精度向上です。

会議の多い部署ならどこでも横展開できる、最も汎用性の高いパターンといえます。

パターン2: 分厚いドキュメントを「対話できる形」に変える

社内規程、研修マニュアル、法令解釈のような長文資料を、NotebookLMのようなツールにソースとして読み込ませ、質問応答や音声解説として展開する型です。

該当するのは、#001 法律・ガイドラインの参照、#010 医療関連法令のFAQ化+ポッドキャスト、#048 社内規程QAボット、#092 評価マニュアルの音声解説化です。

引継ぎや新人オンボーディングに使われている事例が多く、属人化しがちな知識の共有に効きます。

パターン3: 定型のファイル操作をGASで自動化する

非エンジニアが、やりたい処理を自然言語でAIに伝えるだけでGoogle Apps Scriptを生成させる型です。ファイルのリネーム、スプレッドシートの一括修正、メールの仕分けといった定型作業が対象になります。

該当するのは、#011 ファイル一括リネーム、#046 人事データ整形、#062 メール重要度仕分け+サマリ通知、#081 スプレッドシート差分検出ツール、#090 データ一括修正です。

プログラミング未経験者が自分の課題を自分で解決できている点が、他部署への移植のしやすさを裏づけています。

パターン4: 画像やスクリーンショットを構造化データに変える

手書きメモの写真、要件定義書のスクリーンショット、Slackのリアクション画面などをAIに読み込ませ、テキストやコードとして再利用可能な形にする型です。

該当するのは、#008 要件定義書の画像からSQL自動生成、#016 予定表の写真からカレンダー自動登録、#034 リアクション画面から出席者リスト化、#054 手書きワイヤーフレームからFigmaデータ化です。

「わざわざテキスト化する手間」を丸ごと省ける点が実務上のインパクトになっています。

パターン5: 社内ナレッジをチャット常駐のボットにする

SlackやTeamsに常駐させたAIエージェントが、Confluenceの仕様書検索、問い合わせ対応の一次受け、JIRAチケットの自動起票を担う型です。

該当するのは、#012 Slack通知起点のJIRA自動起票、#085 Slack一次対応ボット「Findout」、#088 Confluence検索エージェントです。

人が対応する前にAIが一次回答を返し、解決しない場合だけ人にエスカレーションする設計が共通しています。

パターン6: レビュー・チェック作業をAIに先読みさせる

コードレビュー、スライドの校正、テストケースの洗い出しのように、「人間が最終判断するが、その前段の粗探しはAIに任せる」型です。

該当するのは、#003 PRコードレビュー、#024 リポジトリ横断レビュー、#029 テスト観点の洗い出し、#053 スライド校正です。

エンジニア職の事例が目立ちますが、「一次チェックをAIに、最終判断を人に」という構造そのものは、経理の一次チェックや契約書の一次確認など非エンジニア業務にも応用できます。

「ミニツールになる」と「ただの文章生成」を分けるもの

「入出力が固定できるか」が分かれ目。ただの文章生成(入力の形が毎回変わる/壁打ち・相談が中心/ミニツール化しにくい)とミニツールになる(入力と出力の形が決まっている/議事録→要約のように定型/社内ツールとして再現できる)を比較した図解

100件を分類していて明確になったのは、再利用可能性やミニツール化可能性を「低」と判定した事例に共通する特徴です。

それは、AIに任せているのが「壁打ち相手」としての汎用的な文章生成や相談に留まっている場合です(#014 研修教材の壁打ち作成、#022 イベント運営の相談、#073 文章のブラッシュアップ)。

これらは個人の生産性は上がりますが、入力と出力の形が毎回変わるため、共通の入力フォームを持つ「ツール」としては再現しにくくなります。

逆に、パターン1〜6に共通しているのは、「入力の形」と「出力の形」がある程度固定できることです。

議事録という入力があれば要約とアクション項目という出力が返り、スプレッドシートという入力があれば整形済みデータという出力が返ります。

この「入出力が固定できるか」という一点が、単なる便利な使い方と、社内で横展開できるミニツールの分かれ目になっています。

自社でAI活用事例を集める際も、この軸で仕分けると優先順位がつけやすくなります。

自社で同じことをやる最初の一歩

DeNAの100本ノックが機能した理由は、AIツールの選定以前に、社内の使い方を集める仕組みそのものにあります。全社員に展開された「AI活用事例シート」に事例が集まり、そこから重複や類似を除いて発信されました。

つまり、特別なツールよりも先に「誰でも書ける事例シート」と「それを継続的に集める運用」がありました。

自社で同じことを再現する場合、最初からGASやNotebookLMを使いこなす必要はありません。まずは次の3つを小さく始めることをすすめます。

自社で始める3つのステップ。簡単な事例シートを用意する→入出力が固定できるかで仕分ける→汎用的な事例も別枠で評価する、という手順を示す図解

ひとつめは、部署を問わず書ける簡単な事例シート(課題・使ったツール・成果の3項目程度)を用意し、月1回でも集める運用を作ることです。

ふたつめは、集まった事例を「入力と出力が固定できるか」で仕分け、ミニツール化できそうなものから優先的に横展開することです。今回のパターン1〜6は、その仕分けの出発点としてそのまま使えます。

みっつめは、汎用的な文章生成に留まる事例も「悪い事例」として切り捨てず、個人の生産性向上として別枠で評価することです。

100本ノックのように、ツール化できるものとできないものが混在した状態で公開するほうが、現場のリアルな活用実態が伝わりやすくなります。

まずは自分たちで始めたい場合は、この3ステップをそのまま実践できる「AI活用事例 発掘・仕分けワークシート」を無料配布しています。事例を書き込むシートと、今回の6パターンで仕分けるチェックリストがセットになっています。

社内の活用事例をどう集めればいいかわからない、集めた後の横展開まで相談しながら進めたい場合は、AIリスキル株式会社の生成AI導入支援もご利用いただけます。お気軽にどうぞ。

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