社内AIチャンピオンとは?各部署で生成AIを広げる推進役の役割と置き方|MUFG・三井不動産の実例

社内AIチャンピオンとは、各部署の中で生成AIの使い方を広げる推進役の社員です。会社によって「AI推進リーダー」「AIアンバサダー」とも呼ばれます。
推進役に向くのは、AIに一番詳しい人より、部署の仕事をよく知り、困りごとを聞いて使い方の例に変えられる人です。MUFGや三井不動産は、全社でAIを導入する際に、各部署へこの推進役を置いています。
この記事では、近い言葉との違い、国内企業の実例、推進役の仕事、置き方の手順を順に見ていきます。読み終えると、自社でどの部署に何人置き、何を任せるかを決められます。
MUFG・三井不動産・日立が推進役をどう置いたかを、表で比べています!
この記事の監修者

AIリスキル株式会社 代表取締役
AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。
実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など
社内AIチャンピオンとは、各部署で生成AIの使い方を広げる推進役

会社が生成AIを契約して全社員に配っても、最初から使いこなせるのは一部の社員です。多くの社員は「自分の仕事の何に使えるのか」「そもそも使ってよいのか」で止まります。
推進役は、こうした疑問を部署の中で受け止める人です。隣の席の同僚が「この報告書はAIで下書きできるか」と気軽に聞ける距離にいることが、本社の推進部門との違いです。
社内でAIを広げる話には、似た言葉がいくつか出てきます。指しているものが違うので、分けて使います。
| 言葉 | 何を指すか | 例 |
|---|---|---|
| 社内AIチャンピオン | 各部署にいる推進役の社員 | 経理課でAIの使い方を教える担当者 |
| AI CoE(センター・オブ・エクセレンス) | 全社のAI活用を横断で支える専門の組織 | DX推進部の中のAI推進チーム |
| AIアダプション | AIが導入されたあと、社員に使われ続けている状態 | 毎日の業務でAIを使う社員が増えている |
| AI導入ロードマップ | 試験導入から全社展開までの順番の計画 | 1部署で3か月試し、効果を見て全社へ |
AI CoEが本社側の司令塔だとすると、チャンピオンは各部署の現場の窓口です。両方を置く会社もあり、CoEが研修や道具をそろえ、チャンピオンが部署の中に広げる、という分担になります。
専任の組織を作る余裕がない会社でも、推進役から始めることはできます。DX推進や情報システムの担当者が兼務でまとめ役になり、各部署の推進役と月1回集まる形なら、小さな会社でも続けられます。
国内企業の実例:MUFG・三井不動産・日立

国内でも、全社にAIを広げる会社が、各部署に推進役を置く例が出てきました。公開されている情報で並べます。
| 会社 | 推進役の名前と置き方 | 使っているAI | 公表されている成果 |
|---|---|---|---|
| MUFG(三菱UFJ銀行) | 各部署に「AIチャンピオン」を配置 | ChatGPT Enterprise(全行員約35,000人へ順次展開) | 研修受講率は約100%、研修後4か月で1,800件を超えるカスタムGPT |
| 三井不動産 | 全社85部門から約150名の「AI推進リーダー」 | ChatGPT Enterprise(約2,000人の全社員) | 利用開始から約3か月で約500件のカスタムGPTが運用中、業務削減時間10%以上が目標 |
| 日立製作所 | 社内外に活用を伝える「GenAIアンバサダー」(2025年1月に16名) | 自社で蓄積した生成AIの活用 | 社内の活用事例は1,000件以上 |
MUFGでは、以前は「何に使えるのか」「そもそも使ってよいのか」という議論が中心だったのが、「どう使うか」「何に使っていくか」に変わったと紹介されています。
各部署のチャンピオンが周囲を巻き込んで広げた、というのがOpenAIの紹介記事の説明です。
三井不動産は、推進リーダーが中心になって、各部門の業務に合わせたカスタムGPTを現場で作っています。部署の業務を知る人が道具を作るので、作ったものがそのまま部署の仕事に使われます。
カスタムGPTは、ChatGPTに決まった指示や資料を覚えさせて、特定の作業専用にしたものです。推進役の成果が「作られた数」として目に見えやすいのも、この2社に共通する点です。
推進役の仕事は「聞く・作る・広める・つなぐ」の4つ

推進役に任せる仕事は、次の4つにまとめられます。どれも、AIの専門知識より、部署の業務を知っていることが効きます。
1つ目は、困りごとを聞くことです。 「資料を早く作りたい」のような漠然とした声を、「毎月の売上報告の表を文章にまとめる作業」のように、AIに頼める単位まで具体的にします。
2つ目は、使い方の例を作ることです。 よく出る作業向けに、頼み方のひな形や、カスタムGPTのような専用の道具を作ります。
3つ目は、例を部署に広めることです。 週1回の短い共有会や社内チャットで、うまくいった頼み方を見せます。
同じ部署の人が実際の仕事で使った例は、研修の一般論より真似されます。
4つ目は、ルールの確認先へつなぐことです。 「この顧客情報を入れてよいか」のような判断は、推進役が決めるのではなく、社内のルールの担当者へつなぎます。
入れてよい情報の決め方は生成AIガイドラインとはで整理しています。
困りごとを集めるときは、AI活用事例 発掘・仕分けワークシートのような書式を使うと、部署ごとの声を同じ形で並べられます。
置き方は「道具をそろえる・選ぶ・時間を与える・小さく広げる」の順

推進役を置く前に、会社として使ってよいAIを決めておきます。MUFGも三井不動産も、ChatGPT Enterpriseという法人向けプランを入れたうえで推進役を置いています。
候補はChatGPTの法人向けプランのほか、Google Workspaceを使う会社ならGemini、Microsoft 365の会社ならMicrosoft 365 Copilotです。
使ってよいAIがないまま推進役を置くと、社員が個人のアカウントで試し始めるシャドーAIを招きます。
推進役は、各部署から1人ずつ選ぶところから始めます。選ぶ基準は、AIに詳しいかより、部署の仕事を知っていて、人に教えるのをいとわないかです。
AIに詳しい若手だけに任せると、部署の業務の流れが分からず、困りごとを具体的な作業に落としにくくなります。若手と中堅の社員の2人で組ませる方法もあります。
推進役の仕事は、業務時間の一部として正式に認めます。本来の仕事の合間に頼むだけだと、忙しい時期に真っ先に止まります。
最初の1か月は、部署の全員から困りごとを1つずつ聞き、AIに頼める作業を3つ選んで、頼み方の例を作るところまでを目安にします。推進役どうしが月1回集まって例を交換すると、部署をまたいで良い使い方が広がります。
広げ方は、1つの部署で試してから全社へ、の順が確実です。最初の部署で作ったカスタムGPTや頼み方の例は、次の部署の推進役が使える教材になります。
効果は、カスタムGPTの数、AIを使う社員の割合、削減できた作業時間のように、数えられるもので見ます。三井不動産が業務削減時間の目標を数字で置いているように、目標を先に決めておくと続けるかの判断がしやすくなります。
まとめ
社内AIチャンピオンは、各部署で生成AIの使い方を広げる推進役です。MUFGや三井不動産は、法人向けのAIを全社に入れたうえで、各部署に推進役を置き、現場発の使い方を数百〜千件以上に広げています。
始めるなら、使ってよいAIを決め、1つの部署から推進役を1人選び、業務時間の一部として困りごとの聞き取りから任せるところからです。推進役の育て方はAIリスキリングとはでも整理しています。
各部署の推進役を育てる研修や、全社に広げる順番づくりを一緒に進めたい場合は、運営会社のAIリスキルの生成AI研修をご覧いただくか、ご相談ください。
この記事の出典
- MUFG、OpenAI とともに AI-Native な企業を目指す(OpenAI、2026年7月7日公開、2026年10月4日確認)
- 社長AIエージェントなど独自AI開発と、全部門で150名のAI推進リーダーを設置(三井不動産、2025年12月23日、2026年10月4日確認)
- 日立ならではの生成AI開発・活用のエキスパートを「GenAIアンバサダー」に任命(日立製作所、2025年1月21日、2026年10月4日確認)
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