デジタル庁の生成AI「源内」を市役所業務で検証。福岡県宮若市が業務引き継ぎ支援の実証実験を開始

プレイネクストラボ株式会社は2026年7月30日、福岡県宮若市と共同で、デジタル庁が公開した生成AIオープンソース「源内」を市役所の実際の業務環境で検証する実証実験を開始すると発表しました。期間は2026年8月から2027年3月まで。庁内文書を対象にしたナレッジ検索や、人事異動にともなう業務引き継ぎの支援に効果があるかを確かめます。
「源内」はもともと国の職員向けに作られたAIの仕組みで、今年4月に無料で公開されたばかりです。政府が自分たちのために作ったAIを、市町村が実際の業務で試す。今回の実証実験はその具体例です。
この記事の監修者

AIリスキル株式会社 代表取締役
AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。
実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など
宮若市で何を検証するのか
プレスリリースによると、主な検証内容は次の5つです。
- 庁内文書やマニュアル、業務資料を活用したナレッジ検索
- 異動や配置転換のときの業務引き継ぎ支援
- 業務に必要な情報へのアクセス時間の短縮
- 職員の利便性や操作性の評価
- 実運用に向けたセキュリティやガバナンス面での検証
背景にあるのは自治体特有の事情です。職員数が減るなかで行政ニーズは多様化し、定期的な人事異動のたびに業務知識の引き継ぎが課題になります。マニュアルや過去資料があっても、探すのに時間がかかり、結局は経験者に個別に聞く場面が少なくないといいます。
本実証実験では、生成AIを単なる質問応答ツールとして活用するのではなく、「自治体に蓄積された知識資産を継続的に活用できる環境」の実現を目指します。
プレイネクストラボはこう説明しています。同社は全国180以上の自治体のDXを支援してきた実績があり、今回の成果を同じ課題を抱える全国の自治体へ展開できるモデルケースにしたい考えです。
源内はデジタル庁が内製して無料公開したAI基盤
源内はデジタル庁が内製した生成AIの利用環境です。2026年4月24日に、Web画面部分のソースコードと行政実務用AIアプリの開発テンプレートが、商用利用可能なライセンスでGitHubに公開されました。誰でも中身を確認し、自分の組織向けに作り替えて使えます。
デジタル庁は2026年度中に、全府省庁の約18万人の政府職員が生成AIを利用できるようにする計画と報じられています。オープンソース化の狙いは、自治体や政府機関で似たAI基盤を別々に作る無駄を防ぎ、特定の事業者への依存を抑えることにあるとされています。
AIツールギャラリーの視点
今回の検証の中身は、要するに「手元の資料をAIに読み込ませて、探す時間を減らす」という使い方です。これは自治体に限らず、企業や個人でも今日から試せます。たとえばNotebookLMのような資料読み込み型のAIツールに、自分の業務マニュアルや議事録を入れて質問してみてください。宮若市が確かめようとしていることを、自分の仕事のサイズで体感できます。
自分の仕事にどう関係するのか
行政のAI活用は、住民にとっては手続き案内や窓口対応の質に跳ね返ってくる話です。そして「異動や退職で仕事の知識が失われる」という課題は、民間の会社でもまったく同じです。政府製の無料AIで自治体がこの課題にどこまで迫れるかは、社内のナレッジ管理に悩む人にも参考になります。
一方で、実証結果がいつどんな形で公表されるのか、実験の後に本格導入へ進むのか、宮若市の環境で源内がどんな構成で動くのかは、今回の発表では明らかにされていません。
続報が出たらこの記事に追記します。政府製のオープンソースAIは市役所の現場で本当に使い物になるのか。約8か月の検証の答えに注目です。
この記事の出典
関連AIツール
この記事は役に立ちましたか?
感想は、今後の記事改善に活用します。
関連記事

AppleがアリババのAI「Qwen」をMacのSiriにつなぐ手順書を中国で公開、1日足らずで削除
Appleが中国本土のMacユーザー向けに、アリババのQwenをSiriと作文ツールへつなぐ手順書を公開し、1日足らずで削除しました。7月に当局承認を得たApple Intelligenceの中国展開が、準備の最終段階にある可能性を示す動きです。

防衛装備庁がAI装備品の審査支援をSHIFTに委託。品質を測る環境づくりから始まる
防衛装備庁がAI装備品の技術的審査の支援をSHIFTに委託しました。審査そのものより先に、品質を評価する環境を整えるところから始まっています。仕事にAIを入れる側にも、同じ順番が要ります。

法務省がAIで他人の声を再現する行為の線引きを公表。無断のAIカバー投稿は権利侵害になりうる
法務省が2026年8月7日に公表した検討会報告書で、パブリシティ権の保護対象に人の「声」も含まれると明記されました。無断のAIカバー音源をSNSで公開して収益を得た場合は侵害になりうる一方、ものまねや声まねは基本的に対象外です。

ChatGPT無料版のテキスト会話が無制限に。画像やファイルの上限は残る
OpenAIがChatGPTを更新し、無料とGoユーザーの既定モデルをGPT-5.6 Lunaに変更しました。テキストチャットは無制限になりますが、ファイルや画像の上限は残ります。有料には思考量のスライダーが加わりました。
次のAIツール選びへ
気になるツールを並べて、料金や特徴の違いを確認できます。

