MacBook Pro M5 Pro/M5 Max発表 ― GPUコアごとにAI専用回路を搭載、ローカルAIの本命になるか

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AIリスキル株式会社 代表取締役
AIツールギャラリーを運営するAIリスキル株式会社の代表取締役。企業・自治体向けの生成AI研修とAI導入支援を手がけています。
実績: 大阪・関西万博 公式プログラム「AI HEROES COLLECTION」司会進行 / 神戸市デジタル人材育成エコシステム構築事業の運営 / MBS「せやねん!」「よんチャンTV」に生成AIの専門家として出演 / Felo日本初コアアンバサダー / Genspark第1期公式アンバサダー / Skywork公式アンバサダー / AKOOL公式パートナー など
「MacでAIを動かしたい」と思ったことはないでしょうか。クラウドにデータを送らず、手元のPCだけで画像生成やLLMを動かす「ローカルAI」への関心が高まっています。
2026年3月、Appleが発表したMacBook Pro M5 Pro / M5 Maxは、そのローカルAI需要に本格的に応えるハードウェアです。最大の特徴は、GPUの各コアにAI専用回路「Neural Accelerator」を1基ずつ内蔵した新しいアーキテクチャ。従来のNeural Engineとは別に、GPU側にもAI処理能力を持たせた設計になっています。
Neural Acceleratorとは何か ― 従来のNeural Engineとの違い
Appleのチップにはこれまでも「Neural Engine」というAI処理用のユニットが搭載されていました。M4世代で16コアのNeural Engineを搭載し、機械学習の推論処理を担当してきました。今回のM5で加わったのは、それとは別の仕組みです。
📊 AIアーキテクチャの進化
❌ M4世代まで
AI処理の担当
Neural Engine(16コア)が専任でAI処理を担当。GPUは画像処理・3D描画が中心。AI処理中はGPUが手持ち無沙汰になることも。✅ M5世代
AI処理の担当
Neural Engine(16コア)+ GPUコアごとにNeural Accelerator。M5 Maxなら40基のGPUコア全てにAI回路搭載。GPUとAI処理が同時並行で走る設計。たとえばStable Diffusionで画像を生成するとき、従来はGPUが描画計算を行い、Neural Engineがノイズ除去のAI推論を行うという役割分担でした。M5では、GPUコア自体がAI推論を並行処理できるので、パイプライン全体がスムーズに回ります。Appleの発表によれば、AI画像生成はM1 Max比で最大8倍速くなっています。
\ 詳細スペックを確認する /
Apple Newsroomを見るM5 Pro / M5 Maxのスペック比較
M5 ProとM5 Maxでは、GPUコア数とメモリ上限に大きな差があります。ローカルAIの用途では、この違いが実際の使い勝手に直結します。
| 項目 | M5 Pro | M5 Max |
|---|---|---|
| GPUコア数 | 20コア | 40コア |
| Neural Accelerator | 20基 | ✓ 40基 |
| Neural Engine | 16コア | 16コア |
| ユニファイドメモリ | 最大64GB | ✓ 最大128GB |
| メモリ帯域幅 | 高速 | ✓ M5 Proの約2倍 |
| SSD読み書き | 最大14.5GB/s | 最大14.5GB/s |
| Thunderbolt 5 | ✓ 3ポート | ✓ 3ポート |
| Wi-Fi | Wi-Fi 7 | Wi-Fi 7 |
| バッテリー | 最大24時間 | 最大24時間 |
ローカルでLLM(大規模言語モデル)を動かす場合、メモリ容量が重要です。たとえばOllamaで70Bパラメータのモデルを動かすには40GB以上のメモリが欲しいところ。M5 Proの64GBでもギリギリ可能ですが、M5 Maxの128GBなら余裕を持って複数モデルを切り替えられます。
AI性能 ― 数字の読み方に注意
Appleの発表ではいくつかの印象的な数字が出ていますが、比較対象に注意が必要です。
AI画像生成 最大8倍速
M1 Max比での数値。M4 Max比では約4倍。M1からの買い替えなら大きな差を実感できますが、M4からだと「倍速」程度です。
LLM処理 6.7倍速
プロンプト処理(入力テキストの解析)がM1 Max比で6.7倍。トークン生成速度(出力の速さ)はこれとは別の指標です。
バッテリー24時間
動画再生時の公称値。AI処理をフルに回すとバッテリー消費は大幅に増えるので、実用時は半分程度を見積もった方が安全です。
ピーク性能の条件
「8倍速い」はM5 Maxの特定ワークロードでのピーク値。M5 Proでは半分程度、一般的なタスクではさらに控えめな数字になります。
「8倍」というのは、M5 MaxとM1 Maxの比較で、特定のAI画像生成ワークロードでのピーク性能です。M4 Maxからの買い替えの場合は約4倍、M5 Proでは当然Maxより低い数字になります。Appleの発表数値をそのまま受け取ると過度な期待につながるので、自分の現在のマシンからの差分で考えるのがよさそうです。
⚠️ M4ユーザーは慎重に
M4 Pro/Max をすでに使っている場合、M5への買い替え効果は「2〜4倍」程度です。M1〜M2世代からの移行なら体感での違いは大きいですが、M4世代からの買い替えは用途次第です。
価格と購入スケジュール
今回の価格設定と購入スケジュールを整理します。M5 Maxモデルは前モデルから$400値上げされている点に注意です。
| モデル | 価格 | 前モデルとの差 |
|---|---|---|
| 14インチ MacBook Pro M5 Pro | $2,199〜(約33万円〜) | 据え置き |
| 16インチ MacBook Pro M5 Pro | $2,499〜(約37万円〜) | 据え置き |
| 16インチ MacBook Pro M5 Max | $3,899〜(約58万円〜) | +$400値上げ |
予約開始は3月4日、発売は3月11日です。M5 Maxの128GBメモリ構成はカスタマイズ対応のため、到着まで数週間かかる場合があります。
ローカルAI用途での位置づけ
「MacでAIを動かす」という観点で見ると、M5世代は現時点で最も現実的な選択肢の一つです。ただし万能ではありません。
🔄 ローカルAIの用途別おすすめ構成
NVIDIA GPUを搭載したWindows/Linuxマシンと比べると、CUDAエコシステムの成熟度では劣ります。ただし、ユニファイドメモリ(CPUとGPUがメモリを共有)というApple Siliconの特性は、大きなモデルを少ないVRAMで動かせるメリットがあります。128GBのユニファイドメモリは、同価格帯のNVIDIA GPU(RTX 4090で24GB VRAM)では到達できない領域です。
💡 Ollamaとの相性
macOSでのローカルLLM実行に人気のOllamaは、Apple Silicon最適化が進んでいます。M5のNeural Acceleratorへの対応がどこまで進むかは今後のアップデート次第ですが、メモリ容量の恩恵はすぐに受けられます。
「AIをクラウドではなく手元で動かしたい」というニーズに対して、Appleがハードウェアのアーキテクチャレベルで答えを出してきた形です。$2,199〜$3,899という価格に見合うかどうかは、自分がローカルAIをどの程度使うか次第。まずは用途と予算を整理した上で、M5 ProとM5 Maxのどちらが必要かを判断するのがよさそうです。
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