
前回はプロンプトインジェクションの基礎知識やリスクについて解説しました。今回はその続きを踏まえ、実際にどのような手法でプロンプトインジェクションが行われ、どのような被害が生じているのかを見ていきます。
新しい攻撃手法であるだけに、まだ多くの事例が公表されているわけではありませんが、ここでは既に報告されているいくつかのケースを紹介します。事例を知ることで、プロンプトインジェクションへの理解が一層深まり、自社システムや利用しているAIサービスのセキュリティを見直すきっかけとなるはずです。
本記事は、プロンプトインジェクションの導入から実践的な対策までを紹介するための連載企画「AI時代の新たな脅威を防げ!プロンプトインジェクション対策最前線」の第2回です。以下の各回もあわせてぜひお読みください。
プロンプトインジェクションとひと口に言っても、その攻撃パターンはさまざまです。ここでは主に報告例の多い典型的なパターンを確認し、どのような流れでAIが不正な出力を行うのかを理解しましょう。
AIが本来持っている機密情報保護やコンテンツ制限といったポリシーを、ユーザーのプロンプトによって“上書き”してしまう攻撃です。
複数のプロンプトを繰り返し使い、AIのコンテクストを徐々に変化させていく攻撃です。ユーザーが段階的に意図を隠しながら本丸に近づくことで、AIに気づかれずに不正な目的を達成します。
ソーシャルエンジニアリングやフィッシングメールとの組み合わせで、ユーザーに「AIを使った確認」や「AIによるサポート」を装い、不正なプロンプトを実行させるケースです。
次に、メディアや研究発表などで公表されている、プロンプトインジェクションが疑われる事例をいくつかピックアップします。機密情報保護やブランドイメージ損失など、被害の広がり方は予想以上に大きいと言われています。
ある企業が社内向けにカスタマイズしたAIチャットボットで、上書き指示による攻撃が発生し、内部プロジェクトの資料が外部に漏えいしたと報告されています。
医療系の疑似相談サービスとして提供されていたAIチャットシステムにおいて、連鎖プロンプトを利用した攻撃者が不正確な医療アドバイスを意図的に導き出し、それをSNS上で拡散したケースが報告されています。
人気のショッピングサイトが運営するAIアシスタントに、フィッシング的手法が持ち込まれ、ショッピングサイトのユーザーが別の不正サイトへと誘導される被害が発生しました。
プロンプトインジェクションは、何も外部からの攻撃だけに限られたものではありません。むしろ、「内部ユーザー」や「組織内のグループ」が無意識に行っているケースも見受けられます。
社内でAIを活用している際に、担当者が誤ったプロンプトを入力し、機密情報を意図せず出力させてしまうこともあり得ます。
AIチャットボットのテストや検証段階で機密情報を含むデータをそのまま扱い、開発者が知らないうちに外部への出力を許可してしまう場合があります。
ここまで紹介した事例や攻撃手法から、私たちが学べる主なポイントを整理しましょう。
AIの特性上、「守らせたいルール」そのものが自然言語(テキスト)で書かれていることが多く、従来のセキュリティルール(ファイアウォールや入力チェックなど)では対応しにくい面があります。上書き指示をブロックする仕組みを工夫する必要があります。
プロンプトインジェクションは**“1回のやり取り”だけでなく、何度も対話を繰り返す中で起こる**ことも多いです。攻撃者が段階的にAIを誘導していくケースに対応するには、対話の文脈を継続的に監視・評価する仕組みが求められます。
攻撃者がいなくても、内部ユーザーの誤操作によって機密情報が漏えいすることがあります。AI導入時には、ユーザー教育やルール設定を徹底し、許可された情報以外は入力しないようにするガイドラインが必要です。
機密情報漏えいだけでなく、AIによる誤情報拡散やブランドイメージの毀損はビジネスに大きなダメージを与えます。ひとたび不正行為が世間に広まれば、回復には相当な時間とコストがかかるでしょう。
プロンプトインジェクションは比較的新しい脅威であり、その攻撃手法も日々進化しています。次回は、LLMの技術的なしくみを踏まえながら、なぜ自然言語での指示がセキュリティホールになり得るのかをさらに深掘りしていきます。知っておくべき基礎知識を身につけることで、より効果的な対策のヒントが見つかるはずです。
第2回の記事ではプロンプトインジェクションの代表的な事例を紹介しましたが、実はまだまだ多彩な被害パターンがあります。
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次回(第3回)では、「技術編:LLMの仕組みから見る脆弱性の本質」をテーマに、以下のようなポイントを詳しく解説します。
生成AIの内側を知ることで、プロンプトインジェクションがどうして起きるのか、一歩踏み込んだ理解が得られるでしょう。どうぞお楽しみに!
本連載「AI時代の新たな脅威を防げ!プロンプトインジェクション対策最前線」は、今後も最新情報と実践的なノウハウをお届けします。引き続きお読みいただき、プロンプトインジェクションへの知見を深めていきましょう。
感想は、今後の記事改善に活用します。

プロンプトインジェクションは、生成AIの

前回(第3回)は、大規模言語モデル(LL

ChatGPTをはじめとする生成AI(G

これまでの連載では、プロンプトインジェク
気になるツールを並べて、料金や特徴の違いを確認できます。