デザイン作業で「もっと早くレイアウトを組みたい」「コーディングに手間をかけたくない」「チームとの連携をスムーズにしたい」と感じていませんか?
Figmaが年次イベント「Config 2025」で、プロダクトポートフォリオを倍増する大規模なアップデートを発表しました。既存の4製品から8製品へと拡大し、アイデアから製品化までの流れをさらに迅速に進められるようになります。
本記事では、新機能「Grid/Sites/Make/Buzz/Draw」の概要と実務メリットを “サクッと・わかりやすく” 解説します。
5分で概要を把握したい方はこちらの動画もどうぞ🔽
Figma Config2025とは?
ConfigはFigmaが毎年開催するユーザー向けカンファレンスです。2025年版では、世界106カ所とオンラインで同時開催され、CEO Dylan Field氏が「デザインはプロセスそのもの」と宣言。多言語対応の強化やAI機能の深化を含む8製品群への拡大が発表されました。
イベント概要
- 開催地:サンフランシスコ本会場+ロンドンなど地域別ウォッチパーティ
- 参加者:デザイナー、開発者、プロダクトマネージャーなど延べ数万人
- テーマ:多言語対応/AI活用/コラボレーション強化
ポイント:Config 2025は「デザイン〜公開〜運用」までを一気通貫で考える最新機能群の発表が目玉です。
今回発表された新機能
Config2025の基調講演では、Figmaのプロダクトポートフォリオを倍増させる5つの重要な新機能が発表されました。これらはいずれも、デザインからプロトタイピング、開発、公開までのワークフローをより効率的にするためのものです。
- Grid – Figma Designに追加される2次元レイアウト機能
- Sites – デザインからウェブサイトを直接構築・公開できる機能
- Make – AIを活用したプロトタイピングツール
- Buzz – マーケティングアセット制作を効率化する新製品
- Draw – ベクター編集を強化する新機能セット
それでは、各機能について詳しく見ていきましょう。
Figma Design:Grid機能
Figma Designに新たに導入された「Grid」機能は、長年ユーザーから要望があった2次元レイアウト作成ツールです。複雑なレイアウトの作成が格段に簡単になります。
従来のAuto Layoutでは複雑な2次元レイアウトを作る際、コンテナの入れ子が必要でした。そのため、ファイル構造が複雑になり、チームで共有したときに理解しづらいという問題がありました。Grid機能でこの問題が解消されます。
Grid機能の主な特徴
- 2×2から任意のサイズまで調整可能なグリッドレイアウト
- アイテムが自動的に複数の列や行にまたがる(スパン)機能
- 個別の列や行のサイズを自由に調整可能
- 絶対位置指定によるオブジェクトの配置
- CSS Gridとの互換性によるデベロッパーとのスムーズな連携
実務活用のポイント
複雑なレイアウトを作成する際、ネスト構造が不要になるため、ファイル構造がシンプルになります。チームでの共同作業時に理解しやすく、開発者へのハンドオフもスムーズになります。
GridはFigma Designで既に利用可能です!
Figma Sites:デザインからウェブサイトへ
Figma Sitesは、既存のデザインから実際のウェブサイトを素早く構築・公開できる新機能です。デザインからライブサイトへの流れを効率化し、「公開ボタン」を待ち望んでいたユーザーの要望に応えています。
これまでデザインからウェブサイトを作るには、別のツールに移行する必要がありました。Figma Sitesなら、デザインから公開までをFigma内で完結できます。
Figma Sitesの主な特徴
- デスクトップ、タブレット、モバイルのブレイクポイント対応
- マルチ編集機能によるすべてのブレイクポイントでの同時編集
- プリセットインタラクション(ホバー、パララックス、ドラッグなど)
- HTML/CSSへのリアルタイム変換とプレビュー
- ワンクリックでの公開機能
- 今後実装予定のCMS機能とコードレイヤー
実務活用のポイント
デザイナーとデベロッパーの協業において、デザイン→コーディングの工程が短縮されます。プロトタイプ検証やミニサイト公開が素早くでき、学習コストも低いです。
Figma Sitesはベータ版として有料プランのユーザーに提供開始され、今後無料プランにも展開予定です!
Figma Make:プロトタイピングの革命
Figma Makeは、既存のデザインをプロンプトベースでコーディングされたプロトタイプに変換できる新しいAIツールです。デザインを「想像する」だけでなく「体験」できるようになり、プロトタイピングの時間と技術的な壁を下げます。
「このボタンをクリックしたらどうなるの?」「この画面遷移はどんな感じ?」といった疑問を、コーディング不要で確認できるようになります。
Figma Makeの主な特徴
- デザインをAIが解析し、インタラクティブなプロトタイプを自動生成
- ポイント&編集ツールによるサイズ、色、フォントの直接操作
- ポイント&プロンプトによる部分編集(「CDをもっと3D的に回転させて」など)
- 高度なインタラクション、3D表現、ハードウェア連携など
実務活用のポイント
これまでプロトタイプ作成に必要だった「エンジニアの確保」「別ツールへの移行」「コーディングスキル」などのハードルが下がります。クライアントへのプレゼンや社内承認の際に、「実際に動くもの」を短時間で用意できます。
Figma Makeは数週間以内に有料プランのユーザーに順次提供され、ベータ期間中は一定の制限内で無料です!
Figma Buzz:マーケティングアセット制作の効率化
Figma Buzzは、マーケティングアセットやブランドコンテンツの制作を効率化する新製品です。デザイナーとマーケターの協業における課題(「テンプレートを壊しそうで怖い」「デザイナーがボトルネックになる」)を解決し、Figmaを普段使わない人でも簡単に利用できるUIを採用しています。
マーケティング担当者やコンテンツ制作者が、「デザイナーに依頼→待つ→修正依頼→また待つ」というサイクルから解放され、自分たちでアセットを作成・更新できるようになります。
Figma Buzzの主な特徴
- 共有ブランドライブラリへの簡単アクセス
- テンプレートベースのワークフロー(Instagram、LinkedIn対応)
- オンキャンバス編集とコンテンツ編集パネル
- マルチ編集機能による一括変更
- CSVアップロードによる大量アセット一括作成
実務活用のポイント:多言語展開、複数地域向けキャンペーン、多数の商品バリエーションなど、「同じデザインで内容だけ変えるケース」で特に役立ちます。デザイナーはテンプレート作成に集中し、マーケターは内容更新に集中できます。
Figma Buzzのベータ版は全ユーザーに提供開始されています!
Figma Draw:表現力豊かなベクター編集
Figma Drawは、ベクター編集における長年の問題点(ブーリアン演算、フラット化、ストロークのアウトライン化など)を解決し、より表現力豊かなデザインを可能にする新機能です。開発者モードのトグルから切り替えることができます。
これまでIllustratorなど別のツールが必要だった高度なベクター編集が、Figma内で完結できるようになります。イラスト、アイコン、ブランドアセットなどの作成が格段に楽になります。
Figma Drawの主な特徴
- 複数シェイプの同時ベクター編集
- シェイプビルダーツールによる形状の組み合わせと削除
- ラッソ選択ツールによる正確な頂点選択
- 放射状リピート機能
- パスに沿ったテキスト配置
- テクスチャーエフェクト
- プログレッシブブラー
- ブラシストローク
- パターンフィル
- 可変幅ストローク(今後リリース予定)
実務活用のポイント
ブランドアセット、イラスト、アイコン制作などの場面で、表現の幅が広がります。カラー変数との連携により、ダークモード対応のイラストなども簡単に作成できます。
Figma Drawの22の新機能は本日から全ユーザーに提供開始されます!
これまでの機能改善:56のアップデート
Figmaは2025年に入ってから、すでに56の機能改善を実施しています。大型アップデートだけでなく、日々の小さな改善も積み重ねることで、ユーザー体験の向上に努めています。
以下の改善点は、多くのデザイナーの日々の作業をより快適にするものばかりです。特にパフォーマンス面での改善は、大きなファイルを扱うチームにとって朗報でしょう。
主な改善点
- スマートシンボル(全フォントで対応)
- スタイルのコピー&複製
- レイヤーパネルでの折りたたみレイヤー
- Figma Designでのアノテーション機能とアノテーションカテゴリ
- カラーピッカーのアクセシビリティコントラスト情報
- AI機能「Edit Image」(GPT Image 1搭載)
- スーパーレゾリューション
- アスペクト比のロック機能
まとめ:Figmaの未来展望
Figmaは今回のアップデートで、デザインツールとしての可能性を大きく広げました。Grid、Sites、Make、Buzz、Drawという5つの新機能により、アイデアから製品化までの流れがより迅速になります。
Config 2025の基調講演で、Figma CEO Dylan Fieldは「デザインはもはやプロセスの一ステップではなく、プロセスそのものである」と述べています。AIがソフトウェア開発をより簡単にする世界において、製品を際立たせるのは、クラフト、品質、視点です。
▶️ より詳しく知りたい方は「デザインが変わる!Figma最新アップデートを5分で解説」の動画をご覧ください。