中国発のコンパニオンロボット「Ropet」が、日本で思わぬ人気を集めています。クラウドファンディング開始からわずか1時間で2700万円を突破。かわいらしい外見と低価格、そして“癒やし”を売りにした設計は、多くの人の関心をつかみました。
一方で、日本発の家族型ロボット「LOVOT」に似すぎているのではないか、という議論も巻き起こっています。
Ropetが巻き起こした話題
Makuakeでの先行販売を皮切りに、Ropetは短期間で日本の消費者の心をつかみました。SNSには「LOVOTは高すぎるけれど、これなら手が届く」「癒やし系のガジェットとして欲しい」といった声が並び、日常生活の中での“気軽なパートナー”としての位置づけが浮かび上がります。
Ropetが注目される理由は、見た目のかわいらしさだけではありません。搭載されたセンサーやAIエンジンは、ユーザーの感情を認識し、それに応じた反応を返すことができます。日々のやりとりを学習することで個性が芽生えるように設計されており、単なる置物やおもちゃではなく、暮らしに溶け込む存在を目指しています。
急成長の裏にある流れ
この成功は偶然ではありません。Ropetは米国でのクラウドファンディングや展示会を経て、段階的に市場を拡大してきました。その背後には資金調達の成功や、中国国内での政策的な後押しもあります。
結果として、製品自体の完成度に加え「スピード感ある展開戦略」が支持を後押ししているのです。
KickstarterとCESでの存在感
2024年12月に米Kickstarterでプロジェクトを公開し、40万ドルを調達したのが最初の大きな転機でした。支援者からは「癒やしを求めて購入したい」「LOVOTは高いけれど、これは手頃」といった声が寄せられ、ニーズの確かさが示されました。
さらに翌年1月にはラスベガスのCESに出展。かわいらしいデザインと高度な対話能力は国際的な注目を集め、Ropetの存在は単なるクラファン成功品から「世界市場に挑むプロダクト」へと格上げされました。
日本クラファンでの爆発的人気
そして2025年8月、日本のMakuakeで先行販売が始まると、開始から1時間で2700万円以上を売り上げました。この数字は、Ropetがもはや“海外製品の物珍しさ”を超えて、実際に欲しいと思わせる商品力を備えていることを物語っています。
ただし、日本ではどうしてもLOVOTとの比較がつきまといます。「似ているのに10分の1の価格」という対比は、メディアやSNSで広く共有され、Ropetの評価を一層際立たせる結果となりました。
LOVOTに似すぎ?論争
Ropetの人気が広がる一方で、日本では「LOVOTにそっくりではないか」という疑問が常につきまとっています。メディアもSNSも、Ropetを紹介する際には必ずといっていいほどLOVOTとの比較を持ち出し、議論の火種となってきました。
かわいさや癒やしを前面に打ち出すコンセプトが重なるうえに、丸みを帯びたデザインも共通していることから、「オリジナル性はあるのか?」という視点が避けられないのです。
デザインと価格の比較が映すもの
LOVOTは家族型ロボットとして2019年に登場し、精緻な動作や温かみのあるデザインで注目を集めました。しかし高価格帯であることが普及の大きな壁となってきました。
そこに、外観や発想が似ているRopetが登場し、価格は約10分の1。機能のシンプル化や量産を前提とした設計が背景にあると考えられますが、消費者からすれば「似ているのに安い」という印象が強調され、比較が一層鮮明になりました。
この構図は、単なる製品比較を超えて「日本発オリジナルの技術や文化が、中国発のスピード感ある製品に飲み込まれていくのではないか」という懸念ともつながります。
独創性か実利か、消費者の判断
批判の声がある一方で、実際の消費行動はシンプルです。「欲しいと思えるか」「手が届くか」が基準になります。SNSでも「LOVOTはかわいいけど高すぎて買えなかった」「Ropetなら気軽に手に取れる」という書き込みが目立ちます。
つまり、多くの人にとっては「パクリかどうか」よりも「手に入れやすさ」の方が優先されているのです。結果として、独創性よりも実利が選ばれるという現実が浮き彫りになっています。
日本市場へのインパクト
Ropetの登場は、日本市場にとって小さなニュースにとどまらず、今後のロボット産業に影響を与えかねない出来事です。
癒やしを前面に出したロボットはすでに日本で一定の存在感を持っていましたが、ここに海外発の低価格モデルが参入したことで「市場のあり方」そのものが問われています。
癒やし需要の広がり
少子高齢化や孤独問題が深刻化する中で、日本では「癒やし」や「つながり」を提供するロボットへの需要が確実に高まっています。LOVOTはその先駆けでしたが、高価格が普及の妨げとなってきました。
Ropetはその隙間を突き、手の届く価格帯で市場を切り開いたとも言えます!
日本発オリジナル製品への課題
一方で、オリジナルのLOVOTを生み出した日本企業にとっては厳しい状況です。開発コストや品質へのこだわりを背景に高価格にならざるを得なかった製品が、安価な競合に押される可能性は否定できません。Ropetの事例は「独創性」と「価格競争力」の両立をどう実現するかという課題を突き付けています。
おわりに
Ropetはかわいらしい外見と“癒やし”を武器に、日本を含む複数の市場で急速に支持を広げました。その一方で、「LOVOTに似すぎているのでは」という批判も根強く、独創性よりもスピードと価格が勝負を決めているようにも見えます。
今回のケースが示すのは、単なる製品の善し悪しを超えた市場の変化です。消費者はオリジナルかどうかよりも「手に届くかどうか」を重視し、企業は独創性だけでは生き残れない現実に直面しています。Ropet旋風は、日本のロボット産業にとっても大きな示唆を含んでいるのです。
情報の出典
本記事は以下の情報を参考にしています。
- 36Kr Japanによる報道(2025年9月20日配信)
- 萌友智能(Mengyou Intelligence)の発表
- KickstarterおよびMakuakeでのクラウドファンディング実績
https://news.yahoo.co.jp/articles/a93686bca2329a8961bd90d8438c176415a90199