2026年2月17日、AIコーディングツールのCursorがバージョン2.5をリリースしました。最大の目玉は「プラグインマーケットプレイス」の搭載です。
Cursorは、コードを書くときにAIが補助してくれるエディタ(コードを書くためのソフト)として、エンジニアの間で急速に広まっています。そのCursorに、スマホのアプリストアのような「プラグインストア」が加わりました。Stripe、AWS、Figmaなど10社以上がすでにプラグインを公開していて、ワンクリックでCursorの機能を拡張できます。
この記事では、マーケットプレイスの仕組み、どんなプラグインがあるのか、始め方、そして現時点での注意点を整理しました。
Cursor 2.5の主な変更点
バージョン2.5で追加された機能は大きく3つ。マーケットプレイスに加えて、AIの作業効率に関わるアップデートもあります。
プラグインマーケットプレイス
外部サービスと連携するプラグインをワンクリックで追加。Stripe、AWS、Figmaなど10社以上が参加。
並行サブエージェント
AIが複数のファイルを同時に編集可能に。これまでの「1つずつ順番」から「同時進行」へ。
サンドボックス制御
AIがコマンドを実行する際のネットワークやファイルへのアクセス範囲を細かく設定できるように。
今回のアップデートの中心はマーケットプレイスですが、並行サブエージェントも実用性の高い変更です。たとえば「ログイン機能の実装」と「そのテストコードの作成」をAIに同時に進めさせることができます。あるユーザーは、8,000行規模のアプリの構成変更にかかる時間が17分から9分に短縮されたと報告しています。
プラグインマーケットプレイスの仕組み
「プラグイン」と聞くとブラウザの拡張機能を思い浮かべるかもしれませんが、Cursorのプラグインはもう少し違います。エディタの見た目を変えるのではなく、AIの「できること」を増やす仕組みです。
📊 プラグイン導入前 vs 導入後
❌ Before(手動設定)
Stripeの決済機能を組み込みたい場合
Stripe APIの公式ドキュメントを読む → MCPサーバーを手動でインストール → 設定ファイルを書く → 認証情報を手入力 → CursorのAIに使い方を説明するルールを手書き✅ After(プラグイン利用)
同じ作業をプラグインで
マーケットプレイスで「Stripe」を検索 → 「Add to Cursor」をクリック → 認証画面で許可 → AIがStripeの仕組みを理解した状態で使えるプラグイン1つの中には、最大5種類の要素がまとめられています。外部サービスとの接続(MCPサーバー)、AIへの専門知識の付与(スキル)、並行作業用の子エージェント(サブエージェント)、処理の自動化(フック)、コーディングルールの設定(ルール)です。これらを個別に設定する必要がなく、プラグインをインストールするだけで全部まとめて入ります。
プラグインの公開も可能で、cursor.com/marketplace/publish から誰でも申請できます。Cursor自身も内部で使っているワークフローを「Cursor Team Kit」というプラグインとして公開していて、CI(自動テスト)やコードレビューの手順が含まれています。
どんなプラグインがあるのか ― 主要パートナー6社
ローンチ時点で10社以上がプラグインを公開しています。ここでは、多くのユーザーに関係しそうな6つを紹介します。
| プラグイン | できること | 具体例 |
|---|---|---|
| Stripe | 決済機能の実装をAIが支援 | 「サブスクリプションの決済フローを作って」→ AIがStripe APIを使ってコードを生成し、テスト用の商品・価格まで自動作成 |
| Figma | デザインデータの読み取りとUI生成 | Figmaのデザインを指定 → AIがレイアウトや色を読み取ってHTMLとCSSを出力 |
| AWS | インフラ構築とデプロイの自動化 | コードベースを分析 → 最適なAWSサービスを提案 → 月額コスト見積もり → デプロイ用コード生成 |
| Vercel | プレビュー・本番環境へのデプロイ | エディタ内から直接デプロイ、失敗時のログ確認も可能 |
| Linear | プロジェクト管理との双方向連携 | Linearのタスクを指定 → AIが自動でブランチ作成 → コード変更 → PR作成まで実行 |
| Cloudflare | Workers・KV・R2・D1の管理 | 自然言語でCloudflareのリソースを作成・設定・操作 |
StripeのシニアエンジニアGus Nguyen氏は「Stripeプラグインのおかげで、CursorのAIがStripeの実装方法を理解してくれる。商品と価格と決済リンクをAPIで作って、すぐ動くアプリを出してくれた」とコメントしています。
AWSのプラグインは特に実用的です。コードベースを分析して最適なAWSサービスを提案し、リアルタイムの料金見積もりまで出してくれます。AWS側は「通常数時間かかる作業が10分以内で終わった」と説明しています。
Cursor 2.5プラグインの始め方
プラグインの導入は2通りの方法があります。Web(cursor.com/marketplace)からブラウズしてインストールするか、エディタ内で/add-pluginコマンドを実行するかです。
🔄 プラグイン導入の流れ
インストール後、Cursorの設定画面(Settings → Tools & MCP Servers)でMCPサーバーの接続状態を確認できます。プラグインによっては外部サービスの認証(StripeのAPIキーなど)が必要ですが、認証画面に自動で誘導されるので手動の設定作業は不要です。
プラグイン自体はすべて無料でインストールできます。ただし、プラグインを使うとCursorのAIへのリクエストが増えるため、契約プランの利用枠を消費します。無料プラン(Hobby)でも使えますが、AIリクエストの上限が低いため、有料プラン(月額$20のPro〜)の方が実用的です。
知っておきたい注意点
便利な仕組みですが、現時点で押さえておくべきポイントがあります。
⚠️ 利用前に確認しておくこと
プラグインはAIの機能を拡張するものなので、使うほどAIリクエストの消費が増えます。Cursorの料金体系は2025年後半にリクエスト制からクレジット制に変わっており、Proプラン($20/月)で実質的に使えるリクエスト数が以前より減ったという声もあります。プラグインを複数入れて使う場合はクレジット残量に注意してください。
そのほか、いくつか知っておくべき点があります。
まず、Cursorのプラグインは従来のVS Code拡張機能とは別物です。VS Codeの拡張機能はエディタの機能(テーマやデバッガなど)を追加しますが、Cursorのプラグインは「AIができること」を増やします。両者は併用可能ですが、混同しないよう注意してください。
並行サブエージェントについても、8つ以上を同時に動かすとパフォーマンスが落ちるという報告があります。また、互いに依存する作業(Aの結果をBが使う)を並行で走らせると意図しない結果になることがあるため、独立したタスクに使うのが安全です。
プライベートチーム向けマーケットプレイス(社内だけでプラグインを共有する機能)は「近日公開」とされていますが、現時点では未提供です。
まとめ ― AI開発ツールが「プラットフォーム」になり始めた
Cursor 2.5のマーケットプレイスは、AIコーディングツールが「エディタ」から「プラットフォーム」へ変わり始めていることを象徴するアップデートです。
これまでCursorは「AIが賢いエディタ」でしたが、サードパーティがプラグインを通じて専門知識やワークフローを追加できるようになったことで、Cursorを軸としたエコシステムが形成され始めています。スマホにおけるApp Storeのように、プラグインの充実度がツール選びの判断材料になっていく可能性があります。
Google AntigravityやGitHub Copilotなど、AIコーディングツールの競争は激しくなっています。Cursorがマーケットプレイスで先行したことで、他のツールも同様の仕組みを提供するかどうか、今後の動きに注目です。



