パソコンでClaude Codeを動かしたまま、スマホやタブレットから操作を続けられる。そんな新機能「Remote Control」が、2026年2月にResearch Previewとして公開されました。
Claude Codeは、ターミナル(コマンドを打つ画面)の中で動くAIコーディングツールです。UberやNetflix、Spotifyでも使われていて、GitHub上の公開コミットの約4%に関わっているという数字も出ています。ただ、ターミナルで動く以上、これまでは「パソコンの前にいないと操作できない」という制約がありました。Remote Controlは、その制約をなくす機能です。
この記事では、Remote Controlの仕組み、セットアップ方法、従来のリモート接続との違い、そして現時点の制限事項を整理します。
Remote Controlでできること ― 3つの特徴
Remote Controlは「パソコンのClaude Codeセッションを、別の端末から遠隔操作する」機能です。コードやファイルはパソコンに置いたまま、操作だけを外から行います。
スマホからAI操作
QRコードを読み取るだけで、スマホのブラウザからClaude Codeに指示を送れる。
ファイルは外に出ない
コードやMCPサーバーはすべてパソコン上に残る。通信はE2E暗号化。
約30秒で接続
特別なサーバー設定やポート開放は不要。外向きのHTTPS通信だけで動く。
PM(プロダクトマネージャー)のNoah Zweben氏は「散歩に出たり、犬の散歩をしたり、太陽の光を浴びたりしても、作業の流れを止めなくていい」とコメントしています。たとえば、Claude Codeに長時間のコード生成を依頼したあと、リビングのソファでスマホから進捗を確認して次の指示を出す、といった使い方ができます。
セットアップは2ステップ、約30秒で完了
従来のリモート接続と比べて、Remote Controlのセットアップは非常にシンプルです。SSH鍵の設定もVPNの構築もいりません。
🔄 Remote Controlの始め方
claude rc と入力/rc と入力claude rcを実行すると、ターミナルにURLとQRコードが表示されます。スマホのカメラでQRコードを読み取ると、ブラウザ上にClaude Codeの操作画面が開きます。すでにセッション中なら/rcコマンドでもURLを取得できます。
通信には外向きのHTTPSのみを使い、パソコン側でポートを開ける必要はありません。自宅のWi-Fiや会社のネットワーク環境でもそのまま動作します。接続はエンドツーエンド(E2E)で暗号化されているため、通信内容が途中で読み取られる心配もありません。
SSH+tmuxと何が違うのか ― 従来手法との比較
リモートでターミナル操作をする方法は以前からあります。SSH+tmuxやVS Code Remoteがよく使われていますが、Remote Controlはこれらとは異なるアプローチです。
| 比較項目 | SSH + tmux | VS Code Remote | Claude Code RC |
|---|---|---|---|
| 初期設定 | 30分〜1時間 | 15〜30分 | ✓ 約30秒 |
| ポート開放 | 必要(22番) | 必要(SSH経由) | ✓ 不要 |
| スマホ対応 | 困難 | 困難 | ✓ ブラウザで操作可 |
| 暗号化 | SSH暗号化 | SSH暗号化 | ✓ E2E暗号化 |
| VPN/固定IP | 推奨 | 推奨 | ✓ 不要 |
| 操作対象 | 汎用ターミナル | VS Code全体 | Claude Codeのみ |
| 再接続 | 手動 | 自動(数秒) | ✓ 自動(スリープ復帰可) |
SSH+tmuxは「何でもできる」汎用性が魅力ですが、初期設定のハードルが高く、スマホからの操作には向いていません。VS Code Remoteはエディタ全体を遠隔操作できますが、やはりSSH経由のため設定が必要です。
Remote Controlは操作対象がClaude Codeだけに限定される代わりに、設定不要・スマホ対応・ポート開放不要という手軽さがあります。「パソコンのあらゆる操作をリモートしたい」ならSSH、「AI作業の進捗確認と指示出しだけしたい」ならRemote Controlという使い分けが現実的です。
💡 スリープ時の挙動
パソコンがスリープに入った場合、復帰すれば自動的に再接続されます。ただし、完全にオフラインの状態が約10分続くとセッションがタイムアウトします。ノートPCの蓋を閉じて移動するくらいなら問題ありませんが、電源を切ると切断されます。
料金と対応プラン ― 現時点で使えるのはMaxプランのみ
Remote Controlは、すべてのClaude Codeユーザーが使えるわけではありません。現時点での対応状況はこちらです。
📊 プラン別の対応状況
✅ 利用可能
Maxプラン
月額$100〜200。Remote ControlはResearch Previewとして利用可能。❌ 現時点では非対応
Proプラン($20/月)
公式に「近日対応予定」(coming soon)と案内されている。Team / Enterpriseプラン
法人向けプランには提供予定がアナウンスされていない。個人で使う場合、Maxプランは月額$100〜200と安くはありません。ただ、Claude Codeのヘビーユーザーにとっては、APIクレジットの上限が高い点とあわせて検討する価値があります。Proプラン($20/月)への対応は公式に「coming soon」とされていますが、具体的な時期は未発表です。
⚠️ 既知の不具合(GitHub Issue #28098)
ProやMaxプランのユーザーがRemote Controlを使おうとした際、実際には利用可能にもかかわらず「対応していない」という誤ったエラーメッセージが表示される不具合が報告されています。この症状が出た場合は、Claude Codeを最新版にアップデートしてみてください。
コミュニティでは代替ツールも登場している
Remote Controlの公式リリースを待たずに、コミュニティが独自の代替ツールを開発しています。
たとえば、Happy(happy.engineering)は、Claude Codeの操作画面をWebブラウザで提供するオープンソースのツールです。もう1つのClaude-Code-Remoteも同様のコンセプトで、公式のRemote Control機能が出る前からGitHub上で開発が進んでいました。
ただし、コミュニティ製ツールには公式のE2E暗号化やAnthropicのインフラを通じた接続の安定性がありません。セキュリティ要件が厳しい業務には公式のRemote Controlを使うのが安全です。一方、Proプランで公式機能を待てない場合や、カスタマイズ性を重視する場合には選択肢になります。
まとめ ― 「パソコンの前」から解放されるAI作業
Claude Code Remote Controlの本質は、「AI作業をパソコンに縛られずに行えるようになった」ことにあります。
Claude Codeは年間売上$25億(ARR)規模に成長しており、開発者の日常ツールとして定着しつつあります。Remote Controlは、そのClaude Codeを「デスクから離れても使える」ようにすることで、AIとの協業スタイルを変えようとしています。長時間のコード生成を依頼したあと、カフェに移動してスマホで結果を確認する。庭で休憩しながら次のタスクを指示する。そうした使い方が、特別な設定なしにできるようになりました。
現時点ではMaxプラン限定のResearch Previewですが、Proプランへの対応も予告されています。ターミナルでAIを使う人にとって、作業スタイルが変わる可能性のある機能です。




