テクノロジー

RAGとは?仕組みと導入メリットを非エンジニア向けに解説

2026年1月18日 AIリスキル株式会社
#RAG #検索拡張生成 #生成AI #社内FAQ #ナレッジベース
目次(9項目)
  1. RAGは「検索」と「生成」を組み合わせた技術
  2. RAGの基本的な流れ
  3. ChatGPT単体との違いは「参照元」
  4. ハルシネーション(幻覚)とは
  5. RAGで解決できる3つの課題
  6. 1. 社内文書の検索効率化
  7. 2. 社内FAQ・問い合わせ対応
  8. 3. ナレッジベース・営業支援
  9. 導入費用の相場は50〜300万円
  10. 開発費用の目安
  11. 費用の内訳
  12. RAG導入の流れ(5つのステップ)
  13. 導入時の注意点(よくある失敗パターン)
  14. 1. データが整備されていない
  15. 2. 精度への過度な期待
  16. 3. ユーザーが使わない
  17. 4. データの更新を怠る
  18. よくある質問
  19. Q. RAGと「ファインチューニング」の違いは?
  20. Q. セキュリティは大丈夫ですか?
  21. Q. 小規模から始められますか?
  22. Q. ChatGPT APIを使う必要がありますか?
  23. まとめ
  24. ご相談について

「ChatGPTを業務で使いたいけど、自社の情報を答えてくれない」

こうした課題を持つ企業は多いのではないでしょうか。一般的なChatGPTは、インターネット上の公開情報をもとに回答を生成するため、社内マニュアルや過去の問い合わせ履歴など「自社独自の情報」には答えられません

この課題を解決するのが**RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)**という技術です。

本記事では、RAGとは何か、従来のChatGPTとの違い、導入で解決できる課題、費用相場から注意点までを、非エンジニアの方にもわかるように解説します。

この記事でわかること
  • RAGの仕組みと「検索」+「生成」の流れ
  • ChatGPT単体との違い(参照元・ハルシネーション)
  • RAGで解決できる3つの課題と具体例
  • 導入費用の目安(50〜300万円)と注意点

RAGは「検索」と「生成」を組み合わせた技術

RAGとは、**Retrieval-Augmented Generation(検索拡張生成)**の略です。簡単に言うと、「AIが回答する前に、まず関連する情報を検索して、その情報をもとに回答を生成する」という仕組みです。

RAGの基本的な流れ

1
質問を受け取る
ユーザーが質問を入力
2
関連情報を検索
社内文書やFAQから関連する情報を検索
3
回答を生成
検索結果をもとに、AIが自然な文章で回答

たとえば、「有給休暇の申請方法は?」という質問に対して、RAGは社内の就業規則や申請マニュアルを検索し、その内容をもとに回答を生成します。

RAGのメリット

自社独自の情報にもとづいた正確な回答が可能になります。ChatGPT単体では答えられない社内情報にも対応できます。


ChatGPT単体との違いは「参照元」

「ChatGPTとRAGの違いがよくわからない」という声をよく聞きます。違いをシンプルにまとめると以下のとおりです。

項目ChatGPT単体RAG
参照元インターネット上の公開情報(学習データ)指定した社内文書・データベース
社内情報への対応答えられない答えられる
情報の鮮度学習時点の情報(古い可能性あり)最新のデータを参照可能
ハルシネーション起きやすい低減できる(ゼロではない)
導入コストAPI利用料のみ検索基盤の構築費用が必要

ハルシネーション(幻覚)とは

ハルシネーションに注意

ChatGPTなどの生成AIは、実際には存在しない情報をもっともらしく回答してしまうことがあります。これを「ハルシネーション(幻覚)」と呼びます。

RAGを導入すると、AIが「知らないこと」を答えようとするのではなく、検索で見つかった情報をもとに回答するため、ハルシネーションを減らせます。ただし、完全にゼロになるわけではないので注意が必要です。


RAGで解決できる3つの課題

RAGは「社内の情報を活用したい」という課題を持つ企業に向いています。具体的なユースケースを3つ紹介します。

50〜70%
検索時間削減
60〜80%
問い合わせ自動化
属人化解消
ナレッジ活用

1. 社内文書の検索効率化

課題: マニュアル、規程、過去の報告書など、社内文書が多すぎて必要な情報を探すのに時間がかかる

金融業 検索時間50%削減

社内文書検索システム

「◯◯の手続き方法」と聞くだけで、関連する文書から回答を生成。検索キーワードを考えなくても、自然な質問で検索できるようになりました。

RAGでできること:

  • 「◯◯の手続き方法」と聞くだけで、関連する文書から回答を生成
  • 複数の文書をまたいで情報を統合した回答が可能
  • 検索キーワードを考えなくても、自然な質問で検索できる

2. 社内FAQ・問い合わせ対応

課題: 同じような問い合わせが繰り返し来る。担当者が休むと対応が止まる

IT企業 定型問い合わせ80%自動化

AI問い合わせ対応システム

過去のFAQや問い合わせ履歴をもとに自動回答。回答できない場合は「担当者に確認します」と返す設計で、担当者の負担を大幅に軽減。

RAGでできること:

  • 過去のFAQや問い合わせ履歴をもとに、自動で回答を生成
  • 回答できない場合は「担当者に確認します」と返す設計も可能
  • 問い合わせ傾向を分析して、FAQの改善に活かせる

3. ナレッジベース・営業支援

課題: ベテランの知識やノウハウが属人化している。退職・異動で失われるリスクがある

商社 新人立ち上がり期間30%短縮

営業ナレッジベース

営業資料、提案書、過去の商談記録を検索して回答。「◯◯業界向けの提案ポイント」など、ベテランの知見を新人でも活用できるようになりました。

RAGでできること:

  • 営業資料、提案書、過去の商談記録を検索して回答
  • 「◯◯業界向けの提案ポイント」など、ナレッジを活用した回答
  • 新人でもベテランの知見を参照して対応できる
導入の判断基準

これらの課題に心当たりがあれば、RAGは検討の価値があります。まずは小規模なPoCで効果を確認するのがおすすめです。


導入費用の相場は50〜300万円

「RAGを導入するにはいくらかかるの?」という質問も多いです。規模や要件によって変わりますが、目安は以下のとおりです。

開発費用の目安

30〜50万円
PoC(概念実証)
50〜150万円
中規模システム
150〜300万円+
大規模・全社展開
規模費用目安期間内容
小規模(PoC)30〜50万円2〜4週間限定的なデータで動作検証
中規模50〜150万円1〜2ヶ月特定業務向けのRAGシステム構築
大規模150〜300万円以上2〜4ヶ月全社展開、複数データソース対応

費用の内訳

RAG導入の費用は、主に以下の項目で構成されます。

項目内容
データ整備社内文書の収集、クレンジング、インデックス化
検索基盤構築ベクトルデータベースの構築、検索精度のチューニング
生成AI連携ChatGPT APIなどとの接続、プロンプト設計
UI開発チャット画面など、ユーザーが使うインターフェース
テスト・調整精度検証、フィードバック反映
費用が変わる要因

費用が大きく変わる要因は「データの状態」です。文書がきれいに整理されていれば費用を抑えられますが、バラバラの形式で散在している場合は整備に時間がかかります

AI開発費用の相場
PoCから本開発まで、費用の目安を詳しく解説

RAG導入の流れ(5つのステップ)

実際にRAGを導入する場合の流れを説明します。

1
課題と目的の整理
「何を解決したいのか」を明確にする。成功の基準(KPI)を設定
2
データの確認・整備
使える文書の量と形式を確認。機密情報の扱いを整理
3
PoC(概念実証)
限定的なデータで動作検証。精度の確認と課題の洗い出し
4
本開発
対象データの拡大、UI/UX改善、セキュリティ対策
5
運用・改善
フィードバック収集、精度モニタリング、データ追加・更新
ポイント

RAGは「作って終わり」ではなく、運用しながら育てていくシステムです。継続的な改善が重要です。


導入時の注意点(よくある失敗パターン)

RAG導入で失敗しないために、よくある落とし穴を紹介します。

1. データが整備されていない

よくある失敗

文書がPDF、Word、Excel、メールとバラバラ。形式も統一されていない

対策: 導入前にデータの棚卸しを行う。整備に時間がかかる場合は、まず特定の文書群に絞ってスタートする

2. 精度への過度な期待

よくある失敗

「AIだから100%正確に答えてくれる」と期待している

対策: RAGでもハルシネーションは完全にはなくならない。人間によるチェックの仕組みを残しておく。重要な判断は人間が確認する運用にする

3. ユーザーが使わない

よくある失敗

システムを作ったのに、現場が使ってくれない

対策: 現場の声を聞きながら進める。使いにくいUIは改善する。「検索より速い」という体験を最初に提供する

4. データの更新を怠る

よくある失敗

導入時のデータのまま放置され、古い情報で回答してしまう

対策: 定期的なデータ更新の仕組みを作る。担当者を決めて、更新フローを運用に組み込む

事前把握が重要

これらの注意点を事前に把握しておけば、失敗リスクを下げられます。


よくある質問

Q. RAGと「ファインチューニング」の違いは?

ファインチューニングは、AIモデル自体を追加学習させる方法です。対してRAGは、モデルは変えずに「検索した情報を参照させる」方法です。

RAG おすすめ
  • AIモデルはそのまま使う
  • データ更新は検索対象を更新するだけ
  • コストが比較的安い
  • 社内文書検索に向いている
ファインチューニング
  • AIモデルの追加学習が必要
  • データ更新には再学習が必要
  • 学習コストがかかる
  • 特殊な文体・専門用語対応向き
おすすめ

多くの場合、まずRAGから試すのがおすすめです。

Q. セキュリティは大丈夫ですか?

RAGシステムは、社内環境(オンプレミス)やプライベートクラウドに構築できます。また、Azure OpenAI Serviceなど、企業向けのセキュリティ対策が施されたサービスを使う選択肢もあります。

機密情報の取り扱いについては、導入前に要件を整理します。

Q. 小規模から始められますか?

はい。まずは特定の部署・特定の文書に絞ってPoCを行い、効果を確認してから範囲を広げていく進め方がおすすめです。

最初から全社展開を目指すと、データ整備に時間がかかりすぎたり、要件が膨らんで頓挫するリスクがあります。

Q. ChatGPT APIを使う必要がありますか?

ChatGPT API(OpenAI)が代表的ですが、**Claude API(Anthropic)**やAzure OpenAI、Google Geminiなど、他の選択肢もあります。

用途やセキュリティ要件に応じて最適なものを選びます。


まとめ

RAG(検索拡張生成)は、生成AIに「自社の情報を答えさせる」ための技術です。

RAGの特徴

  • 質問に対して関連情報を検索し、その情報をもとに回答を生成
  • ChatGPT単体では答えられない社内文書など独自データを参照可能
  • ハルシネーション(誤回答)を低減できる

解決できる課題

  • 社内文書検索の効率化(検索時間50〜70%削減)
  • FAQ・問い合わせ対応の自動化(60〜80%自動化)
  • ナレッジの属人化解消

導入のポイント

  • 費用相場は50〜300万円(PoC30〜50万円から可能)
  • データ整備が重要、精度は100%ではない
  • 小規模から始めて徐々に拡大するのがおすすめ

社内に「同じ質問への対応を繰り返している」「情報を探すのに時間がかかっている」という課題があれば、RAGは検討の価値があります。

生成AI開発サービス
RAGを活用した社内FAQ・文書検索システムの開発について詳しく解説

ご相談について

「自社の業務でRAGが使えそうか相談したい」「費用感を知りたい」という方は、お気軽にお問い合わせください。

状況をお聞きした上で、RAGが適切かどうか、他のアプローチ(ファインチューニング、単純なFAQシステムなど)が良いかも含めてご提案します。

まずはお問い合わせページからご連絡ください。

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