目次(11項目)
「外注すると高そう」「でも自社にAI人材いないし…」
AI開発を検討するとき、こうした悩みを抱える方は多いのではないでしょうか。
結論から言うと、最初から「どちらか」に決める必要はありません。多くの企業では「まず外注で試して、うまくいったら徐々に内製化」というアプローチを取っています。
本記事では、内製・外注それぞれの特徴と、自社に合った判断基準を整理します。
- 内製vs外注の判断基準(AI人材の有無がカギ)
- それぞれのメリット・デメリットと向いている会社
- 3年間の費用比較(5,700万円 vs 770万円)
- ハイブリッドアプローチの3パターン
迷ったら「AI人材の有無」で判断
細かい比較の前に、シンプルな判断基準を示します。
社内にAI人材がいるか?
- いる → 内製を検討
- いない → まず外注で始めるのが現実的
AI人材がいない状態で内製を選ぶと、採用・育成に時間がかかり、プロジェクトが進みません。逆に、すでにAI人材がいるなら、内製で進めた方がノウハウが蓄積されます。
内製と外注の比較表
| 項目 | 内製 | 外注 |
|---|---|---|
| 初期コスト | 高い(人材採用・育成) | 中程度(開発費用のみ) |
| ランニングコスト | 高い(人件費が固定) | 低い(必要なときだけ) |
| 開発スピード | 立ち上げに時間がかかる | すぐに着手できる |
| 技術レベル | 育成次第 | 専門家チームが担当 |
| ノウハウ蓄積 | 社内に残る | 外部に依存しやすい |
| 柔軟性 | 自由に変更できる | 契約範囲に限定 |
- 初期コスト:高い(人材採用・育成)
- ランニングコスト:高い(人件費が固定)
- 開発スピード:立ち上げに時間がかかる
- ノウハウ蓄積:社内に残る
- 初期コスト:中程度(開発費用のみ)
- ランニングコスト:低い(必要なときだけ)
- 開発スピード:すぐに着手できる
- ノウハウ蓄積:外部に依存しやすい
どちらが良い・悪いではなく、自社の状況に合うかどうかで選ぶのがポイントです。
内製の強み:スピードと柔軟性
社内にチームがあれば、仕様変更や追加開発を素早く進められます。「ちょっとここ変えたい」にすぐ対応できるのは大きなメリットです。
内製が向いている会社
- AIを自社のコア競争力にしたい
- 継続的な開発・改善が前提
- 機密性の高いデータを扱う
- AI人材をすでに採用している、または採用できる見込みがある
内製でよくある失敗
一方で、こんなケースもあります。
「採用したけど定着しない」
AI人材は市場で取り合いになっており、採用できても他社に引き抜かれることがあります。特に、AIプロジェクトが少ない会社では、スキルを活かせる場がなく離職につながりやすいです。
「技術の進化についていけない」
AI技術は進化が速いため、社内チームだけでは最新技術のキャッチアップが難しいことがあります。
外注の強み:専門性と確実性
外注のメリットは、すでにノウハウを持った専門家チームがすぐに動けることです。採用・育成の時間を省略できます。
外注が向いている会社
- まずは小さく試したい(PoC)
- すぐに結果を出したい
- 社内にAI人材がいない
- 一時的なプロジェクト、または初めてのAI導入
外注で後悔するケース
外注にもデメリットはあります。
「ベンダーに依存しすぎた」
特定のベンダーに任せきりにすると、「そのベンダーなしでは運用できない」状態になることがあります。契約時に「技術移転」を含めるなど、対策が必要です。
「思ったより高くついた」
追加要件や仕様変更のたびに費用が発生し、想定以上のコストになるケースもあります。最初の契約で「何が含まれて、何が含まれないか」を明確にしておくことが大切です。
費用を比較してみる
「結局、どちらが安いのか」は気になるところです。
3年間のコスト試算(画像認識AIの例)
内製の場合
| 項目 | 1年目 | 2年目 | 3年目 |
|---|---|---|---|
| AI人材(2名)採用費 | 100万円 | - | - |
| AI人材 人件費 | 1,600万円 | 1,700万円 | 1,800万円 |
| 環境構築費 | 200万円 | 50万円 | 50万円 |
| 研修・教育費 | 100万円 | 50万円 | 50万円 |
| 小計 | 2,000万円 | 1,800万円 | 1,900万円 |
3年間合計:約5,700万円
外注の場合
| 項目 | 1年目 | 2年目 | 3年目 |
|---|---|---|---|
| PoC開発 | 50万円 | - | - |
| 本開発 | 300万円 | - | - |
| 追加開発・改修 | - | 150万円 | 150万円 |
| 保守・運用 | - | 60万円 | 60万円 |
| 小計 | 350万円 | 210万円 | 210万円 |
3年間合計:約770万円
※ これは一例です。規模や要件によって大きく変わります。
内製は初期コストが高いですが、長期的にAI開発を続けるなら回収できる可能性があります。外注は初期コストを抑えられますが、継続的に開発するとトータルコストが増えていきます。
自己診断チェックリスト
自社がどちらに向いているか、以下で確認してみてください。
内製に向いている(3つ以上当てはまる場合)
- AIを自社の競争力の源泉にしたい
- 継続的にAIシステムを開発・改善していく予定
- AI人材を長期的に育成したい
- 機密性の高いデータを扱うため、外部に出したくない
- 採用・育成に十分な予算と時間がある
外注に向いている(3つ以上当てはまる場合)
- まずは小さく試してみたい(PoC)
- 短期間で結果を出す必要がある
- 社内にAI人材がいない
- AIは一時的なプロジェクト、または補助的な役割
- 初期コストをできるだけ抑えたい
ハイブリッドという選択肢
実は「内製か外注か」の二択ではなく、両方を組み合わせるアプローチも有効です。
「いきなり内製は難しいけど、いずれは自社でやりたい」という会社に向いています。
- 初期開発は外注で素早くシステム構築
- 運用しながら社内メンバーが学習
- 徐々に社内チームが担当範囲を拡大
すでにAI人材がいるが、リソースが足りない場合に有効です。
- 競争力の源泉となる部分は社内で開発
- UI開発やインフラ構築は外部に委託
コストを抑えつつ、専門家の知見を活用したい場合に向いています。
- AI専門家を顧問として起用(月数万円〜)
- 実装は社内メンバーが担当
- 定期的に顧問がレビュー・アドバイス
よくある質問
Q. 最初から内製で始めるべきですか?
AI人材がいない場合は、まず外注でPoCを実施して「AIで何ができるか」を確認してから、内製化を検討する方が現実的です。最初から内製を選ぶと、投資回収までに時間がかかりすぎるリスクがあります。
Q. 外注先の選び方は?
以下のポイントで評価すると失敗しにくいです。
- 実績: 類似プロジェクトの経験があるか
- コミュニケーション: 要件をちゃんと理解してくれるか
- サポート体制: 開発後のサポートはどうなっているか
- 技術移転: ノウハウを社内に残せるか
Q. 外注するとノウハウは全く残りませんか?
そんなことはありません。契約時に「技術移転」を含めれば、開発ノウハウを社内に蓄積できます。プロジェクトを通じて社内メンバーがAIについて学ぶ機会にもなります。
Q. セキュリティが心配です
NDA(秘密保持契約)を締結すれば、セキュリティリスクは管理できます。また、データを外部に出さない「オンプレミス開発」や、「匿名化データ」での検証も可能です。
まとめ
| こんな状況なら | おすすめ |
|---|---|
| まず試したい | 外注(PoC) |
| すぐに成果が必要 | 外注 |
| 長期的な競争力を作りたい | 内製 or 段階的内製化 |
| コストを抑えたい | 外注 |
| AI人材がいない | 外注 + 技術移転 |
多くの企業にとって、**「まず外注でPoC → 成果を確認 → 段階的に内製化」**というアプローチが現実的です。
最初から大きな投資をするのではなく、小さく始めて成功体験を積みながら進めていくのがおすすめです。
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ご相談について
「うちの場合、内製と外注どっちがいい?」「外注する場合、どのくらいの費用感?」といった相談は、お気軽にお問い合わせください。
状況をお聞きした上で、客観的な視点でアドバイスします。外注を勧めることもあれば、「まず社内でここまで準備してから」とお伝えすることもあります。