「AIを使ってみたいけど、何を聞けばいいかわからない」。そう思ったことがある人は、山形県南陽市が公開している「生成AI活用実例集」を知っておいて損はありません。748例のプロンプトがWebフォーム形式で整備されていて、誰でも無料で使えます。
人口3万人の自治体が「748例のプロンプト集」を作った背景
南陽市は人口約3万人の山形県の自治体です。2023年4月から庁内で生成AIの活用実証実験を始め、2024年4月に正式運用を開始しました。現場で積み上げてきたプロンプトを体系化し、2024年11月に「生成AI活用実例集(プロンプト集)748例」として一般公開しています。最近SNSで再び話題になり、多くの反響を集めています。
実務から生まれた748例
市役所の現場で1年以上使い込まれたプロンプトが原型。「使えるもの」だけが残っています。
フォーム入力式で迷わない
テンプレのコピペではなく、必要事項をフォームに入力するだけでプロンプトが自動で組み上がります。
業務設計の思想が入っている
ECRS(排除・結合・交換・簡素化)など、仕事の進め方自体を見直すプロンプトも含まれています。
市役所が作ったと聞くと「行政文書向けの堅いもの」を想像するかもしれません。実際には、文章作成やアイデア出しといった汎用的な内容が多く、民間企業の業務やフリーランスの仕事でもそのまま使えるものが揃っています。
よくあるプロンプト集とは仕組みが違う
ネット上には「ChatGPTプロンプト集」と題した記事がたくさんあります。ただ、テンプレートをコピペして自分の状況に書き換える作業は、結局「何をどう書き換えればいいか」で悩むことが多いのが実情です。南陽市のプロンプト集は、この問題を仕組みで解決しています。
📊 プロンプト作成のアプローチの違い
❌ 一般的なプロンプト集
テンプレをコピペ → 自分で書き換え
「以下の文章を要約してください:[ここにテキストを貼る]」→ 条件やトーンの指定は自分で考えて追記する必要がある✅ 南陽市のプロンプト集
フォームに入力 → プロンプト自動生成
用途・対象・トーン・出力形式をフォームで選ぶだけ。条件が組み込まれた状態でプロンプトが完成するたとえば「業務改善の報告メモを書きたい」場合、フォームに改善した業務名・改善前後の状態・数値データを入力すると、次のようなプロンプトが自動で組み上がります。
実際の出力イメージ:
「あなたは業務改善コンサルタントです。以下の情報をもとに、上司に提出する業務改善報告メモを作成してください。【改善対象】月次レポート作成業務 【改善前】Excelで手作業集計、毎月3日かかっていた 【改善後】スプレッドシート+GAS連携で自動集計、半日で完了 【成果】作業時間80%削減。空いた時間を分析業務に充当……」
こうした条件指定や役割設定が最初から組み込まれているため、プロンプトの書き方を勉強しなくても、質の高い出力を得やすい設計です。
「テンプレ」では終わらない。業務改善の設計思想が入っている
このプロンプト集がSNSで話題になった理由は、単なるテンプレート集ではない点にあります。748例のカテゴリは文章作成・要約にとどまらず、業務の仕組み自体を見直すレベルの内容が含まれています。
🎯 主なカテゴリと使い道
中でも注目されているのが業務改善カテゴリです。ECRS(イクルス)という製造業で広く使われる改善手法が組み込まれています。Eliminate(排除)・Combine(結合)・Rearrange(交換)・Simplify(簡素化)の頭文字で、「この作業はそもそもやめられないか」「他の作業とまとめられないか」を順番に検討する考え方です。
たとえば「#278:ECRSを活用した業務仕分け」では、自分の業務リストをフォームに入力すると、4つの視点で分析するプロンプトが生成されます。やめられる作業、まとめられる作業、順序を入れ替えた方がいい作業、もっと簡単にできる作業を洗い出せます。「#349:ワークフロー改善提案書」では、特定業種の業務フローを入力すると、改善提案の叩き台を得られます。
目の前のタスクを速くこなすだけでなく、仕事の進め方自体を見直すきっかけになる。これが、よくある「便利プロンプト集」との違いです。
無料・登録不要。対応AIサービスも幅広い
利用に料金はかかりません。アカウント登録も不要で、サイトにアクセスすればすぐに使えます。
🔄 使い方の流れ
完成したプロンプトは、ChatGPT(無料版でもOK)、Google Gemini、Microsoft Copilotなど、好きなAIサービスに貼り付けて使えます。特定のサービスに縛られないので、職場で使えるAIが決まっている場合でも問題ありません。
使う前に知っておきたいこと
無料で使いやすいリソースですが、いくつか知っておくとよい点があります。
⚠️ 利用時の注意点
プロンプト集自体は無料ですが、出力先のAIサービスに有料プラン(ChatGPT Plusなど)を使っている場合は、そちらの料金がかかります。ChatGPTやGeminiの無料版でも利用できます。
もともと市役所の業務向けに設計されたプロンプトなので、一部は民間企業の業務にそのまま合わない場合があります。フォームの入力内容を自分の状況に合わせて調整してください。
初回公開は2024年11月です。AIサービス側のアップデートにより、同じプロンプトでも出力結果が変わることがあります。思った結果にならなかった場合は、フォームの入力内容を調整してみてください。
まとめ
南陽市のAIプロンプト集748例は、「AIに何を聞けばいいかわからない」という壁を仕組みで解消してくれるリソースです。
フォーム入力式で迷わず使える実用性、文章作成から業務改善・プログラミングまでカバーするカテゴリの広さ、そしてECRSのような業務設計思想が組み込まれている点が、他のプロンプト集にはない特徴です。人口3万人の自治体が現場で1年以上使い込んだノウハウが、無料・登録不要で手に入ります。
まずは自分の業務に近いカテゴリを一つ試してみると、使い勝手がわかります。



